連載 今一度立ち止まって中学受験を考える

中学受験 入塾前の体験授業で確認すべきポイント|今一度立ち止まって中学受験を考える

専門家・プロ
2019年11月01日 石渡真由美

10月から12月にかけて各中学受験塾では、次年度の生徒募集(主に新4年生対象)に向けて、入塾テストが実施されます。しかしその前にとても大切なことがあります。その塾がお子さんに合っているかを見極めるために、体験授業に参加することです。では、体験授業ではどんなことをチェックすればよいのでしょうか?

体験授業でチェックすべき3つのポイント

体験授業でチェックすべきポイントは次の3つです。

1.授業が一方通行になっていないか
2.問題を解く時間が十分にあるか
3.板書を写す時間が十分にあるか

詳しく説明をしていきましょう。

1.授業が一方通行になっていないか

小学生の子どもにとって、授業が楽しいかどうかは大きなポイントです。先生が解説するだけの一方通行の授業だと、よほどの集中力がある子でない限り、ほとんどの子は退屈してしまいます。特に理科や社会は、子どもの興味を引き出す話(雑学も含め)ができるかどうかは要チェックです。

全教科にいえることですが、適宜先生から子ども達への問いかけがあり、自由な発言ができる授業が望ましいでしょう。ただし先生の話があまりにも脱線して、その日に教えるべき内容を教えきれないというのでは困ります。また、子ども達の発言が自由すぎて収拾がつかないのも問題です。そこをうまくさばけるかが先生の力量にかかっています。

2.問題を解く時間が十分にあるか

中学受験に必要な学習範囲は膨大です。大手進学塾の場合、年間のカリキュラムが固定されていて、その日に習う単元はその日のうちに終えるのが鉄則です。小学校の授業よりもスピーディーに進んでいきます。

たとえば算数の授業なら、まずその日に学習する新しい単元の説明から始まります。子ども達に類似問題を解かせたあと、先生がその問題の解説をして授業が終わります。そして、授業後には宿題が出されます。

授業中に子ども達が問題を解く時間があまりに短いと、自分で解く前に先生の問題解説を聞いて授業が終わってしまいます。すると、理解が不十分なまま、宿題に取り組むことになります。先生がその日に教える単元を終わらせることばかり優先していると、理解が浅いまま授業が先へ先へと進んでしまい、子ども達が消化不良をおこしてしまうのです。授業中、問題を解く時間が十分にあるかは体験授業でもしっかり確認しておきましょう。

3.板書を写す時間が十分にあるか

問題を解く時間と同じように、板書を写す時間が十分かどうかも体験授業のチェックポイントです。子どもがノートに写しているときに、先生が説明を開始してしまうと、大事なポイントを聞き逃してしまうからです。私の教室では板書を写す時間をきちんと設けるのはもちろん、板書した内容をデータにしてSNSなどで生徒・保護者に共有できるようにしています。

体験授業はどの教科で受講すべきか

体験授業はできれば4教科すべてを受講したほうがいいでしょう。それが難しく、1教科しか体験できないのであれば、算数の体験授業を受けることをおすすめします。中学受験ではやはり算数は重要科目で、大きくつまずいてしまうと、総合点を上げることが難しくなってくるからです。

ただ、一部の大手進学塾にはそもそも体験授業を実施していないところがあります。そういった塾は難関校の合格実績がよいので、入塾前の体験授業がないにも関わらず、多くの小学生が通うのです。長年中学受験の指導をしてきた私からすると、一度も授業を観ることができない塾へわが子を通わせるのは、かなりリスクがあると思うのですが、実績と塾のブランドに惹かれて安易に入塾を決めてしまうご家庭は少なくありません。

同じ小学校の友達がいない塾も選択肢に

「友達と同じ塾に通いたい」と子どもに言われ、「○○ちゃんが通っている塾なら、一緒に行けるから安心ね」と同じ塾に入れてしまうケースがあります。

しかし、私はできれば同じ小学校に通う友達がいない塾へ行くことをおすすめします。仲のいい友達がいると、授業中におしゃべりをするなど集中できなくなってしまうからです。また、女の子はグループで行動する傾向があるので、先生の悪口で盛り上がったり、成績によるヒエラルキーができてしまったりすることがあります。そういうことに気持ちが引っ張られすぎて、成績が伸びにくくなってしまうことも少なくありません。受験勉強に集中したいのであれば、学校の友達とは別の塾を選ぶか、同じ塾でも違う校舎に通うほうがいい場合があります。

塾の立地、校舎の清潔感などもチェック

塾の立地や雰囲気も要チェックです。大手進学塾は、主要駅の前にあることが多く、通塾に便利な場合が多いでしょう。校舎も清掃が行き届いていると思いますので、ハード面で大手進学塾は充実しているといえます。

一方、小中規模塾や個人塾は、雑居ビルのなかにあることもあります。駅からの道のりで危険な場所はないか、ビルのなかに他にどんな店舗が入っているかなどもチェックをしておいた方がいいでしょう。また、教室の照明が暗くないか、ホワイトボードを使っている場合は反射して見えにくいところがないか、トイレが清潔かどうかなども気にしておくといいでしょう。

最終的な決めのポイントは、お子さんも親御さんも「ここなら良さそう!」と思える塾かどうかです。中学受験の勉強は3年間と長期戦。ご家庭にとって良いパートナーとなる塾を選びましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

宮本毅
宮本毅 専門家・プロ

1969年東京生まれ。武蔵中学・高等学校、一橋大学社会学部社会問題政策過程卒業。大学卒業後、テレビ番組制作会社を経て、首都圏の大手進学塾に転職。小学部および中学部で最上位クラスを担当し、多数のトップ中学・高校に卒業生を送り込む。2006年に独立し、東京・吉祥寺に中学受験専門の「アテナ進学ゼミ」を設立。科目間にある垣根は取り払うべきという信念のもと、たった一人で算数・国語・理科・社会の全科目を指導している。また「すべての子どもたちに自発学習を!」をテーマに、月一回の公開講座を開催し、過去3年間でのべ2000名近くを動員する。若い頃からの変わらぬ熱血指導で、生徒たちの「知的好奇心」を引き出す授業が持ち味。

■著書

『はじめての中学受験 これだけは知っておきたい12の常識』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 同音異義語・対義語・類義語300』(中経出版)
『文章題最強解法メソッド まるいち算』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える理科85』(KADOKAWA出版)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える社会140』(KADOKAWA出版)
『ケアレスミスをなくせば中学受験の9割は成功する』(KADOKAWA出版)
『合格する子がやっている 忘れない暗記術』(かんき出版)

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。

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