中学受験ノウハウ 勉強法

【ケース別に紹介】学習計画の失敗例と成功例

2020年9月16日 室内玲

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塾講師として働くなかで、「学習計画がうまくいかない」といった相談を保護者から受けることは少なくありません。その多くが、「勉強時間は多いはずなのに成績が上がらない」「計画したことをやっているけど内容が定着しない」といった悩みです。

学習計画を見直すためのヒント

学習計画がうまくいかないときは、勉強のしかたが子供に合っていない可能性が考えられます。そこで学習計画を見直すことが大切ですが、まずは子供の性格や状態、どのような点につまずいているのかを把握しましょう。そのうえで子供の状況に合った勉強を考え、何をさせていけば良いのか具体的に考えていきます。

ケースごとの失敗例と成功例をもとに、学習計画を見直すためのヒントを紹介します。

【ケース1】計画通りに進めたけど成績が落ちてしまった

計画通りに勉強をさせていたAさん。しかし、子供の社会の偏差値が下がってしまいました。

失敗例

「社会は基本語句を暗記しておけば点の取れる教科。きっと暗記ができていないに違いない」と考え、基本語句を覚える問題集をやらせた。しかし、次の模試でも偏差値は上がらないままだった。

成功例

「この問題はどうやって解いたの?」と子供に一問ずつ確認したところ、基本知識は覚えていることがわかった。ただ、資料や設問の内容を読み込んでヒントを拾い、自分の知識と結びつける作業はできていないようだった。そこで基本知識を活用する問題を解かせ、解くたびに設問の理解ができているか確認するうちに成績は回復した。

■子供目線で解決策を考える

失敗例では、親自身の経験から「社会ができない=暗記ができていない」と思い込んでしまっています。しかし小学生は、大人が想像できないようなことでつまずくことが少なくありません。そのため学習計画を見直すときは、「子供が何でつまずいているのか」を確認し、「そのために具体的に何をやらせるべきか?」を考えることが大切です。不正解の問題に対し、一つひとつ「回答までの考え方」を確認することが、子供のつまずきを発見する第一歩となるのです。家庭では難しいと感じる場合は、塾の先生にお願いすると良いでしょう。

【ケース2】新しい勉強法を取り入れようか考えている

子供の歴史の偏差値が下がってしまったBさん。ママ友の意見やネットの体験談では、「歴史の流れを覚えれば社会の成績が上がる」とよく耳にします。

失敗例

「たしかに歴史の流れを覚えれば、基本語句の整理もできるし、整序問題にも強くなるはず」と考え、一週間の学習計画に「歴史の流れを理解する時間」を組み込み、子供に教えてみた。ただ、何度同じことを話しても子供は歴史の流れを覚えられず、しまいには歴史の勉強を面倒くさがるように。「みんなができそうなことを、なんでうちの子はできないんだろう……」と悩みがさらに増えてしまった。

成功例

「この勉強法は、わが子に合っているかな?」とまずは考えてみた。わかったことは、歴史の大きな流れをつかみながら出来事を覚えていくのは苦手。一方で、歴史上の人物の背景には強い興味があるということ。そこで、人物にスポットをあてた話をしたうえで、「源頼朝と北条政子って、どんな関係だっけ?」「じゃあ北条義時はどういう人だっけ? 政子とはどんなつながりがあるの?」などと子供に質問していくことに。すると、人物を通じて歴史の流れを把握することができた。

■子供の性格に向いているか見極める

ママ友やネット上の成功体験や勉強法は、あくまで一例です。一般的に良いとされているやり方を試しても、子供の成績やモチベーションが上がらなかった家庭を、わたし自身たくさん見てきました。何か新しい勉強法をやらせるときは、その方法が子供の性格に向いているかを見極めることが必要です。家庭で見極めるのは難しい場合も多いので、塾に任せても良いですね。塾に相談する際は、親が考える子供の長所や短所、性格を先生に話すと、子供に適した勉強法を紹介してもらいやすくなります。

【ケース3】空き時間に勉強させようか悩んでいる

塾がない平日の放課後、空き時間ができて暇そうな子供。あらかじめ決めている勉強量はあるものの、ほかに何かやらせようかCさんは悩んでいます。

失敗例

計画していた以外の勉強をさせることにしたが、子供は集中できないようで、15分で終わる問題に1時間もかけている。「15分で終わらせるって言ってたよね?」と注意したところ、子供が反発しケンカになってしまった。

成功例

子供に、今日学校であったことを聞いてみた。するとクラブ活動や委員会が重なったようで、疲れていることがわかった。そこで、その日の家庭学習はかんたんな暗記物の確認にとどめ、次の朝に1時間早く起床させて勉強させることに。今朝は疲れが取れ、頭もすっきりしていたようで学習効率が上がったようだ。

■まずは子供の様子を把握する

空き時間を有効に使おう、という姿勢は大切です。しかし予定していた以外の勉強は、子供にとって気持ちが乗りにくいことがあります。元気に見えても、学校帰りは疲労もたまっているものです。そこで子供が疲れている様子が見えたら、その日の勉強は少しにして、別日にその分を挽回できないか子供と話し合っておくと良いでしょう。早起きのメリットを子供に伝えつつ、朝の時間を「プラスの勉強の時間」として利用することもおすすめです。

※記事の内容は執筆時点のものです

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