学習 国語

読解力がつくといわれる「天声人語」の書き写し。小学生に本当に効果があるの?

専門家・プロ
2018年4月23日 鈴木恵美子

ここ数年、朝日新聞の天声人語をノートに書き写すという学習法が人気です。国語力をつける教材として、塾や学校でも利用されています。でも天声人語を書き写すことで、どの子も読解力や作文力がアップするのでしょうか? この学習法の効果について、「勉強のやり方」を教える塾・プラスティー教育研究所の講師に聞きました。

読むことが苦手な子も手を動かして文章に集中できるのが書き写し

天声人語は、以前から教材や入試問題として幅広く使われてきました。今の親世代も中学生くらいのころに、国語の授業で内容を要約したり感想文を書いたりした人が多いと思います。そして今、特に効果があると注目されているのが天声人語の「書き写し」。この学習法をより効果的にするための専用ノートも販売されて、人気を呼んでいます。

大人の天声人語はちょっとハードルが高い?

では、子供が天声人語を書き写した時に、得られるものとは何でしょうか。たとえば今まで知らなかった新しい語彙(言葉そのものや言い回し)や、さまざまな表現の方法に触れること。さらに世の中が注目するニュースの背景を知ったり、いろいろな話題へ感心を向けたりすることです。ただ、もともと天声人語は大人向けに書かれたコラムです。よほど国語力が高い子でない限り、小学生が学ぶ教材としては少し難しいのではないかと考えています。

「全然読めない子」ほど書き写しが有効

実は書き写しは、国語の苦手な子供にこそおすすめしたい学習手段です。読むことが苦手で、文章読解などとてもできないという子でも、お手本になる文章を一文字ずつ書き写すことには自然に集中できます。言葉の理解や関心を高めて、文章を読むことへのモチベーションを上げていく。そうした「国語に触れるきっかけ」として、書き写しはとても有効な手段なのです。

しかしそのような子であればなおさら、大人向けに書かれた天声人語はハードルが高くなります。書き写しのメリットを最大限に活かすためには、子供のレベルに合わせた教材を選んであげることがイントです。

読むことが好きな子、苦手な子で文章への取り組み方を変えよう

では、国語が苦手な小学生に書き写しをさせるとき、どんな教材を選ぶと良いでしょうか。

小学生の書き写しには子供向け新聞が最適

おすすめできるもののひとつが、朝日小学生新聞の「天声こども語」です。

https://www.asagaku.com/shougaku/shimen/shidoku_shimen/pdf/sho1.pdf

子供向けにやさしく書かれたコラムで、自然現象や四季の行事など生活に身近な話題も多く、大人向けのものに比べるとずいぶん読みやすくなっています。漢字には全部読みがながふってあるので、漢字の習得にも役立ちます。意味のわからない言葉があったら、印をつけて辞書で引いてみたり、お父さんやお母さんに聞いてみる習慣をつけるとさらに効果的です。

読むのが得意な子は書き写しより「要約」を

国語が得意で、まとまった文章を読むことに抵抗のない子であれば、大人向けの天声人語はいい教材になります。ただ、中学受験で出題されるような密度の高い文章に対する読解力は、書き写しだけでは鍛えられません。そんな場合は一段ステップアップして、書き写しよりも「要約」に取り組んで欲しいと思います。

たとえば603字の天声人語を200字に要約してみる。あるいは大切な論旨を100字で書いてみるなど、いろいろなパターンで練習すれば、長文読解の良い訓練になります。

子供に文章に触れる楽しさを伝えよう

書き写しという勉強法は万能ではありませんが、教材となるコラムのなかに常に新しい発見があり、それを家族で話題にすることで「文章に触れるのは楽しい」という子供のモチベーションに繋げることができます。国語が苦手な子にとっては、それだけで大きな一歩。ぜひ良い題材を見つけて、チャレンジさせてみてください。

※記事の内容は執筆時点のものです

代表の清水章弘が設立。「勉強のやり方を教える塾 プラスティー」を東京・飯田橋と京都・烏丸御池で運営している。勉強内容だけではなく、勉強のやり方を体系的にまとめた「学習コーチ指導」を展開。小学生から高校生・浪人生まで、学校についていけない生徒から最難関校を受験する生徒まで、生徒1人ひとりの力を伸ばす指導は父兄からも大きな信頼を集めている。

代表は青森県三戸町教育委員会学習アドバイザーを務める。代表著書に『中学生からの勉強のやり方』(ディスカバー・トゥエンティワン)、『東大生が知っている!努力を結果に結びつける17のルール』(幻冬舎)、『現役東大生がこっそりやっている、頭がよくなる勉強法』(PHP研究所)など多数。著書は海外でも翻訳されている。

プラスティー教育研究所:http://plus-t.jp/