学習 算数

新年度開始から夏までに意識したい! 5年生と6年生の「算数」のポイント

2021年4月09日 國友克弥

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新年度のスタートをうまく切るために、「まずは子供に何から手をつけさせればいいんだろう……」と悩んでいる保護者の方は多いかもしれません。こうした不安に対し、私がおすすめしたいのが算数の勉強に時間をかけることです。塾講師の視点をもとに、新年度開始から夏までに注意しておきたい5年生・6年生の算数のポイントを解説します。

5年生の1学期

5年生は、まずは小4までに習った計算を夏までに定着させておきましょう。計算の定着には、日々の計算練習が大切です。毎朝5問でも良いので、時間を計って取り組んでみてください。計算が苦手な子は、簡単な整数のたし算やひき算、かけ算、わり算の暗算からおこなうのもひとつの手。これらの計算が頭のなかでスムーズにできるようになると、計算力が大きくアップします。

引っかかりやすい問題

私がよく見かける、5年生の多くの子が引っかかりやすい計算問題を紹介します。

5年生が引っかかりやすい問題
・たし算とひき算が混ざった計算
・小数で割るわり算
・分数の計算

[1]たし算とひき算が混ざった計算

かけ算やわり算が混ざっていたり、「かっこ」がついていたりする計算を解く場合には、「先に計算するもの」を意識して答えをしっかりと出している子は多い印象です。一方でたし算とひき算だけの計算になると、たし算を先にしてしまう子が多く見られます。

たとえば「10-3+2」という問題。答えは「9」ですね。しかし「3+2」のたし算を先にしてしまい、「10-5=5」と答えを出す子が多いのです。これは、計算が得意な子でも慌ててしまうと見受けられるミス。計算は、まずは「前から順番に」を意識しましょう。

[2]小数で割るわり算

小数の計算で注意したいのが、小数で割るわり算。なかでも「あまり」の小数点の打ち間違いが多くの子に見られるので注意が必要です。あまりに付ける小数点は、割られる数のもとの小数点の位置から下ろした場所に付けます。こうしたミスは、筆算をていねいに書いていくことで減らせます。

[3]分数の計算

分数の計算は、異分母のたし算・ひき算、そしてかけ算・わり算をほぼ同時に習うことが多いです。そのため、たし算・ひき算をしているのに分母同士をかけてみたり、かけ算・わり算をしているのに分母を通分してみたりと、解き方があべこべになっている子が少なくありません。まずは計算をていねいに練習することで、分数の計算の解き方を習得していきましょう。

計算以外で意識したいポイント

5年生は、計算以外に次の3つも夏までに習得しておきたいですね。

・角度の出し方
・面積の求め方
・特殊算などの文章題

角度の出し方

角度の問題は多くの模試で出題されますが、多くの5年生は対頂角や同位角、錯角などの基礎だけを習っただけで、模試までに十分な練習量をこなせていないことが多いものです。そのため簡単な問題でも良いので、角度の問題には定期的に触れておきましょう。このとき意識したいのが「外角」と「二等辺三角形」。このふたつを意識しておけば、たいていの角度の問題はスムーズに解くことができます。

面積の求め方

角度と同様に、面積についても公式だけ習い、反復演習をしただけで終わっている子は少なくありません。しかし入試問題では、面積を単純に求めさせる問題は少なく、色々な図形と組み合わせて出題されます。今からそうした複雑な図形を読み解く必要はありませんが、「どこが底辺で、どこが高さか」といった意識はふだんの問題演習から持つようにしたいですね。こうした意識があれば、複雑な図形の面積を求める問題が出されても、解法の糸口をつかむことができるでしょう。

特殊算などの文章題

和差算や分配算などの特殊算は4年生で習いますが、これらの特殊算では「線分図」を用います。線分図はモノの大小を比べるのに非常に有効で、複雑な要素が絡んでいても短時間で整理できる“強力なツール”。5年生の1学期ごろまでに使いこなせるようになっていると、この先の学習に大いに役立ちます。特に文章題を線分図などで表現しておくクセをつけておけば、難しい問題が出てきても「まず図にまとめてみよう」と考えられるためスムーズに対処できるようになります。

夏以降の重要単元に備えよう

5年生の夏までに算数の基礎を固めておけば、5年生の後半に出てくる「割合」や「速さ」といった重要単元にも対応しやすくなります。算数は中学入試の最重要科目といっても過言ではありません。今回挙げたポイントを参考に毎日コツコツ取り組むことで、算数の底上げも期待できます。夏休み以降の日々を有意義に過ごすためにも、5年生の1学期でしっかりとスタートダッシュを切りましょう。

6年生の1学期

中学受験本番をおよそ1年後に控えたこの時期、多くの6年生は気持ちが焦り、何から手をつければ良いか迷っているかもしれません。 なかでも“合否を分ける教科”といわれる算数は、やることが盛りだくさん。どれから勉強すれば良いか戸惑ってしまいますよね。そこで6年生は、まずは夏までに次のポイントを押さえて学習に取り組んでみてください。

