小学校のほぼ3年間を費やす中学受験は、12歳の子どもたちにとって大きなイベントです。しかし自分でしっかりと目標を持ち、モチベーションを維持して志望校にチャレンジできる子どもは、それほど多くはありません。自分から「中学受験をしたい」と言い出したものの、なかなかエンジンのかからないお子さんは、実は思いのほか多いのです。
小学生の精神年齢では、「行きたい」という気持ちと自らの努力が結びつかないことは往々にしてあるもの。そこを上手にサポートするのも、受験を乗り越えるための親の試練なのかもしれません。今回は一見マイペースなお子さんを受験ペースに乗せるため、塾選びも含めさまざまな工夫をして乗り越えた親子の物語です。
- 算数塾で「私立に行きたい」という気持ちが芽生える
- 塾との相性が合わず受験リタイアの危機も
- 「上位クラスをめざしガツガツ」が向かない子もいる
- マイペースな子供を見守りつつフォロー
- 前半受験でしっかりとれる併願校を選ぶ
- 連日受験で上手く波に乗せ、着実に合格を重ねる
- 自習室には東大生のチューターも。私立中の手厚さに驚く
- エンジンがかかりにくい子を上手にサポートするには
算数塾で「私立に行きたい」という気持ちが芽生える
文京区にある駒込中学校に通う橋本家の和也くん(仮名・中学生)。塾に通いはじめたのは小2と早めですが、そのころは両親も本人も、受験を意識していたわけではありませんでした。橋本家は共働きですが、和也くんが学童保育を嫌がったため、たまたま体験教室で和也くんが気に入ったA塾に放課後の居場所を作る感覚で入塾することになりました。