中学受験ノウハウ

新4年生 今からでも間にあう 中学受験塾の選び方|今一度立ち止まって中学受験を考える

専門家・プロ
2019年1月10日 石渡真由美

中学受験をする上で、中学受験の勉強に特化した塾通いはほぼ必須です。なぜなら、中学受験の内容は、小学校で習う学習内容よりはるかに難度が高く、学習量も多く、その上、受験算数をはじめとする特殊な勉強をしなければならないからです。

では、中学受験のパートナーとなる塾は、何を基準に選んだらよいのでしょうか?

中学受験に塾は不可欠 まずは集団塾からスタート

多くの大手進学塾では、中学受験のカリキュラムは3年生の2月(塾では新4年生)からスタートします。そのため、3年生の秋頃から各塾で、入塾の可否とクラス分けを目的とした入塾テストが実施されます。入塾テストは複数回実施され、1月を最後に一度区切りますが、その後も随時実施され、途中から入塾することもできます。

理想は3年生(新4年生)の2月のスタート時点での入塾です。最初は授業の進度も緩やかなため、4年生のGW前までに入塾できれば、大きな遅れをとることはありませんが、すでにできあがっているクラスに途中から入るよりは、スタート時点から入塾しておいたほうが、お子さんも学習を進めやすいと思います。

しかし、ご家庭によっては、中学受験をさせるか否か迷っていて、出遅れてしまったというケースもあるでしょう。だからといって、そこで慌てて適当な塾に入ってしまうのはよくありません。

中学受験塾は大きく分けると、次の4つに分類されます。

1)大手進学塾での集団授業
2)小中規模塾での集団授業
3)大手進学塾での個別授業
4)小中規模塾での個別授業

中学受験をするなら、まずは集団授業を行う中学受験専門塾を検討するといいでしょう。

中学受験専門の塾であれば、それに特化した指導をしますし、たくさんの学校の入試問題の傾向や対策のノウハウを持っているからです。

ただ、ひとくちに「集団授業」といっても、大手進学塾と小中規模塾で、そのシステムも雰囲気も異なります。大手進学塾では、テストの成績の結果によってクラス替えがあり、友達と競うことが好きな子や精神的にタフな子には向いていますが、そうでない子にとっては、ハードな環境です。

また、3年間の学習カリキュラムが固定されているため、その日の授業で習う単元は、その日のうちに終わらせます。そのため、授業の進度はスピーディーです。また、多くの塾では大量の宿題を出します。

一方、中小規模塾でも、ある程度の学習カリキュラムは用意されてはいるものの、1クラスの生徒数が、大手進学塾よりも少なく、10人前後のため、生徒一人ひとりの理解度を確認しながら進めていくことができます。つまり、面倒見の良さでいえば、小中規模塾のほうが良いということです。

ただし、それが必ずしもすべての子にとって、良いというわけではありません。そこで必要となるのが、お子さんのタイプにあわせた、塾選びです。

子どものタイプを見極めて、失敗のない塾選びを

子どもは大きく分けると、次の4つのタイプに当てはめることができます。

出典:宮本毅『はじめての中学受験 これだけは知っておきたい12の常識』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)より

【1】優等生タイプ(要領:高 まじめ度:高)
【2】お調子者タイプ(要領:高 まじめ度:低)
【3】努力家タイプ(要領:低 まじめ度:高)
【4】のんびりタイプ(要領:低 まじめ度:低)

マトリックスを見ながら、お子さんがどのタイプにあてはまるか考えてみてください。

ここでは、中学受験の学習に必要とされる大量の課題に対しての取り組み方を参考に、塾選びを判断していきたいと思います。

それぞれのタイプについて詳しく説明していきましょう。


【1】優等生タイプ(要領:高 まじめ度:高)

基本的に何でもテキパキとこなし、課題にかかる時間はそれ程多くありません。このタイプの子は、成績優秀であることが多く、難関校に合格する可能性も高いため、大手進学塾にとってはありがたい存在です。

また、本人の意識も高く、上を目指したいという勝ち気なところがあるので、大手進学塾の集団授業でも充分に伸びていく可能性が高いタイプです。

【2】お調子者タイプ(要領:高 まじめ度:低)

自分にとって必要ないと思う課題や、興味のないことには、あまりまじめに取り組めないのがこのタイプです。そのため、課題の多い大手進学塾では、そのいい加減さが目立ち、成績も伸び悩みがちです。

得意不得意がハッキリしているため、成績は安定せず、最後まで親御さんをハラハラさせますが、逆に土壇場でものすごい力を発揮し、逆転合格を勝ち取るのも、この手のタイプに多いです。