・計算力の強化
・各分野の弱点補強

計算力の強化

テストなどで計算間違いをしてしまったとき、「うっかりミスだった」「ていねいにやれば次は間違えない」と考えていませんか? こうした考えは、計算力を甘く見ている可能性があるため少し危険です。

そもそも計算力は、計算問題に限らず、算数全体の問題を解くうえで非常に大切なもの。そのため、入試を控えた6年生は計算力の強化が特に大切です。毎日数問でも良いので、時間を計って計算の練習をするようにしましょう。このとき、間違った問題もていねいにやり直すことがおすすめです。「計算間違いだから、あとでなんとかなる」ではなく、「今すぐ」取り組み、算数の計算力アップをめざしましょう。

各分野の弱点補強

計算以外にも「苦手だな」と思う分野があれば、夏までに少しでも補強しておきたいところです。6年生の2学期から本格的に始まる模試や実践演習に備え、特に次のような入試本番の頻出単元はしっかりと理解を深めておきましょう。

・数の性質
・割合
・速さ
・平面図形・立体図形

数の性質

難関校を中心に、「数の性質」は中学入試で頻出です。倍数や約数だけでなく、大人でも頭を抱えるような難問が出題されることもあります。もちろん、問題演習を繰り返すことで対応できるようになっていきますが、私のおすすめは日常生活のなかで“数の感覚”を養うことです。たとえば塾に向かう車のなかで、前の車のナンバープレートが「どんな数で割れるか」「それぞれの位(くらい)の数を足すといくつになるか」と考えてみるのもおすすめ。携帯の電話番号や、毎日の暮らしのなかで目にした数字についても同じような視点で捉えてみると良いでしょう。ゲーム感覚で数に触れていくことで、数の性質の問題に自然と強くなっていきます。

割合

「割合が苦手」という子は多いのではないでしょうか。割合は数の性質と同様、算数の“根幹”ともいえる単元ですが、そもそも割合とは「何倍になっているか」ということを表現する際の表し方のひとつ。たとえば「50個の4割は何個ですか?」という問題が出されたとします。4割は0.4倍のことですが、これは覚えておかないといけません。逆にいうと「4割=0.4倍」ということを知っていれば、この問題は「50個の0.4倍は何個ですか?」と言い換えられます。これなら、簡単に解けますよね。このように「何倍になっているか」ということに注目していけば、割合を理解しやすくなります。

速さ

割合と同様に、「速さ」が苦手と話す子も少なくありません。特に中学入試では複雑な設定の速さの問題が多く、受験生を毎年悩ませています。

速さが苦手な子は、まずは公式を覚えることを優先させましょう。どれが道のりで、どれが時間で、どれが速さなのかをきちんと把握していきます。そのうえで、次に意識したいのが「単位」です。単位を深く意識していなかったために、「歩く速さが時速200kmの太郎さん」など、現実的にはありえない数字を導き出してしまう子は少なくありません。速さの基礎を理解するためにも、公式と単位はしっかりと定着させましょう。

このふたつが定着したら、問題で示された状況を図に表すことにも挑戦してみてください。図に表してみると、複雑な設定も理解しやすくなります。次のような簡単なものでOKなので、速さの問題を解くときは図を描いてみましょう。

平面図形・立体図形

平面図形・立体図形も中学入試の頻出単元ですが、複雑な図形に嫌気が差してしまう子も多いかもしれません。

図形問題を解くときのポイントは、まずは知っている形を見つけてみることです。たとえば角度の問題であれば、問題のなかに「二等辺三角形」や「正三角形」があるか探してみる、面積や立体の問題であれば図形のなかに典型的な形を探してみる、といったことが問題を解くうえで大きなヒントになることがあります。ちなみに図形が得意な子が問題を解いている様子を見ていると、問題用紙をぐるぐる回して色々な角度から図形を見ていることがわかります。そうすることで、自分の知っている形を見つけ出しているのですね。

もちろん、知っている形を見つけ出すためには面積や体積の公式、頻出の形を覚えていることが前提です。図形が苦手な子は、まずは基本的な形をしっかりと覚え直すことから始めてみましょう。

焦らず、基礎の確認を徹底しよう

「中学受験の天王山」ともいわれる6年生の夏、そして夏以降の模試や過去問演習で力を発揮するためにも、6年生の1学期は基礎の確認と定着を徹底的におこなうことが大切です。焦って難しい問題ばかりに手を出してしまうと、自信を失いかねません。それよりも、一つひとつの単元の理解を深め、できることを増やしつつ自信をつけていってください。6年生の大事な後半戦をいい形で迎えるためにも、焦らず、こつこつと“足場固め”に専念していきましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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