中学受験ノウハウ ケアレスミス対策

受験本番で「うっかりミス」をなくすための対策3選

専門家・プロ
2018年4月27日 宇田川大輔

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受験当日ともなると、すべての受験生は想像以上の緊張感を抱えながらテストに向かいます。緊張状態の中で、ついついやってしまいがちなのが「うっかりミス」。あれほど、受験勉強に励んでいたのに、そんなうっかりミスが原因で不合格なんてことは誰しも避けたいもの。受験専門の心療内科「本郷赤門前クリニック」の院長を務める吉田たかよし先生から、メンタル医学を応用したミスを防ぐ方法についてアドバイスをいただきました。

ミスを減らすことが目的ではない。合格させることが目的!

緊張は誰にでもあるので、仕方のないことかもしれません。「受験」という緊張感があふれる場面だからこそ、通常しないようなうっかりミスが起こってしまうものです。吉田先生によると、普段、受験勉強をしている時に脳の仕組みに合致した習慣づけをしておくと、本番でのうっかりミス対策ができるといいます。

うっかりミス対策[1]ミスに対して叱ってはいけない!

「親としては、ミスが多いお子さんに対して、ついつい叱りつけてしまいますよね。けれども、叱ることはおすすめできません。人は叱られると脳の扁桃体が『恐怖』を認識します。そうすると、恐怖心を遠ざけるため、決められた作業を正確に実行しようとします。その結果、ミスが減るのは事実です。けれども、それと引き換えに、自由に物事を考える創造力が大幅に減ってしまうのです。同時に思考力の低下も起こります。最近の入試は、応用力重視の傾向があり、創造性や思考力に長けていないと解けない問題が多く出題されます。ミスは減ったけど、応用力がない。お子さんの脳がそんな状態になったら合格は困難なので、叱ってミスをなくさせるのは本末転倒です」(吉田たかよし先生)

うっかりミス対策[2]ミスを未然に防ぐためには「指差喚呼(しさかんこ)」

できることならば、なるべく子供を叱りたくない。叱らずにミスをなくすためには、どんな方法があるのでしょうか。
「電車の車掌さんが、駅のホームでよく行っている指差し確認、『指差喚呼(しさかんこ)』がおすすめです。指を差すというのは脳科学的にも実に合理的な対策です。人間は身を守るため、たとえば槍や牙などとがったものの先端に注意を集める傾向がありますが、指先も同様です。さらに声に出して言葉にすることで、前頭前野の機能が高まり、精度の高い確認作業ができるというわけです。受験本番では、声を出すことはできないと思うので、指を差しながら心の声でつぶやくのがいいですね」(吉田たかよし先生)

うっかりミス対策[3]チェック方法はそれぞれのスタイルでOK!

「ミスがないかどうかばかり気にかけていると、脳が疲労によって思考力を低下させます。指差し確認を導入することにより、普段の脳のパワーをそれほど消耗させず、いい意味でオフの状態を保つことができるのです。オンとオフのメリハリを利かせることで、心がリラックスでき、受験からのストレスを和らげながらミスを減らせるわけです。また、指差喚呼のやり方は人それぞれで結構だと思います。利き手と反対の手で指を差してもいいし、両手だっていいし、ペンの先端で確認するのもいいです。ミスをなくすための工夫を親子で考える。これはきっと一生役に立つ、非常に価値のある習慣になるはずです」(吉田たかよし先生)

うっかりミスをなくすための確認方法を親子で見つけよう

重要な場面での「うっかりミス」は致命的になりかねません。そんなうっかりミスをなくすためには確認の習慣をつけることです。おすすめはシンプルですが効果的な指差喚呼。今のうちから自分のやりやすい方法で指差喚呼を習慣づけておけば、一生使える武器になりそうです。

※記事の内容は執筆時点のものです

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