学習 国語

中学受験で国語辞典を活用するコツと、子供を伸ばす一冊の辞典の見つけ方

専門家・プロ
2018年7月11日 鈴木恵美子

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最近の中学受験国語では、文章中の表現や言葉を注意深く読み取る力や、語彙力が重視される傾向にあります。語彙を豊かにするために、ぜひ活用したいのが国語辞典。中学受験生の学力向上につなげるにはどんな使い方をすればいいのでしょうか。また、子供に合った国語辞典を選ぶコツは何でしょうか。1人ひとりの個性と向き合い「勉強のやり方」を教える塾・プラスティー教育研究所に聞きました。

国語辞典活用のコツは、どんな学習のときも「分からなかったらすぐに調べる」クセをつけること

小学校ではだいたい3年生ごろから、授業に国語辞典が登場してきます。国語辞典を身近な友達として、引くのが楽しくなる工夫をしてあげれば、子供は興味を持って言葉を学び、どんどん吸収していくでしょう。

小学生の国語辞典、基本的な使い方は?

国語辞典を上手に使いこなすポイントは、子供にとって辞典が身近な存在になるように、定位置を決めてあげることです。

①常に手元に置き、ケースにはしまわない
国語辞典は常に手の届く場所に置きましょう。またケースには入れず、いつも裸のままにしておきます。すぐに使うことができるようにするためです。

②どんな学習のときも、そばに置いておく
理科や社会、算数の文章題にも分からない言葉が出てくるかもしれません。「この意味何だっけ?」と思ったらすぐに調べられるよう、机に出しておきましょう。

③調べた言葉に印を付けたり、付箋をつける
一度調べた言葉にはマーカーで線を引いたり、付箋をつけたりする習慣を付けましょう。「こんなに調べた!」という満足感や、「もっと頑張ろう」という動機づけになります。

国語辞典はこんなシーンで活用しよう!

子供の「国語辞典ってどんなときに使うの?」という疑問には、次のように答えてあげましょう。

① 文章を読むとき
「この言葉はわからない」と思ったら、すぐに辞書を引いてみます。意味を調べる前に「こんな意味かな」と考えてから引いて「答え合わせ」をするように心がけてみると、言葉の意味を予想する練習ができます。

② 作文などの文章を書くとき
漢字や仮名づかい、送り仮名を忘れたとき、自信がないときに正しい書き方を確認できます。また、ある表現を別の言い回しに置き換えたいときにも、国語辞典を引けばヒントが得られます。

国語辞典を引くのが楽しくなるいろいろな工夫

ゲームやクイズで楽しみながら国語辞典の引き方を覚えていきましょう。早くから国語辞典に慣れておけば、分からない言葉を調べる習慣がごく自然に身につきます。

① 意味から見出し語を探す「逆引き」クイズ
国語辞典の説明部分を読み、それがどの言葉を引いた結果なのかを当てるクイズ。たとえば親が「“い”で始まる言葉です。古くから人に飼われています。鼻や耳がとても良いです」……。それに対して子供は「犬」という言葉を予測し、国語辞典で引いて回答します。

最初は物の名前(名詞)から始め、次第に「動作」や「様子」を表す言葉に発展させていくといいでしょう。答えをあれこれ予測することで子供の語彙が広がり、辞書を素早く引く練習になります。

② カタカナ言葉がいくつある?
パッと国語辞典を開いて、その見開きにカタカナの見出し語がいくつあるかを探します。特に、カタカナ語を習いたての低学年におすすめです。

③ 国語辞典しりとり
しりとりをして、自分や相手が言った言葉の意味を調べて発表し合います。「この言葉なら知ってるよ」と思っても、国語辞典で調べてみると新たな発見があるはずです。

最初の国語辞典は「見やすく分かりやすい」がポイント

今は小学生向けとされるものだけでも、さまざまな国語辞典が刊行されています。難関中学の受験を視野に入れる場合は別として、基本的に小学生用に編集された国語辞典は「入門編」としては十分だと言えます。

やさしい言葉で、イラストも豊富なものを

小学生に国語辞典を選ぶときのポイントは、何と言っても「分かりやすさ」と「見やすさ」です。次に上げる点に注目して選びましょう。

[1]説明文に難しい言葉がなく、子供にも分かりやすいように書かれているか。

[2]ルビの振り方。全ての漢字にルビを振った「総ルビ」と、一部の漢字のみに振った「部分ルビ」があります。その子の国語力によって違いますが、低学年の子供に辞書を選ぶなら総ルビの方が使いやすいでしょう。

[3]言葉の説明に加えて、用例が豊富に紹介されているか。コラムなどで用例がたくさん紹介されているほど、言葉への理解が深まります。

[4]ページがカラフルで、イラストがふんだんに使われているか。好きなキャラクターが登場すると、文字に苦手意識がある子でもイラストから興味を持つことができます。

国語辞典選びは子供のやる気を引き出す一冊を

国語辞典は親が「これにしなさい」と決めるのではなく、子供と一緒に書店に行って、本人が気に入ったものを選んであげましょう。子供がそれを気に入り、興味を持って使ってくれることが何よりも大事だからです。ぜひ、親子でぴったりの一冊を見つけてください。

 

※記事の内容は執筆時点のものです

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