縛りが強い大手進学塾だと才能がつぶれてしまいますし、逆に緩い塾だとサボってしまう。こういうタイプの子は、クラス替えによって、講師が頻繁に変わる大手進学塾よりも、一人の先生がじっくり指導する小中規模塾の方がいいでしょう。ただし、相性の良い先生に出会えるかがカギとなります。

【3】努力家タイプ(要領:低 まじめ度:高)

まじめに取り組むのは良いことですが、ただ課題をこなすことだけに追われ、中学受験では成績に伸び悩むタイプです。塾の月例テストのような範囲が決まっているテストには強いけれど、模試などの全範囲テストになると、成果を出せない傾向にあります。結局、第3、第4志望校に終わってしまった、ということが非常に多いのもこのタイプです。

まじめだけれど、要領が悪いため、カリキュラムの進度がそれほど速くない塾の方が、成績は上がりやすいでしょう。そういう点では、小中規模塾向きです。

【4】のんびりタイプ(要領:低 まじめ度:低)

精神的に幼く、自分が何をすべきなのか分かっていないため、物事の優先順位がつけられず、成績も最も伸び悩むタイプです。

大手進学塾で下位クラスにいる子の多くはこのタイプの子で、この環境にいる限り、残念ながら大きく伸びることは期待できません。であれば、お子さんの勉強に対するモチベーションを上げてくれるような地元の小さな塾か、一人ひとりを大切にしてくれる個別指導塾に入れてあげる方がいいでしょう。

精神的な成長が見られると、学習面において大化けすることもありますので、希望の私立のみを受験して、もしそこがダメなら、高校受験でリベンジを目指すというのもひとつの手です。


ここではタイプによる優劣をつけているわけではありません。けれども、中学受験はある程度、成熟度が高い子でなければ難しいという現実もあります。そのため、お子さんのタイプと学力、そして成熟度と照らしあわせて、お子さんの力を最大限に伸ばしてくれる塾はどこかという視点で塾選びをしましょう。

集団授業についていけなくなったら、個別指導塾を検討

中学受験をするのであれば、同じ志を持つ仲間と一緒に学習する集団授業を行う塾のほうが良いとお伝えしました。しかし、集団授業では、授業の進度が速くてついていけなくなるお子さんも出てきます。

そういう場合は、集団塾に通いながら、補習的な役割を担う個別指導塾も併用するか、お子さんの志望校に特化した勉強を指導してくれる個人塾へ転塾するか、家庭教師をつけることをおすすめします。

また、今は入試も多様化しており、得意な英語や算数など1教科だけで受験ができる学校もあります。4科入試ではなく、ピンポイント狙いに変更する際の見極めは、5年生の終わりです。5年生終了時までになかなか成績が上がらないようなら、科目をしぼるか、中学受験自体をあきらめるという選択をしても良いかも知れません。

個別指導塾はその子にあわせた勉強ができるという点では理想ですが、初めから個別指導塾に入れてしまうと、その塾の先生に頼り過ぎてしまう危険性があります。中学校でも、高校でも、授業は基本的に集団で行われます。集団授業では、いろいろな考えを知る機会が得られますし、自分を律する訓練にもなります。

中学受験の勉強を進めていく上で欠かせない塾の存在。それをどこに託すかは重要な選択です。「新学年コースがスタートしてしまう! 早く決めなきゃ!」と焦らず、お子さんにとってベストな塾をじっくり検討してください


■「今一度立ち止まって中学受験を考える」バックナンバー

※記事の内容は執筆時点のものです

宮本毅
宮本毅 専門家・プロ

1969年東京生まれ。武蔵中学・高等学校、一橋大学社会学部社会問題政策過程卒業。大学卒業後、テレビ番組制作会社を経て、首都圏の大手進学塾に転職。小学部および中学部で最上位クラスを担当し、多数のトップ中学・高校に卒業生を送り込む。2006年に独立し、東京・吉祥寺に中学受験専門の「アテナ進学ゼミ」を設立。科目間にある垣根は取り払うべきという信念のもと、たった一人で算数・国語・理科・社会の全科目を指導している。また「すべての子どもたちに自発学習を!」をテーマに、月一回の公開講座を開催し、過去3年間でのべ2000名近くを動員する。若い頃からの変わらぬ熱血指導で、生徒たちの「知的好奇心」を引き出す授業が持ち味。

■著書

『はじめての中学受験 これだけは知っておきたい12の常識』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 同音異義語・対義語・類義語300』(中経出版)
『文章題最強解法メソッド まるいち算』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える理科85』(KADOKAWA出版)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える社会140』(KADOKAWA出版)
『ケアレスミスをなくせば中学受験の9割は成功する』(KADOKAWA出版)
『合格する子がやっている 忘れない暗記術』(かんき出版)

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。