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資本主義とは? 社会主義とは? 小学生にもわかりやすく解説 (2ページ目)

2019年5月30日 ゆずぱ

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資本主義と社会主義の歴史

資本主義と社会主義のイメージがついたところで、歴史について解説していきます。細かすぎる歴史的事実ではなく、ここでもまずはイメージをつかむことが大切です。子供と話していると、資本主義と社会主義の歴史の理解を難しくしているのは、大枠のイメージがつかめていないことが原因だと感じます。

4つの歴史的なできごとで整理する

資本主義と社会主義の転換期を、4つの歴史的なできごとで整理しましょう。

 

資本主義は、18世紀にイギリスで起こった産業革命をきっかけにできあがった社会システムです。産業革命とは「工場に機械を導入して大量にモノを生産できるようになった革命」のこと。工場をつくった人が労働者を雇ってガンガンお金儲けをしたことが資本主義の始まりといわれています。

社会主義は、20世紀初めに起きたロシア革命が大きな転機となり生まれました。産業革命のあと、資本主義が浸透したことで貧富の差がどんどん広がります。そのなかで社会主義という考え方が唱えられ、史上初の社会主義国家であるソビエト連邦(ソ連)が誕生しました。

冷戦は「西の資本主義vs東の社会主義」

第2次世界大戦の終戦後、資本主義の国と社会主義の国が対立する「冷戦」の時代が訪れます。資本主義国の代表がアメリカ、社会主義国の代表はソ連です。そして20世紀終盤のソ連崩壊を機に、冷戦は終結しました。ちなみに現在、社会主義国は中国やキューバなど世界でもわずかとなりました。

冷戦の時代は資本主義の国々が「西側陣営」、社会主義の国々が「東側陣営」と呼ばれました。理由はヨーロッパの西に位置するイギリスやフランスなどが資本主義国で、ヨーロッパの東側に位置するポーランドやルーマニアが社会主義国だったからといわれています。冷戦はアメリカを中心とした西側諸国と、ソ連を中心とした東側諸国で対立していた、という構図をおさえましょう。

分断してしまった3つの国

資本主義と社会主義が対立するなかで、国内が分断してしまった国があります。中学入試で押さえておきたいのは、「ドイツ」「ベトナム」「朝鮮半島」の3つです。

第2次世界大戦が終戦し、ドイツは「資本主義の西ドイツ」と「社会主義の東ドイツ」に分断します。ベトナムは「資本主義の南ベトナム」と「社会主義の北ベトナム」に、朝鮮半島は「資本主義の韓国」と「社会主義の北朝鮮」にそれぞれ分断されました。ドイツやベトナムは統一を果たしますが、韓国と北朝鮮はいまも朝鮮戦争の休戦中の状態が続いています。

中学入試で注意すべきこと3つ

資本主義と社会主義について、中学入試に関連する補足事項を紹介します。

「民主主義」は別ジャンルの言葉

中学入試では、資本主義や社会主義をテーマにした設問のなかに、「民主主義」という言葉が登場することがあります。2018年開成中学の問題でも、まさに「民主主義」という言葉が出てきました。資本主義や社会主義は「経済体制」に使う言葉です。一方で、民主主義は「政治体制」に使う別分野の言葉です。

なんとなく響きが似ていますがジャンルが違う言葉なので、しっかりと識別しましょう。

渋沢栄一は「日本資本主義の父」

日本政府は、紙幣に印刷される肖像画を2024年に一新すると発表しました。一万円札の肖像画は渋沢栄一です。渋沢栄一は日本で初めての銀行を設立し、数多くの企業の経営に貢献したことから「日本資本主義の父」と呼ばれています。2019年現在とてもホットな話題ですので、入試でも狙われるかもしれませんね。

治安維持法の目的は?

日本では、1925年に治安維持法という法律が制定されました。1917年のロシア革命で世界初の社会主義国家ができたことで、日本の皇室などを批判する社会運動がおこります。この運動を取り締まるために制定されたのが治安維持法です。中学入試では、治安維持法がつくられた目的についての問題が出題されたこともあるので押さえておきましょう。

まとめ

「資本主義と社会主義」は、小学生だと理解がちょっと難しい領域です。そのため厳密な定義ではなく、まずはザックリとしたイメージで歴史的事実を覚えるのがおすすめです。

社会や理科の教科書でも、小学生向けに簡略化して説明しているものが多くあります。わたしの息子も、イメージをつかんだことで理解が深まったといいます。

親からすると「できれば細かいところまで覚えてほしい」と考えてしまいますが、あえてイメージから覚えることで理解が深まることもあります。今回の記事で「資本主義と社会主義」のイメージを理解できるようになったのであれば幸いです。

※記事の内容は執筆時点のものです

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