連載 中学受験は親と子の協同作業

中学受験する意味を子供に説明できる? 受験に親の覚悟が必須なワケ|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.1

専門家・プロ
2018年6月28日 石渡真由美

子供が小学3年生ごろになると、親達の間で話題になる、中学受験を「するか」「しないか」。「うちは公立中でいいわ」と思っていても、子供が「○○ちゃんが塾に通っているから、私も通いたい」と言い出し、中学受験を始めてしまう家庭も少なくありませんが、ちょっと待って! 中学受験する意味を、本当に考えていますか? 受験をするならしっかりと家族の方針を考えて決めるべきです。なぜなら、今の時代の中学受験は、親が思っている以上に過酷だからです。

親のサポートが必須な中学受験。あなたはそれを最後までやり抜く覚悟はできていますか?

中学受験は小学校生活の半分を費やす家族の一大プロジェクト

一般的に中学受験は小学3年生の2月から6年生の入試本番まで、3年かけて準備を進めていきます。3年といえば、小学校生活の半分。小学生の子供に、進路や勉強法、学習スケジュールをすべて任せるのはまず不可能ですから、親の関わりは不可欠。そのため、「中学受験は親子の受験」と言われています。

中学受験の第一歩 入塾テストは上位クラスを目指して

多くの家庭にとって、中学受験の第一歩となるのが、3年生の後半から始まる入塾テストです。「塾に入るのにテストあるの?」と驚いた人もいるかもしれませんが、このテストは単に入塾の可否を決めるものではなく、その先の学習進度にも大きな影響を与えるクラスを決める判断材料になります。この入塾テストで上位クラスに入れるかどうかで、その先の進路も大きく変わっていきます。上位クラスに入るほど、難関中学への道が近づく仕組みになっているので、まずは入塾テストで上位クラスに入ることを目指しましょう。

中学受験をするなら大手進学塾がベター

「中学受験をするなら塾に入れないとダメ?」「スタートからすでに競争が始まっているの?」中学受験に対する不安を持つ親御さんも多いことでしょう。現在は、中学受験も多様化し、英語や作文などの得意分野で受験ができる学校もありますが、それでも国語・算数・理科・社会の4科目入試が主流。

しかも、その中身は小学校の授業で習う内容と大きくかけ離れているため、中学受験に必要な勉強をしなければなりません。そのためには、それを専門に教えてくれる中学受験塾に通わせるのが一般的。受験塾は大手塾、小規模塾、個別指導塾などいろいろな塾がありますが、特にこだわりがなければ大手進学塾をおすすめします。なぜなら、大手進学塾には中学受験に必要なカリキュラム(進行表・テキスト・テスト)が揃っているからです。

けれども、大手進学塾に通ってさえいれば、成績が上がるわけではありません。塾では教科は教えてくれますが、宿題をどう進めていくか、テスト対策をどうしていくか、子供のモチベーションをどう維持していけばいいかは家庭に任されます。つまり、中学受験は家族の一大プロジェクトなのです。

中学受験をさせる意味を答えられますか?

長期戦と言われる中学受験で最も大事なことは、「なぜ中学受験をするか?」という動機です。高校受験と違って、中学受験は「するか」「しないか」を選択できる受験です。まだ幼い小学生の子供を親がコントロールしたり、励ましたりしながら、3年間伴走しなければならず、それは親にとっても、子供にとっても大きな負担となります。にもかかわらず、「する」と選択したのには、何かしらの理由があるはずです。

中学受験をさせる理由は家庭によってさまざま

中学受験を考えるきっかけは、各家庭によっていろいろだと思います。例えば「どうしても親と同じ医者になってもらいたいから医学部進学に強い進学校へ入れたい」「近所の公立中学では不安だから私立中に行かせたい」「10代は伸び伸びと過ごして欲しいから、受験のない大学付属校に入れたい」「女の子だからしつけに厳しいカトリック校に入れたい」など。

しかし、どのような理由であっても、また志望校の偏差値に差があっても、中学受験をするにはかなりの「覚悟」と「準備」が必要です。そして、その覚悟をすべきは、子供本人よりもむしろ親であることを知っておいて欲しいと思います。

中学受験をするなら夫婦の意見の一致が不可欠

中学受験を始める前に、必ず確認して欲しいのが、夫婦の意見の一致です。中学受験は小学校生活の半分を費やす家族の一大プロジェクト。お父さんとお母さんのどちらかが熱くなって、どちらかが冷めているという状態では、決してうまくはいきません。スタート時点は、まだ志望校が決まっていなくても、「わが家の教育方針」だけはしっかり決めておきたいものです。

また、親が中学受験をさせることに「かわいそう」と感じたり、迷ったりすると、子供は勉強に集中できなくなります。中学受験を「する」と決めたら、親は覚悟を持って、最後までお子さんと共に頑張り、応援してあげましょう。

楽しくなくちゃ中学受験はできない

中学受験とは、ある意味で過酷なものです。まだ幼い小学生が、受験勉強のために、遊びを我慢したり、好きな習い事をセーブしたりしなくてはなりません。また親にとっては経済的にも時間的にも大きな負担が強いられます。

でも、その勉強は本当に辛いものなのでしょうか? どんなに辛くても、楽しいことや面白いことがあれば、子供は一生懸命取り組みます。野球が好きな子なら、練習が厳しくても、レギュラーになれなくても、好きだったら楽しく続けられるもの。

受験勉強もそれと同じで、やり方さえ間違わなければ、小学校の授業では知ることができない深い学びを得ることができます。また、「志望校に合格する」という高い目標を持つことで、努力することの大切さを学ぶこともできるのです。

中学受験を成功させる秘訣は、子供が気持ちよく勉強できる環境を整えること

「中学受験は詰め込み学習だ」「小学生の子供があんなに夜遅くまで塾で勉強だなんてかわいそう」中学受験に対して、冷ややかな意見を言う人はいます。でも、それは他人が持つイメージに過ぎません。家庭できちんと教育方針を立て、そのためのフォローを親がしていけば、中学受験は家族の結束力を固めるよい機会となります。

中学受験を成功させる秘訣は、子供が気持ちよく勉強できる環境を親が整えてあげること。それにはまず夫婦の意見を一致させ、そのために親に何ができるかを話し合い、どんなときでも「わが子にとってのベスト」を考えることが大切です。


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※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。

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