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学習 算数

約束記号の基本から応用をわかりやすく解説! ガウス記号や約数の個数も難しくない

2024年1月06日 みみずく

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中学受験算数の定番問題に約束記号があります。参考書や問題集にはサラッと載っているだけですが、苦手とする受験生が少なくない厄介な問題です。とくに難関校では、思考力を問うため他の単元との融合問題として出題されることも。そんな約束記号について、具体的な問題を通して基礎から応用までわかりやすく解説します。

約束記号の基本問題を解く

複雑な計算や思考を必要としない約束記号の基本問題を解いてみましょう。

問題文に約束が書かれている問題

【問題1】2つの整数A、Bについて、A×B+A+BをA◎Bとします。たとえば、1◎2=1×2+1+2=5、10◎7=10×7+10+7=87となります。このとき、次の各問いに答えなさい。

(1) 7◎13を求めなさい。

(2) 24◎B=999となるBを求めなさい。

【問題1】では、「A×B+A+BをA◎Bとします」という約束が書かれています。そのため、約束を見抜く必要はなく、書かれている約束の通りに手を動かすだけです。

(1) 7×13+7+13=91+20=111です。

(2) 24×B+24+B=999なので、24×B+B=999-24より25×B=975となり、B=975÷25=39です。

問題文に約束が書かれていない問題

【問題2】1以上の2つの整数A、Bについて、AはBより小さいものとします。また、A△Bは、次の(例)のように、一定のルールに従って計算するものとします。

(例)1△2=9、2△3=25、4△6=100、5△8=169

このとき、A△B=2500となるAとBの組は何通りありますか。

【問題2】では、約束が書かれていません。そのため、(例)を手がかりにして約束を見抜く必要があります。

(例)の9,25、100、169は同じ数を2回かけた平方数です。9=3×3、25=5×5、100=10×10、169=13×13で、しかも3=1+2、5=2+3、10=4+6、13=5+8とわかります。したがって、A△B=(A+B)×(A+B)という約束が成り立っています。

2500=50×50なのでA+B=50となるAとBの組を考えます。問題文の「1以上」「AはBより小さい」に注意して(A、B)=(1、24)(2、23)…(24、26)の24通りです。

約束記号の応用問題を解く

約束記号には、他の分野と融合した応用問題もあります。典型的な問題はパターンを覚えておくとよいでしょう。

ガウス記号の問題

【問題3】ある数Aをこえない最大の整数を[A]で表すことにします。たとえば、[3.14]=3、\(\left[\frac{17}{3}\right]\)=5、[11]=11となります。このとき、\(\left[\frac{1}{13}\right]\)+\(\left[\frac{2}{13}\right]\)+\(\left[\frac{3}{13}\right]\)+…+\(\left[\frac{200}{13}\right]\)を求めなさい。

ある数Aをこえない最大の整数を表す[A]の[ ]は「ガウス記号」と呼ばれます。中学や高校の数学で出てくる記号ですが、中学受験算数でも時々見かけます。ただ、ガウス記号を知らなくても、書かれている約束の通りに手を動かすだけなので、決して難しくありません。

【問題3】では、\(\left[\frac{1}{13}\right]\)…\(\left[\frac{200}{13}\right]\)をグループ分けしましょう。\(\left[\frac{1}{13}\right]\)~\(\left[\frac{12}{13}\right]\)の12個はすべて0、\(\left[\frac{13}{13}\right]\)~\(\left[\frac{25}{13}\right]\)の13個はすべて1、\(\left[\frac{26}{13}\right]\)~\(\left[\frac{38}{13}\right]\)の13個はすべて2、…、\(\left[\frac{182}{13}\right]\)~\(\left[\frac{194}{13}\right]\)の13個はすべて14、\(\left[\frac{195}{13}\right]\)~\(\left[\frac{200}{13}\right]\)の6個はすべて15です。したがって、1×13+2×13+…+14×13+15×6=(1+2+…+14)×13+90=1455となります。ちなみに、1+2+…+14は等差数列の和の公式を使って(1+14)×14÷2=105と計算しました。

約数の個数の問題

【問題4】2桁の整数Aについて、Aの約数の個数を<A>で表します。たとえば、<10>=4、<24>=8となります。このとき、次の各問いに答えなさい。

(1) <A>=3となるAをすべて求めなさい。

(2) <A>+1=3となるAの個数を求めなさい。

24の約数は積の形で表すと1×24、2×12、3×8、4×6なので、その個数<24>=8です。一方、素因数分解を利用した以下の公式を知っていると、約数の個数を楽に求められます。

A=a×a×…×a×b×b×…×b×c×c×…×c(abcは素数)の約数の個数は、

(aの個数+1)×(bの個数+1)×(cの個数+1)(個)

24=2×2×2×3なので、(2の個数+1)×(3の個数+1)=(3+1)×(1+1)=4×2=8(個)を求められました。【問題4】はこの公式を使って解いていきます。

(1) 約数の個数が3個になるAを素因数分解すると、A=a×a(aは素数)です。したがって、a=5、7のときにAは2桁になるので、A=25、49です。

(2) <A>+1=3より<A>=3-1=2となり、約数の個数が2個になるAを素因数分解すると、A=a(aは素数)です。このようなAは、1と自分以外に約数のない整数=素数です。2桁の素数A=11、13、17、19、23、29、31、37、41、43、47、53、59、61、67、71、73、79、83、89、97の21個です。

約束記号は思考力問題としてもよく出る

約束記号は、計算問題の一種として小問になるだけでなく、思考力を試す大問としてもよく出ます。たとえば、ガウス記号(栄東2023)、素数の個数(女子学院2022)、食塩水の濃度(海城2021)との融合問題が難関校を中心として出題されました。苦手な受験生は類題をたくさん解いて慣れておくとよいでしょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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