【社会】12人の征夷大将軍を一覧で紹介! それぞれの功績や影響も押さえよう
歴史の教科書のなかで、長きにわたって何人も登場する「征夷大将軍」。
最初に登場する征夷大将軍と、江戸時代に登場する征夷大将軍はまったく違った役割を担っていたこともあり、中学受験生のなかには混乱してしまう子も多いでしょう。
そこで今回は、中学受験で押さえておきたい12人の征夷大将軍を一覧で紹介しつつ、それぞれの役割や功績、その時代に与えた影響などについてわかりやすく解説します。
征夷大将軍の全体像
さっそく、征夷大将軍を一人ひとり見ていきたいところですが、まずは征夷大将軍の基本を押さえることから始めましょう。
そもそも征夷大将軍とは?
征夷大将軍とは、平安時代ごろに設置された「国の役職」です。
平安時代以前と鎌倉時代以降では、征夷大将軍の役割がガラリと変わります。受験生が混乱するポイントなので、以下の図を使ってそれぞれの役割をシッカリと理解しましょう。
征夷大将軍の役割
平安以前の時代……蝦夷を征伐する人
鎌倉以降の時代……武士のトップ(政治の実権をもつ人)
平安以前の時代
もともと征夷大将軍には、その字のごとく「蝦夷(えみし)を征する」というミッションが与えられていました。
蝦夷とは、東北地方あたりに住んでいた、朝廷(天皇)に従わない人たちのこと。朝廷は蝦夷も従わせようとしたため、征夷大将軍という役職をつくったのです。
鎌倉以降の時代
鎌倉時代以降は蝦夷との騒乱が落ち着いていたので、征夷大将軍は「武士のトップ」という役割に変わっていきました。
当時は天皇よりも武士のほうが政治的に強かったので、武士のトップということは、国の政治の大きな権限をもっていた人ということです。
12人の征夷大将軍
征夷大将軍の役職は、理解できましたか?
では、「征夷大将軍12人」の全体像をもう一度ながめてみましょう。
上記の図でリストアップした征夷大将軍は、中学入試でよく出題される人物ばかりです。
名前を覚えただけでは入試を突破できないので、その人物がどんなことをおこなったのか、そしてどんな影響があったのか、についてもシッカリと押さえましょう。
ここでは大きく3つのパートに分けて、中学受験生が押さえておきたい12人の征夷大将軍を紹介します。
平安時代以前の征夷大将軍 =1人
武士時代の征夷大将軍 =5人
江戸時代の征夷大将軍 =6人(※)
※江戸時代も「武士の時代」ですが、260年も続いたことから多くの征夷大将軍がいるので、鎌倉時代・室町時代とは分けて紹介します
平安時代以前の征夷大将軍
平安時代以前の征夷大将軍としては、「坂上田村麻呂」を押さえましょう。
坂上田村麻呂
坂上田村麻呂は、蝦夷を征伐したかった桓武天皇によって征夷大将軍に任命された人物です。
当時の“蝦夷のボス”であった「アテルイ」を降伏させる、という実績をあげました。
(参考)大伴弟麻呂
歴史の教科書では坂上田村麻呂がはじめに登場しますが、史料上で“初代の征夷大将軍”とされているのが「大伴弟麻呂(おおとものおとまろ)」です。参考として知っておきましょう。
武士時代の征夷大将軍
武士時代(鎌倉時代〜室町時代)の征夷大将軍としては、次の5人を押さえましょう。
源頼朝
源頼朝は、鎌倉幕府を開いた征夷大将軍です。
幕府とは、武士が政治をおこなう「政府」のようなところ。鎌倉幕府が開かれて以降、武士が政治の実権をにぎり始めました。
源頼朝は「封建制度」という仕組みをつくったことも押さえましょう。封建制度とは、家来に領地を与えることで保護する代わりに、幕府に従ってもらう、という関係のことです。
足利尊氏
足利尊氏は、室町幕府を開いた征夷大将軍です。
もともとは、後醍醐天皇といっしょに鎌倉幕府の倒幕を画策していたメンバーのひとりでしたが、その後、武士の政治を復活させました。
