問題の誘導に乗る|桜井信一コラム「下剋上受験」
今夜は、「問題の誘導に乗る」がテーマです。よろしくお願いします。
算数の点数が頭打ちになってくるケースのひとつに、大問の3つ目が解けていないことがあります。
ある学校の過去問を例にあげると、こんな様子なんです。
大問1 5点×5問 (計算と小問)
大問2 6点×2問 (平面図形)
大問3 7点×3問 (水槽に水を入れる問題)
大問4 7点×4問 (ベン図)
大問5 7点×2問 (規則性)
こんな配点の100点満点なんです。
これをじっくり見ていくと…、まず大問1の計算と小問を解けた時点で25点ゲット!
ここは難易度的にもまあいけそうな問題です。1問難しいかな? という感じなんです。
仮に、大問2~5までを(1)しか解けないとどうなるか計算してみると、25+6+7+7+7=52点となります。
もうひと息で合格者最低点に届きそう。
しかし、大問1でひとつでも解けないと47点になります。
この47点から52点付近、つまり合格者最低点の少し下にたくさんの受験候補生がいるわけです。
ここを突破するためには、まず正確でなければいけませんが、もうひと押し必要なわけですね。
ちょっと先を見ていくと…、
大問2は平面図形なんですが、いきなり(2)を解くとかなり難しいんです。
(1)を消してコピーして解かせてみるとお手上げなんです。
(1)は簡単で、1回実験をしているような問題になっています。つまりここは(1)で終わっては話にならないのです。
(2)で差がつくわけですね。というか、(2)をゲットしないともうひと息の状態から抜け出せないのです。
大問の3の水槽に水を入れる問題も同じで、(1)が『みんな解けるでしょ』という問題です。
大問の4も5も同じパターンが続いています。
最初の問いでヒントをくれているわけです。
つまり、答えに無事辿り着くように誘導してくれているわけです。
(1)はできたけど(2)は難しかったよぉ~なんて言ってたらシャレにならない。
その問題は(2)と(3)を解くことが目的で、(1)は一応誘導してくれているだけなのですね。
最初はそんなこと全然考え付かなくて、(1)は(1)、(2)は(2)という風に仕切り直しと思って解いていたわけです。
それがある日、誘導しているパターンが多いことに気付き、試しに(1)を伏せて考えてみると全然解けない。
なるほど~、と思いましてね。
もう少し易しい問題の(1)を伏せていくつか解かせました。
結構難易度が上がるわけです。
その後、「じゃあ(1)があったとしたら?」と見せてみると
「なあ~んだ。そういうことね」と言うんです。
これを何度か繰り返すと、手前の問いがどうして与えられたんだろう……と考えるようになります。
いきなり考えるのではなく、手前の出題意図を探るクセがつくわけです。
これ、クチで言うよりも得した感を感じてもらうことが重要でしてね、コツを掴むと結構解けるようになります。
さらに、理科がこのパターンが多くてですね。
仕切り直しちゃ損なんです。
ひとつ解けたらなぜかひと息入れちゃうでしょ?
鉛筆は走っているんですけど、あたまが一回『ふう~』となるわけです。
これダメでね。もう最悪なんです。
(3)で勝負! (3)が勝負! むむむ……!
ってな感じで最初の問いを解くと、「おおぉ! みえた!」となることが非常に多いわけです。
難関中学になればなるほど、このヒントがわかりづらくてですね。
「おいおい!もうちょっとヒントはねーのかよ!」となるわけです。
「バレバレじゃん!」という誘導ではなくなるわけですね。
でもここは、「ヒントはねーのかよ!」という思考が問題を考えることになっているものですから、いい調子なのです。
まずはこの誘導を意識しなければかなり難問になることが多い。ここがわかってないわけです。
しかし、難関中学の中でもわりと近い年度の過去問を見てみると、まるで誘導していない学校があるんですね。
これは手強い。マジ手強い。
もうひと伸びしたいときって、ミスが多いか大問の(3)でこけているかのどちらかでしょう?
後者の場合は、そもそも問題の誘導に乗るという感覚が身についていない場合が多いのかもしれません。
そっかー! 誘導かあー!
いきなり社会に飛び出してもダメかあーーー!
そういやあ、ノーヒントだったもんなあ~。
(-。-)y-゜゜゜
2014.11.22 am 0:00
桜井信一
※記事の内容は執筆時点のものです
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