中学受験ノウハウ 親の関わり方

これって子供が疲れてるサイン? 親だからこそ気付ける「違和感」と対策

2021年7月06日 木村美鈴

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中学受験の勉強に打ち込む子供の様子に、違和感を覚えたことはありませんか?「もしかしたら疲れているのかも」と感じることも多いかもしれません。一方で子供は「疲れた」と伝えてくれなかったり、自分からストレスを発散したりするのも苦手。子供が疲れ切ってしまう前に、親としては「疲れているサイン」を早くキャッチしたいですよね。

わが子の中学受験を並走してきた私の体験、そして知り合いの子の“サイン”を例にとり、どのように違和感を捉えたのか、そして疲れに対しておこなった対策も紹介します。

子供が見せる疲れのサイン

わが子が見せた疲れのサイン、また知り合いの子が起こした行動を紹介します。

子供が見せる疲れのサイン

  • 大人と同じようなサインを見せる
  • 衝動が抑えられない
  • 幼いときの「疲れのサイン」がぶり返す

大人と同じようなサインを見せる

わが子は、疲れたときに食欲がなくなっていくことがしばしば。もともとやせ型だったこともあり、心配になって学校の養護の先生に相談すると、受験期だと知った先生から「疲れると、子供も大人と同じようなサインを見せますよ」と話がありました。次のように、大人と同じ不調が出てくることがあるようです。

大人と同じような疲れのサイン(例)

  • 食欲がない、または食欲がありすぎる
  • 寝つきが悪い
  • いつも眠い
  • イライラする

衝動が抑えられない

疲れた子供は甘えたり、わがままを言ったり、さらには攻撃的になったりと、衝動が抑えられなくなったという話もあります。私の友人の子は、「とにかく甘えと、わがままが酷くなった」そうです。その子はとてもしっかりした子で、いわゆる優等生タイプ。友達やその保護者と話すときもハキハキ話していて「さすがだな」という印象でした。しかし家ではちょっとしたことで泣いてしまったり、食事をつくっているママに「あのね、あのね」としつこく話しかけ、幼稚園児のような甘え方をしたりしていたようです。

ほかの友人からは「パパに噛み付いたりするようになった」という話を聞いたことも。ふだんはすごく仲良しの父娘だったようですが、中学入試の本番が近づいてくると急にパパに噛み付いたり、つねったりするようになったとか。でも受験が終わったらピタリとやらなくなり、「受験勉強で疲れてるサインだったんだろうね」とそのお母さんは納得した様子でした。ちなみに、受験期の子がほかの兄妹に強く当たり、ケンカに発展してしまうのも“中学受験あるある”です。わが家も、受験期は上の子が下の子にきつい言葉で当たり、何度もケンカになりました。

幼いときの「疲れのサイン」がぶり返す

私の子のケースですが、幼稚園に入園したときや小学校入学時など、幼いときに頻繁に見られた「疲れのサイン」が受験期にぶり返したことがありました。

幼いときの「疲れのサイン」(わが家のケース)

  • 胃痛
  • トイレが近い

胃痛は、ちょっとお腹が痛いぐらいから、起きていられないほどの痛みまで差があり、疲れが酷くなると症状は重くなっていきました。トイレは授業中は我慢できるようなのですが、家にいるときは15~30分に1回はトイレに行っていたように思います。

実は、どちらの症状も幼いときに病院に相談した経験があり、「疲れると胃痛やトイレの近さといった症状を見せる子もいますよ」とお医者さんから言われていました。そのため受験期に同じ症状が出たときは「体調不良ではなく、これは疲れのサインだ」とすぐに気付き、すぐに対処できました。

寄り添うことが何よりの対策

子供が疲れている様子を見て、「何もしてあげられないのが歯がゆい……」と感じる親御さんもいるかと思います。私自身も、寄り添ってあげることしかできませんでした。でも受験が終わったあと、「体調が悪いときに一緒にいてくれてありがとう」と子供から手紙をもらったことがあったんです。

私の子供の疲れには波があって、テストを受けて疲れることもあれば、小学校の活動や友達関係が影響して疲れてしまうことも。胃がかなり痛くなることもあったので、そんなときは学校を休んで寝させるようにしていました。子供は「塾は絶対に休みたくない!」と言っていたのですが、そうは言っても症状が収まらないときは休ませるしかなくて……。

ただ、このとき私が意識していたのは、学校や塾を休んだ日は子供を思い切り甘やかすこと。食事は子供が好きなものだけをつくったり、話をしたいようだったらずっと付き合ってあげたり ――。何もせず、子供がずっと眠っている日もありましたが、そうしたときも起こしませんでした。そして疲れているときくらいは受験のことは忘れ、ゆっくりしてほしいといった気持ちから、声をかけるときは「勉強で疲れているの?」とはあえて聞かず、「お腹の痛みはよくなった?」「ご飯は食べられそう?」といったかたちで体の調子を聞くようにしていました。結果的に無事に受験を乗り切ることができましたが、「親が近くにいてくれる」という気持ちが子供の安心につながったのか、受験期の後半は疲れの症状も改善していったように思います。

まとめ

受験期の子供は、疲れてしまうこともしばしば。でも、まだまだ小学生です。「疲れていること」をうまく伝えられない場合もあります。私自身、子供の疲れに対して参ってしまったこともありましたが、受験を終えたいま振り返ると「あのとき親子で乗り越えたことで絆が深まった」とポジティブな経験として捉えています。親御さんとしては、子供の疲れがひどくなる前に早めにサインに気付き、そのうえでまずは休ませるのが良いかもしれません。そして何より、親が近くで寄り添ってあげることが、子供にとって一番の“心の栄養”となりますよ。

※記事の内容は執筆時点のものです

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