ジャネーの法則|桜井信一コラム「下剋上受験」

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2014年10月08日 桜井信一

桜井信一ブログ『父娘の記念受験』で過去に掲載されていた記事から、一部を編集して掲載しています。この記事の内容は 書かれたものです。

今夜は「ジャネーの法則」がテーマです。よろしくお願いします。

暗記モノの復習の重要さを説明するときにエビングハウスの忘却曲線がよく取り上げられます。

私たちもこれをみて復習のタイミングについて考えました。

しかし、疎かになりがちなのが「子どものやる気」。

受験テクニックを語る前に、まず必要なのがやる気であることは言うまでもない。

暗記よりも、算数よりも、まずここに悩んでおられる方が多いのではないでしょうか。

さて、子どもはどうしてやる気を出さないのでしょうか。

我が子のやる気を引き出すために「将来の夢を持たせよう」と考える人が多いと思うのです。

しかしなぜかピンとこない。

子どもは悠長に構えてしまうのです。だってまだ大人になるのはずいぶん先の話だから。

親が焦るばかりで子どもはのんびりしている。それをみてイライラしてしまう。

19世紀のフランスの哲学者、ポール・ジャネが考案した「ジャネーの法則」がそのヒントになります。

生涯のある時期における時間の心理的長さは年齢に反比例する

中学受験の場合、子どもが受験勉強をしている時期は10歳から12歳あたりになります。仮に親が40歳だとすると、子どもは生涯の10分の1程度の感覚で時を過ごしているのに、親は生涯の40分の1の時を過ごしていることになります。

生涯を80年と考えるともっと具体的になります。

子どもはこの1年を10年分くらいの感覚で過ごしているのに、親は2年分の感覚なのです。

その差は実に5倍。

子どもが立っている地球は、親よりもかなりゆっくり公転しているわけです。

受験まであと半年しかない、1年しかない、それなのに我が子は他人事のようにのんきな顔をしている。やる気がないんだろうか。そう思ってしまうわけです。

親子で月日が過ぎる長さに大きな差があることに気づかず、誤解してしまうわけです。やる気がないんだと。

中学受験をすると本人が言っている以上、そんなわけがない。やる気はあると思うのです。

しかし、親が不思議なくらい急かすものだから、その理不尽な要求にどんどんやる気を失ってしまう。結局、本当にやる気を失うまで食い違い続ける。

私が作った人生表。

これは生涯を実際の長さで考える作戦。いったん速さを別にして長さだけで考える。

その生涯の何分の1がこの機会であり、その何分の1が今日であり、計算上は今日どれくらい勉強したらいいのかを話し合うときに、出来るだけ同じ感覚を共有する。

そのあとに、こっそり子どもの速さを想像してやる。いま、どれくらいのスピードで生きているんだろうと考えてみる。

1年なんてあっという間という感覚は大人の世界。そういえば自分が小学生の頃って1学年がかなり長く感じられた。

だからといって悠長なことを言ってられないのも事実。

そんなとき、感覚で話し合うのではなく、計算された長さで話したい。

1日ってそんなに大したことができない。数問しか解けない。すると計算上こうなる。

きっとその計算は理解できても、その月日の長さに子どもはうんざりしていると思うのです。

ここで一緒にうんざりしてやれるかどうかが勝負だと思うのです。半年や1年をとてつもなく長い時間と思ってやらなければ共有できないから。

子どもに目線を合わせるというのは何も高さだけではなく、長さや速さも合わせるということ。あと1年という時間をできる限り同じ長さで捉えてやりたい。

親の逸る気持ちを子どもに理解させるのではなく、子どもが今過ごしているスピードで話し合いたい。

これは受験を併走するために必要な大人のスキル。

受験テクニックよりもまずやる気。

エビングハウスよりもまずジャネー。

哲学者の私としてはそう思うのであります。(-。-)y-゜゜゜

じゃあね~ (^^)/・・・で〆ますよね普通は。

2014.10.8 am 0:00

桜井信一

※記事の内容は執筆時点のものです

桜井信一
この記事の著者
桜井信一 専門家・プロ

オンライン塾「下剋上受験塾」主宰。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。 娘の下剋上のために一念発起して小5の勉強からやり直す。塾には行かず、父娘の二人三脚で偏差値を41から70に上げ、100%不可能とされた最難関中学「桜蔭学園」を目指した。その壮絶な受験記録を綴った『下剋上受験』はベストセラーに。 2017年1月には待望のドラマ化。学習講座「桜井算数教室」「国語読解記述講座」にはのべ2000人の親子が参加し人気を博した。2020年、オンラインの「下剋上受験塾」を立ち上げた。

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