
水溶液の性質を覚えられない? 食品や洗剤を手がかりに理科の知識を学ぶヒント
理科の化学分野では水溶液の性質を覚える必要があります。しかし、子どもは、塾のテキストに書かれている説明を読んでも、なかなか知識として定着しません。そんな子どもの「覚えられない」という悩みを解決するために保護者ができることを紹介します。
Contents
水溶液にはどのような性質がある?
ある物質を水に溶かしたのが水溶液です。さまざまな水溶液をその性質によって分類してみましょう。
酸性・中性・アルカリ性の違い
水溶液の性質には酸性・中性・アルカリ性の3種類があります。酢やレモン汁などの酸っぱい水溶液は酸性で、石鹸水や重曹水などの苦い水溶液はアルカリ性です。また、酸性でもアルカリ性でもない純水や食塩水などは中性です。
もっとも、実験で使用する塩酸や硫酸、水酸化ナトリウム水溶液の性質を調べるために、舐めるわけにはいきません。塩酸や硫酸は強酸性、水酸化ナトリウム水溶液は強アルカリ性で、いずれも触れるのは危険な水溶液だからです。
これらの性質を調べるために使われる代表的な試薬には、リトマス紙、BTB溶液、フェノールフタレイン溶液があります。これらの試薬の色の変化と水溶液の性質の対応関係は次の通りです。
- リトマス紙…青から赤→酸性、変化なし→中性、赤から青→アルカリ性
- BTB溶液…黄色→酸性、緑色→中性、青色→アルカリ性
- フェノールフタレイン溶液…変化なし→酸性・中性、無色から赤色→アルカリ性
他にも、水素イオン指数pH(ピーエイチ、ペーハー)から性質を判断することもできます。pH=7が中性で、これより数値が小さいと酸性、大きいとアルカリ性です。pHの範囲は0~14です。
溶けているものの違い
固体・液体・気体のどれが溶けているかで水溶液を分類する場合、まずは蒸発させます。
固体が溶けている食塩水や水酸化ナトリウム水溶液を蒸発させると、それぞれ固体の食塩や水酸化ナトリウムが残ります。砂糖水も固体の砂糖が溶けていますが、蒸発させると焦げて黒いものが残り、もとの砂糖を取り出せません。
気体が溶けているアンモニア水や、液体が溶けているアルコール水などは、蒸発後に何も残りません。
金属との反応の違い
金属と反応する水溶液として覚えておきたいのは塩酸と水酸化ナトリウムです。
- 塩酸にも水酸化ナトリウムにも溶ける…アルミニウム、亜鉛
- 塩酸に溶けるが、水酸化ナトリウムには溶けない…鉄、マグネシウム
- 塩酸にも水酸化ナトリウムにも溶けない…銅
金属と水溶液が反応するときに発生する気体は水素です。
水溶液の性質を身近なもので教える
保護者が子どもに水溶液の性質を教える場合、身近なものを利用するのがおすすめです。
食品や洗剤の性質を調べる
たとえば、食品を味で分類してみましょう。調味料の酢は酸性で、舐めてみると酸っぱい味がします。アルカリ性飲料のお茶には苦味があります。
酸っぱい梅干しやレモンに含まれるクエン酸は酸性です。しかし、クエン酸は体内に入るとアルカリ性になるため、梅干しやレモンは「アルカリ性食品」と呼ばれます。このように、理科的な知識と食品の分類の違いに注目するのもおもしろいでしょう。
洗剤のラベルにもいろいろ書かれています。たとえば、お風呂用洗剤を見てみましょう。黄ばみや水垢を落とすための酸性洗剤には塩酸が、黒ずみやカビを落とす用途のアルカリ性洗剤には、水酸化ナトリウムや次亜塩素酸ナトリウムがそれぞれ含まれていることを確認できます。
身近な水溶液を使った実験をする
食品や洗剤などの身近な水溶液を使って実験をしてみるのもよいでしょう。家庭で実験するためのキットが販売されていますが、これらを使わなくても、工夫次第でさまざまな実験ができます。
たとえば、酢、炭酸水、重曹水、オキシドール、酸性洗剤、アルカリ性洗剤などをガラスのコップに入れ、それぞれに髪の毛、卵の殻、アルミ箔、スチールウールなどを加え、溶け具合を観察して比較する実験が考えられます。
また、酸性・中性・アルカリ性を調べるために紫キャベツ試験液を作ってみるのもおもしろいでしょう。作り方は次の通りです。
- ちぎった紫キャベツを冷凍庫で凍らせる。
- 純水と冷凍キャベツを耐熱容器に入れて、電子レンジで約10分加熱する。
- 液が紫色になったら冷まして、液だけをペットボトルなどに入れる。
紫キャベツ試験液は、酸性からアルカリ性まで赤、桃、紫、青、緑、黄の順で色が変化します。
これらの実験を夏休みの自由研究として行えば、学校の宿題と中学受験の勉強の両方で役立つので一石二鳥です。
水溶液の性質を日常生活から学ぶ
理科の勉強は、テキストの知識と日常生活を結びつけて理解すると楽しくなります。このような実感を伴った学びのきっかけを作っていくのは保護者の役割です。身近な水溶液を使って、親子でいろいろ調べたり実験したりすることをおすすめします。
※記事の内容は執筆時点のものです
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