足利義満
足利義満は、室町幕府の3代目将軍です。
室町時代の始めのころ、ふたつに別れていた朝廷をひとつにまとめた「南北朝の合一」をおこなった人物、ということは必ず押さえておきましょう。
ほかにも、外国との貿易を重視して「日明貿易」を始めたり、「金閣」を建立したりしたことでも有名ですね。
足利義政
足利義政は、室町幕府の8代目将軍です。
将軍の跡継ぎ問題に、細川氏と山名氏の対立が重なって起きた大乱(応仁の乱)を引き起こす元凶となり、幕府の力を完全に弱らせてしまった将軍として知られます。
金閣とセットで「銀閣」を建立した人物、ということも覚えておきましょう。
足利義昭
足利義昭は、室町幕府の15代目将軍です。
室町時代の将軍としてはちょっとマイナーですが、室町幕府が滅びたときの将軍として知っておきたいですね。ちなみに、室町幕府を滅ぼしたのは「織田信長」です。
江戸時代の征夷大将軍
江戸時代の征夷大将軍としては、次の6人を押さえましょう。
徳川家康
徳川家康は、江戸幕府を開いた征夷大将軍です。
“超有名な将軍”なので覚えたいことはたくさんありますが、中学受験対策としては、まずは次のふたつを押さえましょう。
ひとつは「大阪の陣(大坂の陣)」。
江戸幕府を開いてすぐ、大阪城にいた豊臣氏を滅ぼした戦いです。
もうひとつは「朱印船貿易」。
徳川家康は、外国との貿易に力を入れた将軍としても知られています。
徳川秀忠
徳川秀忠は、江戸幕府の2代目将軍です。
江戸幕府が開かれてすぐ、家康から将軍の座をゆずられた人物ですね。武士の法律である「武家諸法度」を制定したことも押さえましょう。
徳川家光
徳川家光は、江戸幕府の3代目将軍です。
大名に反乱を起こさせず、将軍に忠誠を示させるための「参勤交代」という仕組みをつくりあげました。
徳川綱吉
徳川綱吉は、江戸幕府の5代目将軍です。
幕府の財政が苦しくなったことで大量の貨幣を発行し、お金の価値を落としてしまった(物価高騰を招いた)人物です。
ほかにも、犬などの動物を大切にすることを定めた「生類憐みの令」を発令したことでも有名ですね。
徳川吉宗
徳川吉宗は、江戸幕府の8代目将軍です。
江戸三大改革のひとつ「享保の改革」をおこなった人物として知られます。
書物の輸入を解禁し、蘭学(西洋の学問)の発展をもたらしたことも重要なポイントです。
徳川慶喜
徳川慶喜は、江戸幕府の15代目将軍です。江戸幕府の最後の将軍ですね。
幕府を倒そうとする動きが大きくなるなかで、政権を朝廷に返還する「大政奉還」をおこないました。
注意! 征夷大将軍と間違えやすい人物
「武士のトップ」のようなイメージがあるものの、実は征夷大将軍ではない二人の人物を紹介します。
源義経
源義経は、源氏と平氏の間で起きた争いの終盤戦「壇ノ浦の戦い」で平氏をほろぼした人物です。
武士である源氏のトップのような印象がありますが、征夷大将軍ではありません。実際は、源義経の兄・源頼朝が征夷大将軍に任命され、鎌倉幕府を開きました。
豊臣秀吉
豊臣秀吉は武士でありながら、征夷大将軍という役職ではなく、天皇の補佐役である「関白」という役職を利用して国を治めようとしました。
まとめ
征夷大将軍という役職に就いていた歴史上の人物のなかで、特に覚えておきたい12人を紹介しました。
中学受験対策としては、まずは平安時代以前と鎌倉時代以降で、その役割が大きく変わったことを理解しましょう。
そのうえで、名前をただ覚えるだけでなく、その人物がおこなったことや、その影響についてもシッカリと押さえておくことが大切です。
※記事の内容は執筆時点のものです
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