中学受験ノウハウ 親の関わり方

自己肯定感とは? その意味と自己肯定感を高めるための親の関わり

専門家・プロ
2018年5月14日 宇田川大輔

子供の成長に重要だとして注目されている「自己肯定感」。それがどういうものなのか、わが子にはあるのかないのか、いざとなると、なかなか明解には言えない方も多いのではないでしょうか。自己肯定感は中学受験ではとりわけ重要なもの。ここでは、受験生専門の心療内科「本郷赤門前クリニック」の院長を務める吉田たかよし先生に、正しい自己肯定感の育て方について教えていただきました。

自己肯定感とはどんなもの?

自己肯定感とは、ひとことでいえば「ありのままの自分を肯定的に認め、何事にも前向きに取り組める力」であると吉田先生はいいます。

「この力は受験でもとても重要です。粘り強く努力し続けるためには自己肯定感が不可欠なのです。私のクリニックに通ってくる子供たちの中には、自己肯定感が欠如している子も多くいます。たとえば、成績が伸び悩んでいる時期に『どうせ勉強してもダメだ』と頻繁に口にしていた子がいました。これは、単なる悲観や謙虚な気持ちからではなく、もっと努力が必要だという現状を受け入れる気持ちがなく、現実逃避の手段としているのです。受験生の場合、これが自己肯定感の低い典型例です。合格を勝ち取るには、まずは、ありのままの自分を受け入れ、問題点や改善点を見つけ出して最大限の努力をしなければなりません。そのためには自己肯定感が必要なんです。受験勉強はもちろん、大人になってからも人生でずっと大切になる力ですね」(吉田先生)

「自信過剰」も自己肯定感の低さの表れ

「自己肯定感が低いと『どうせ勉強してもダメだ』と弱音を吐くのはイメージがつきやすいと思いますが、逆に自信過剰になるタイプもあります。受験生であれば、努力もせずに最後は受かると思い込んだり、自慢話が多いのもこのタイプの特徴です。自己を直視せず、『自慢=虚像』のイリュージョンの世界をつくり上げ、自分を実力以上の人間に見せて、そのイメージに逃げ込むわけです。自慢話が過度になると、やがて嘘に変わります。悪質な嘘に発展すると学校でトラブルとなるため、うつ病を発症して私のクリニックに来院するケースも少なくありません。受験期に限らず、生きる上で重要な土台となる自己肯定感はぜひ、大切に育んでいただきたいと思います」(吉田先生)

「あるがままの自分」を直視することが大切!

自己肯定感を養うために、「本当の自分を受け入れさせる」といっても、これは一朝一夕では難しいことに思えます。親として心がけることはどのようなものでしょうか。

「もしも、子供の自己肯定感が低いとき、実は親に原因がある場合がとても多いのです。親も自己肯定感が低く、『自慢=虚像』のイリュージョンが心の奥底にひそんでいて、それを子供が引き継いで増幅してしまうのです。重要なのは、まずは親自身がしっかりと現実を直視することです。努力から逃げたり、空虚な自信でごまかさず、等身大の自分を認めるという姿勢を親子で心がけるようにしましょう。中学受験という大きな挑戦に臨むためにも日ごろからその意識を大切に過ごしていただきたいと思います」(吉田先生)

「ありのままの自分」を認めてあげよう

「自分はどうせダメ」が口癖のタイプや自信過剰で自慢話が多いタイプ、このどちらも自己肯定感が欠如しているということがわかりました。親がまずできることは、現実をしっかり見て子供のありのままの姿を認めてあげること。また、親自身もそうした生き方ができているか、ふりかえることも大切ですね。

※記事の内容は執筆時点のものです

吉田たかよし 専門家・プロ

医学博士・心療内科医師。灘中学、東京大学、国家公務員上級経済職試験、医師国家試験などの合格体験を元に、日本で初となる受験生専門の心療内科、本郷赤門前クリニックの院長を務める。カウンセリングと最新の磁気刺激治療を組み合わせ、「受験うつ」から早期回復を図るプログラムを開発。脳科学と医学を応用した受験指導にも取り組む。『合格させたいなら「脳に効くこと」をやりなさい』(青春出版社)など著書60冊を上梓。

本郷赤門前クリニック
https://www.akamon-clinic.com/

この記事の著者

ライター・エディター・フォトグラファー/ファッションからビューティ、カルチャー、ライフスタイル系雑誌&WEBなどを手掛ける。現在、雑誌『LOADED』『NAIL VENUS』『美歯Navi』などの編集長を務めている。
http://m3-mag.jp