中学受験ノウハウ 連載 しあわせな中学受験

第一志望校に不合格。がっかりしている子どもになんて言う?|しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと

専門家・プロ
2020年3月03日 中曽根陽子

受験には合否がつきもの。残念ながら、第一志望校からいいお返事をもらえなかった人は、辛い気持ちになっているかもしれません。特に子どもにとって初めての大きな挫折体験かもしれないので、親も心配です。しかし、春からは中学生として新しいスタートを切らなくてはなりません。今回は不合格という体験をどう捉えたらいいのかを考えてみたいと思います。

不合格という結果を引きずるのは親のほうかも

受験も終わり、志望校に合格した人も残念だった人も、これまでの子育てで出会ったことがないような体験をされたことと思います。いずれにしても、まずはお疲れさまでした。さて、今回は残念な結果だった場合に、親はどう対応すれば良いのかということについて考えてみたいと思います。

受験した学校への思いの強さに差はあるかもしれませんが、「合格」を目指して頑張ってきた受験生とご家族にとっては、「不合格」という結果はなかなか受け入れ難いものですし、落ち込みます。

実は、私自身もそういう体験をしました。私には中学受験を経験した二人の子どもがいます。二人とも第一志望の学校は不合格。上の子の場合、第一志望の学校は、偏差値的にかなりのチャレンジ校でした。そうした状況でも粘り強く頑張っていたのを覚えています。しかし、結果は補欠。繰り上がりは叶わなかったのです。

もちろん「よくがんばった!」と褒めてあげましたが、心の中では「こんなに切ない思いをさせてまで受験をさせてよかったのか……」と、中学受験をしたことを後悔する気持ちが出てきてしまい、入学式直前まで、晴れ晴れとした気持ちにはなかなかなれませんでした。

そんななか迎えた入学式。子どもも少しふくれっ面をして臨んでいたので、「この先大丈夫かな……」と心配したのですが、入学後は一転。新しい環境に馴染もうと頑張ってくれて、その様子を見て徐々に私の心も軽くなっていきました。

不合格という結果を引きずって落ち込んでいたのは私のほうで、子ども以上にがっかりしていたのです。そんな気持ちが顔に出ていたから、子どももふくれっ面をしていたのだと気が付いたのはもう少し後のことでした。今私が「受験は親子で成長するチャンス」と皆さんに伝えている原点がここにあります。

下の子のときは、この経験があったので、受験する前からどんな結果でもそれがベスト! と思えました。下の子も第一志望校は不合格でしたが、親子ともにそれほど落ち込むことはありませんでした。

受験は育ちの機会にもなるけれど、間違えるとしこりを残す

その後『後悔しない中学受験』という本を書くために、受験を経験した親御さんや本人に話を聞くなかで、多かれ少なかれ、みんなそんな切ない思い、苦い思いを経験しているということがわかりました。そのなかでも、非常に印象的で切なかったのが、当時すでに大学生になっていた中学受験経験者から聞いた次の話です。

一番こたえたのは、第一志望校に不合格だったときに親がものすごく不機嫌だったこと。自分は仕方がないと思ったけれど、親には申し訳ないと思った。

その青年は、合格の可能性が高いと言われていた第一志望校にまさかの不合格でした。その後リベンジのために、中学・高校では常に上位に居られるように頑張って東大に入ったものの、「親とは距離ができてしまった」と言うのです。

また、子どもは中学受験の結果に納得しているにもかかわらず、第一志望が残念な結果になったことに対して「3年後、6年後のリベンジを誓う!」と言うお母さんもいました。子どもを励まそうと思っての言葉なのだと思いますが、一方で「落ちたあなたはダメ」というメッセージを伝えることになってしまいかねません。

この本の帯に、教育学の権威である汐見稔幸先生が「受験は全てそうだが、うまくやればその子の人間としての育ちの機会になるが、逆だとしこりが残る」という言葉を寄せてくださいました。

中学受験は、通過点に過ぎない。これからが楽しみになるように、ポシティブシンキングを

子どもは親の不安や本心を敏感に感じ取ります。しかも、たいていの子どもは、親の喜ぶ顔を見たいと頑張っているところがあると思います。だからこそ、もし残念な結果だったとしても、そこはどーんと構えて(本音では落ち込んでいたとしても、子どもの前では顔に出さず)「よく頑張ったね。今回は残念だったけれど、このチャレンジはぜったい後からいい経験になるよ!」と言ってほしいのです。そして、これから始まる学校生活が楽しみになるように、一緒に通うことになった学校の良いところを見つけてあげるといいですね。

さて、第一志望校に不合格だった私の子どもは、その後どうなったでしょう。進学した学校は校則の厳しい女子校でしたが、時には校則破りもして親をハラハラさせながら、思う存分学校行事や部活を楽しみ、良い友達に出会い、大学受験でもハラハラドキドキのチャレンジをして、結果的には中学受験では残念だった学校の系列大学に合格を果たしました。今振り返ってみれば、あの時不合格だったからこその出会いや経験をたくさんして、成長することができたと思います。

中学受験は通過点に過ぎません。どんな結果であれ、その経験をプラスに変えていけるように、ポシティブシンキングで、この時期を乗り切ってください。きっと素敵な未来が待っています。


これまでの記事はこちら『しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと

※記事の内容は執筆時点のものです

中曽根陽子
この記事の著者
中曽根陽子 専門家・プロ

教育ジャーナリスト。小学館を出産のため退職後、「お母さんと子供達の笑顔のために」をコンセプトに数多くの本をプロデュース。子育て中の女性の視点を捉えた企画に定評がある。教育雑誌から経済誌、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。中学受験に関しては「受験を親子の成長の機会に」という願いを込めて『1歩先行く中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』『後悔しない中学受験』(共に晶文社)『子どもがバケる学校を探せ』(ダイヤモンド社)などを執筆。教育現場への豊富な取材や海外の教育視察を元に、講演活動やワークショップもおこなっており、母親自身が新しい時代をデザインする力を育てる学びの場「Mother Quest」も主宰している。近著は『成功する子は「やりたいこと」を見つけている 子どもの「探究力」の育て方』(青春出版社)

1歩先行く中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい 成功する子は「やりたいこと」を見つけている 子どもの「探究力」の育て方