中学受験ノウハウ 連載 塾のトリセツ

[読者質問に回答]外部テストで成績がイマイチだった……転塾するべき?│ 中学受験塾のトリセツ

2025年2月06日 天海ハルカ

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中学受験塾ではクラス分けなどを目的として、定期的にテストが行われます。

そこでは偏差値が出るのですが、外部のテストを受けてみると、塾内テストとは違った結果が出ることも。

結果によっては、今の塾に通い続けていて良いものかと考えてしまうかもしれません。

今回は「中学受験塾のトリセツ」へ届いた「外部テストでの成績に不安を抱いたが転塾はすべきか」というご相談に、塾講師の立場からお答えします!

外部のテストを受けたら結果が悪くて不安になりました……

■ニックネーム

りえ

■お子さまの学年

新小5

■質問内容

3年生から市進に通い、4年生も一番上の難関クラス、来月からの5年生も同じく難関クラスになりました。

市進定例試験での偏差値は算数65〜68、国語59くらいです。

このままのペースでいけば、渋幕は無理でも市川や東邦大東邦レベルは目指せると思っていましたが、全国統一小学生テストや日能研模試を受けた結果、算数の偏差値は57〜59、国語も52くらいでした。

これは、市進のレベルが低いため、他塾の子とは戦えていないということでしょうか。

毎日とき直しや、宿題も発展編までこなし、図形や速読オプション講座にも毎週取り組んでいます。これ以上勉強の時間を増やすことは難しいくらい勉強しています。

市進では難関クラスでも、他塾の子たちに混ざったら偏差値が50台になってしまうのでしょうか。

市川あたりに行きたいなら、転塾は必要でしょうか。

 

りえさん、はじめまして。

外部のテストで成績が振るわず、今の塾に通い続けていて良いものか不安になっているとのこと。

勉強にしっかり取り組めているからこそ生まれる不安なので、どう対応すべきか難しいですよね。

まず今お考えの転塾についてですが、たしかに環境を変えることでより上のレベルを目指すのはひとつの手だと思います。

ですが、転塾にはデメリットもあるため、慎重に考えたいですね

転塾はメリット・デメリットをよく考えて

転塾をすると、テキストやスケジュールに慣れるまで時間がかかり、一時的とはいえ親子ともに大きな負担を感じる可能性があります

とくに今は新5年生が始まる時期です。5年生では4年生より勉強の量が増え、難易度も上がります。

同じ塾に通っていても、5年生の勉強に慣れるのは大変でしょう。

5年生で伸びる子もいれば伸び悩む子もいるため、塾内での偏差値の変動もあるかもしれません。

 

また、私は、ご不安の原因が今の塾にあるわけではない可能性を考えています。

というのも、市進学院はりえさんが名前を挙げた学校の合格実績があり、評判を聞く限り他塾と戦えないということはないように感じるからです。

また、現状お子さんが発展やオプションに手をつけられるほど順調に勉強を進められていることからも、お子さんに今の塾での指導がまるで合っていないということは考えづらいです。

今の塾の授業内容や先生の対応に具体的な不満があるということでなければ、転塾はメリットよりデメリットが大きいように感じます

ですので、まずは塾を変えるのではなく別の方法で不安を解消できればと思いました。

外部テストの形式に慣れていない可能性も

外部テストの偏差値で気になったのは、そのテストを受けるのが初めてだったのではないかということです。

もし初めてだった場合は、テスト形式に慣れていなかったことが原因で、思うような結果が出なかった可能性があります

6年生でも初めて過去問を解くときに「解答欄がわからない」「問題が多いわけじゃないのに時間が足りなかった」と言う子は多く、慣れない問題形式には苦労するんですよね。

初めての形式では、解答欄の使い方に悩んだり時間配分を間違えたりするのはよくあることです。

初めて受けた外部のテストであれば、その結果は参考程度に考えて良いように思います。

まずはテスト結果の分析を

今はちょうど新5年生が始まる時期です。

受験に必要な知識はこれからたくさん学びます。

志望校や偏差値を意識するのは、モチベーションの点からもとても良いと思いますが、これからの勉強で大きく変化することもあるでしょう。

現状では転塾などの大きな動きを考えるより、まずはテスト結果を分析して今後の勉強に生かしていくのが良いと思います。

目標とする偏差値にはあと何点必要か、その点数を取るために正解しておきたかった問題はどこか。正答率などをもとに、「間違えたができるはず、できてほしい問題」をピックアップし、直し作業をします。

そのときに、まだ習っていない問題があればしょうがないと割り切ります。正答率が1割以下の問題も“捨て問”として手をつけず、別の問題に時間を割きたいですね

時間が足りずに触れられなかった問題があれば、答えを見ずに一度解いてみましょう。時間配分さえできていれば取れた点数かもしれません。

また、基礎的な問題や正答率の高い問題を落としているようなら、普段の勉強を少し見直すのもひとつの手です。

まとめ

りえさんのお子さんはすでに十分頑張っていらっしゃる様子が伝わってきます。

これ以上勉強時間を増やすよりも、今の勉強時間の中で発展やオプションに割いている時間を基礎固めにまわし、取れる点数を落とさないようにするなど、勉強時間の内訳を変えるのが良いですね。

新5年生の勉強と合わせてこれらを進め、同じ外部テストをもう一度受けてみるのも良いでしょう。

 

今は目の前の課題を進めながら、さまざまなデータを集める時期

ぜひこのまま焦らずに取り組んでいってほしいと思います。

この連載では匿名での質問を受け付けています。ぜひ、塾について、中学受験についての質問などを、こちらの質問受付フォームからお寄せください。

※記事の内容は執筆時点のものです

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