音読みと訓読みを区別しやすくするために、知っておくべきこと
音読みと訓読みの区別は、ひとつひとつの漢字や熟語の成り立ちを理解するために不可欠な知識です。読み方は知っていても、音読みなのか訓読みなのかを区別するのが苦手なお子さんも多いでしょう。しかし、必要最低限の知識があれば、それはむずかしいことではありません。今回は音読みと訓読みのそれぞれの特徴や、紛らわしい点、二字熟語の成り立ちについて説明します。
Contents
訓読みの特徴は、「単独で意味のわかる読み方」であることが多い
漢字は中国から伝来したものですが、訓読みは日本独自で定着した読み方です。つまり訓読みは日本人にとってわかりやすいものであるともいえます。その特徴について説明します。
イメージが湧いてくる読み方が訓読み
特徴は主に次の2点です。
■覚えておきたい訓読みの特徴
1.送り仮名がつく読み方
2.単独で意味がわかる読み方
1は、「正しい」「輝く」「近い」「会う」などの送り仮名がついてくる読み方。
2は、送り仮名はなくても単独で意味がわかる読み方です。「山(やま)」「川(かわ)」「海(うみ)」がこれに該当します。「やま」と聞いたら「平地よりも高く盛り上がった土地」。「かわ」と聞いたら「水が流れる細長い地形」とイメージが湧きやすいのも訓読みの特徴です。
音読みのよくある傾向と、訓読みにみえて実は音読みである読み方を紹介
音読みは、その漢字の中国での発音をベースにした読み方です。この項では、音読みの覚えておくべき2つの特徴を説明します。また、音読みにみえて訓読み、訓読みにみえて音読み、という紛らわしい漢字も紹介します。
最後の音が「ン」である場合、読み方が一つしかない場合は音読み
覚えておきたい特徴は以下の2点です。
■覚えておきたい音読みの特徴
1.読み方が「ン」で終わるとき
例:「新(シン)」「幹(カン)」「線(セン)」など
2.読み方がひとつだけのもの
例:「駅(エキ)」「席(セキ)」「服(フク)」など
※表外漢字(常用漢字以外の漢字)は除く
2は、どれも単独で読めばイメージがわく読み方です。訓読みであると判断してしまうお子さんも多いですが、その前に「なにか別の読み方はなかったかな……?」と考えることが重要です。
読み方がひとつしかなかった場合、それは音読みとなります(「峠」「崎」など、音読みがなく訓読みだけの国字は例外)。他の読み方が思い浮かばなかった場合は、音読みであると考えてください。
音読みなのか訓読みなのか紛らわしい読み方
音読みの傾向と訓読みの傾向をそれぞれ知ったところで、音読みなのか訓読みなのか紛らわしい読み方を一通り紹介します。
■音読みに思えるものの実は訓読み
・間(ま)・家(や)・身(み)・音(ね)・野(の)・馬(ま)・日(ひ)・場(ば)
■訓読みに思えるものの実は音読み
・肉(ニク)・本(ホン)・陸(リク)・日(ニチ/ジツ)・図(ズ)・客(キャク)
このなかでも特に気をつけたいのは、「肉」と「本」です。「ニク」と「ホン」。どちらも音だけを聞けばイメージの湧いてくる言葉で、訓読みだと思うお子さんも多いでしょう。
「肉」の読み方は前項で紹介した、読み方がひとつしかないパターンです。読み方は音読みの「ニク」だけで、訓読みはありません(表外読みは除きます)。
「本」には「ホン」という読み方のほかに「モト」という読み方があります。「ホン」と「もと」、どちらが音読みであるのかを考えるとき、「ホン」は最後に「ン」がつく読み方であるので「ホン」が音読み、「もと」が訓読みになります。
音読みと訓読みを区別するための大事な手順を整理する
その漢字が音読みなのか、訓読みなのかを考えるときの手順は以下のようになります。
- まずはその漢字の読み方を考える。
- 読み方が1つしかない場合は「音読み」であると判断。
- 2つ以上ある場合は「ン」で終わる読み方を「音読み」。
送り仮名のある読み方や、単独で意味がわかる読み方を「訓読み」と考える。
この3つの過程を考えれば、音読みと訓読みの判断は簡単になるでしょう。
音読み×訓読みを「重箱読み」、訓読み×音読みを「湯桶読み」と覚えよう
この項では二字熟語を構成する漢字の読み方に注目します。
二字熟語の読み方は全部で4通り
二字熟語の読み方は全部で4パターンあります。
読みのパターン | 具体例 | ||
音読み×音読み | 早計 (ソウケイ) |
田園 (デンエン) |
事故 (ジコ) |
訓読み×訓読み | 奥歯 (おくば) |
出口 (でぐち) |
足元 (あしもと) |
音読み×訓読み (重箱読み) |
残高 (ザンだか) |
額縁 (ガクぶち) |
番組 (バンぐみ) |
訓読み×音読み (湯桶読み) |
焼肉 (やきニク) |
場所 (ばショ) |
野宿 (のジュク) |
このなかでも、音読み×訓読みの組み合わせを「重箱読み」、訓読み×音読みの組み合わせを「湯桶読み」と呼ぶことを知っておきましょう。
ちなみに「重箱(ジュウばこ)」という熟語は音×訓、「湯桶(ゆトウ)」という熟語は訓×音の組み合わせを指します。
音読みと訓読みを判別することで、むずかしい読み取り問題も解けるように!
新出漢字を学習するときには、「正しく書くこと」と「正しく読むこと」の2つが求められます。音読みと訓読みの傾向を知っていれば、「正しく読むこと」がある程度は簡単になります。
中学受験の国語では音読みと訓読みに関する問題は、めったに出ることはありません。しかし、読み取り問題に関しては、中学入試のみならず高校・大学入試で出題されています。正しく書くことももちろんだいじですが、正しく読むこともコツコツと習得していきましょう。
※記事の内容は執筆時点のものです
とじる
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