連載 あの学校のリアル

【栄光学園中学校】卒業生からみた栄光学園「凄い子がゴロゴロいて謙虚になる」

2018年8月31日 鈴木恵美子

「あの中高一貫校ってどんなところ?」「受験勉強はどんな風にしたの?」……そんなギモンへのひとつの答えとして、さまざまな学校の卒業生に体験談を聞く『あの学校のリアル』。今回お話を聞いたのは、聖光学院中学・浅野中学と並んで「神奈川男子御三家」と称される、栄光学園中学・高等学校OBのSさんです。

Sさん(栄光学園中学・高等学校OB)
現在:早稲田大学 政治経済学部 経済学科 在籍
中学受験当時の学習塾:日能研 藤沢校

栄光学園中学・高等学校の特徴や校風は?

栄光学園中学・高等学校の教育にはどんな特徴があり、校風や生徒達の雰囲気はどのようなものだったのでしょうか? Sさんの体験や、感じたことを聞いてみました。

中1から高3まで授業の前に1分間の瞑想

栄光学園での6年間で印象に残っているシーンは、毎回授業を始める前に1分間の「瞑想」をしたことです。男子生徒はどうしても落ち着きがないですから、授業の前に背筋を伸ばして目を閉じ、いったん心を静めるんです。ただ、中学生の頃はみんな真面目にやっていましたが、高校生になるとサボり気味の生徒も増えてきように思います。

特に好きだったのは英語の授業。学校ではCD付きのテキストを使い、音読にかなり力を入れていました。先生がビートルズなどの洋楽を教室で流し、みんなで歌うこともあったりして、とても楽しかったです。中学の頃はテキストの英会話を丸暗記して、放課後に友達とふたりで延々と英語で掛け合いをしながら下校していました。今思えば気持ち悪い中学生ですが(笑)そのお陰で英語は今も得意です。

超優秀な生徒がたくさんいるが「東大至上主義」ではない

生徒はみんな優秀で学習ペースも速いので、勉強は頑張らないといけません。でも落ちこぼれた生徒が見放される訳ではなく、ちゃんと補習でフォローしてくれました。一部の進学校では、朝礼で校長先生が「東大合格者増を目指す」などと檄を飛ばすみたいですが、栄光は進路指導であれこれ言われることがなく、志望大学は生徒にお任せでした。毎年多くの東大合格者が出る学校ですが、まったく東大至上主義ではありませんでしたね。

進学に関してギスギスした雰囲気はないのですが、すごい生徒はたくさんいました。たとえば、栄光の国語の授業では作文コンクールが行われていて、一学年180人の中から上位5人の作品を先生が冊子にして配るんです。それを読むと、半端な新書よりもはるかにレベルの高い論説文や小説がゴロゴロしていて、とても中学生や高校生が書いた作品とは思えない。世の中には本当に優秀な子がいるということを実感する授業でした。

校則は少なく自主性を重んじる校風

生徒は同級生も先輩・後輩も仲が良かったです。いつも和気藹々としていたし、みんな割と自由な考え方を持っていました。たとえば世間的にはオタクっぽい子と、運動部で活躍する子には接点がないイメージがありますが、栄光では線引きせずボータレスに付き合っていたと思います。特に自慢できるのは、いじめや嫌がらせの話が全然なかったこと。互いの個性を認め合う気風があり、どんなタイプの子も楽しく過ごせる懐の深い学校でした。

勉強と両立のために多くの部活動は週2日。僕は6年間運動部でしたが、短時間で効率よく練習していたので、体力的にきつくて辞める子はいなかったと思います。校則は少なく自主性を重んじる校風で、覚えているのは茶髪禁止ぐらい。でも文化祭の時だけは学校公認で染髪が許されたので、多くの生徒が髪を染めていました。出し物や屋台の企画はすべて生徒に一任され、受験志望の小学生も大勢やってきてすごく盛り上がります。

中学受験勉強はどのように進めた?

栄光学園中学校・高等学校の入試に向けて、Sさんは受験勉強をどのように進めたのでしょうか。志望校を決める時に重視したことや、決め手となった理由についても聞いてみました。

算数が得意だったから、毎日の塾も楽しかった

親にすすめられて受験を目指し、日能研に通い出したのは小学3年生の時。5、6年生の時は、平日はほぼ毎日塾に通っていました。放課後に学校から直接塾に行き、夜は親が迎えに来て9時か10時に帰宅。土日もほぼ1日家で勉強していて、父親によく算数を教えてもらいました。

忙しかったですが、塾には友達がいたので苦にはなりませんでした。また当時は算数がすごく得意で、先生に褒められたり、ライバルと競い合うことが楽しかったです。得意科目があるからこそ楽しく続けられたのかもしれません。

塾の先生に恵まれたことも幸いでした。特に算数の先生は日能研でも有名な人で、生徒にあだ名を付けたり、積極的に発表の場を与えたり、子供を楽しませ、乗せるのが上手でした。また社会の先生も熱心でした。一問一答問題をずらりと並べたプリントを何十枚も自作してくれて、それをひたすら解くことで力を付けることができました。

算数が得意な半面、僕は国語が苦手で、模試では最後まで国語が足を引っ張りました。特に記述問題で伸び悩んだので、本番に向けてひたすら記述演習に取り組みましたね。一方で、私立中高の問題は算数がとても難しく、算数でいちばん差が付くこともわかっていました。ですから直前には「国語で多少取りこぼしてもいいように算数で確実に点を取ろう」と切り替えたことを覚えています。

中学受験で身についた謙虚さと学ぶ姿勢

実は小学6年生の後半まで、栄光学園と聖光学院のどちらを第一志望にするか絞れていませんでした。栄光学園に決めた理由は、オープンスクールで見学した校舎が広々として緑豊かで、過ごしやすい環境だと感じたこと。もうひとつは、その時に接してくれた先輩たちがとても優しかったことです。志望校を選ぶ時は学力だけでなく、実際に環境や校風を見て自分に合っているか判断することは大事だと思います。

子供にとって中学受験は大変なものですが、良い学校に入れば6年間のびのび過ごせます。栄光学園は先生の指導が良いので、僕も中高では塾に行きませんでした。また、社会に出ても勉強は一生必要ですから、勉強する姿勢が身につく中学受験はやって損はないと感じます。栄光学園に入っていちばん良かったのは、レベルの高い仲間に触れて大きな刺激を受けたこと。中3でトルストイを読破していたり、とんでもなく天才肌の子が何人もいる環境では、良い意味で天狗にならずに済みます。上には上がいることを知るのは悔しさもありますが、この先の人生の力にもなると思うんです。

実は高校時代に成績が伸び悩み、大学受験への意欲を失いかけた時期がありました。でもその時、中学受験で身につけた学ぶ習慣が、もう一度がんばる原動力になったんです。ですから中学受験を体験したことは、自分にとって大きな意味があったと思います。


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※記事の内容は執筆時点のものです

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