中学受験ノウハウ 連載 塾のトリセツ

入試直前期、親は不安とどう向き合うか│中学受験塾のトリセツ#53

2025年1月14日 天海ハルカ

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埼玉入試が始まり、東京、神奈川の入試解禁日まで1ヶ月を切りました。

入試に挑む子どもたちは期待と不安を抱いていることでしょう。

そんな中、親としてはどんなに頑張っている我が子を見ても、不安を感じてしまうのは仕方のないこと。

今回は入試直前のこの時期の親御さんに向けて、不安との向き合い方を5つに分けてお話しします。

1.今までのペースを守る

ラストスパートという言葉もあるように、直前期は不安になって、子どもにもっと勉強をさせなくてはと思ってしまいがちです。

もちろん、たくさん勉強するのは悪いことではありません。

勉強で不安が紛れるタイプの子どもなら、勉強の追い込みをかけるのも良いでしょう。

しかし、親の不安を解消するために勉強させるというのはおすすめできません

どれだけ勉強させても、それでは入試への不安は解消されないんですよね。

むしろ、解けない問題や満足できない点数が気になり、不安が増してしまうことも。

さらには「勉強しなければ」という雰囲気を親が出すことで、子どもが不安や焦りを感じてしまうリスクもあります。

私が6年生を受け持った塾でも、1月最後の授業まで宿題の量と内容は変えませんでした。

直前期は子どもとこれまでの頑張りを信じて、今までのペースを守って勉強してほしいですね。

2.厳しさは塾に任せる

「厳しいことを言うのは塾に任せてください」というのは、実際に私自身も親として塾から言われたことのある言葉です。

入試直前でも、勉強しない子はしません。

我が子の場合は勉強しないこともないのですが、自分のしたい勉強が優先で、苦手科目は後回し。結局、忘れてやらないままになってしまうこともしばしばです。

しかし、家で親にずっと厳しくされると、子どもは精神的に逃げ場がなくなってしまいます。

精神的に落ち着かなければ、子どもはもっと勉強したくなくなり、悪循環に陥ります。

厳しく言って勉強するなら、もうやっているんですよね。

6年生は塾の授業時間が長く、塾にいる時間は絶対に勉強をしています

そう考えれば、家で勉強しなくとも勉強時間がゼロにはなりません

家では厳しく言いたいところをできるだけ我慢し、頑張った部分を認めてあげる方向で、やる気を引き出したいですね。

3.子といないときにリラックスする

子どもが不安を抱える時期は、それを見て聞いている親も大きなストレスを抱えます。

子どもは親にぶつけて不安を解消することもあるでしょうが、親はそうはいきません。

親の不安は親がひっそりと解消するしかないのが、つらいところですよね。

子どもが学校や塾に行っていて家にいないときは、できるだけ心が穏やかになるよう過ごしましょう

子どもの受験に関わるものは、緊急でない限り見ないようにし、子どもがいない時間は心を受験から離します

たまには好きな映画を見てくつろいだり、買い物に出かけたりできると良いですね。

「子どもが頑張っているときに自分だけ休むのは心苦しい」気持ちもわかりますが、子どもと穏やかな心で向き合うためと考えて、ぜひ試してみてください。

親のメンタルが安定していることは、子どもにとって大きな安心となるはずですよ。

4.スケジュールを複数組んでおく 

とはいっても、不安が大きくリラックスなんてとてもとても……という場合は、子どもの成績や勉強結果を見るのではなく、今後のスケジュールに目を向けてみましょう

スケジュール作成は、子どもの入試のために親ができる重要な仕事です。

不安を感じるときは、入試初日と翌日の結果次第で変更できるよう、複数の受験スケジュール案を組んでおきます

たとえば初日の結果が良かったらチャレンジ校の受験を増やす、良くはなかったら抑え校を増やすなどですね。

また、抑え校も好ましくない結果になった場合の、さらなる抑え校を考えるのもひとつの方法です。

たとえば東京入試をメインにするなら、2月の1~3日に入試が集中していますが、4日と5日の入試は前日の23時59分まで出願できるところも多くあります。

通学可能圏内の学校をあらためて調べてみると、条件の合う学校があるかもしれません。

ただし、スケジュールの別案を子ども本人に言うと、親の不安が伝わってしまうおそれがあります。

子どもには今のスケジュールでまっすぐ頑張ってもらい、いざというときまで別案は親の心にしまっておきましょう。

5.結果をシミュレーションしておく

複数のスケジュールを組むことと近いのですが、さまざまなパターンを頭の中でシミュレーションしておくと、入試への心構えができます。

第一志望校やチャレンジ校に合格した場合はもちろん、抑え校のみ合格だったパターンも必要です。

というのも、たとえ第一志望校に手が届かず、抑え校しか合格できなかったとしても、親にはがっかりした姿を子どもには見せないでほしいと思うからです。

もちろんがっかりするのは仕方のないことですが、それは心の内にしまっておき、子どもには隠せるようにしたいですね。

抑え校とはいえ、子どもにとってはこれから3年間、長ければ6年間通う母校となります。

前向きな気持ちで子どもが通えるよう、万が一の心構えとして、さまざまな結果をシミュレーションしておきましょう

子が不安を吐き出せる環境づくりを

入試直前の親の不安は、自分が直接入試に挑むわけではないからこそ、解消が難しいものです。

子どもを見ていてハラハラしてしまう気持ちは、私も痛いほどわかります。

我が家の場合は、どうしてそんなに危機感がないんだろうと思ってしまうんですよね。

一方で、話しかけるのをためらうほどに、ピリピリしているお子さんもいることでしょう。

そんな中で親がすべきなのは、子どもが不安や焦りを見せたときに受け止めてあげることです。

親は不安を子どもに見せず、子どもが安心できる環境を作ってあげると良いと思います。

入試まであと少し、最後まで頑張りましょう!

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※記事の内容は執筆時点のものです

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