百葉箱の高さは? 中学入試で狙われやすい5つの基本事項を確認しよう

2022年9月05日 ゆずぱ

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小学校の理科において、気象分野の入門単元で登場する「百葉箱」。公開模試や難関中学の入試問題でも出題されていますが、たとえば「百葉箱の高さは地面から1.2m〜1.5m」という細かい知識を忘れてしまい、答えられなかったという声をよく聞きます。

入試本番で慌ててしまわないためにも、これから紹介する5つの基本事項をしっかりと押さえておきましょう! 

百葉箱とは?

まずは、百葉箱がナニモノであるかを確認しましょう。百葉箱のなかに何が入っているか、正確に答えることができますか?

答えは、たくさんの温度計です。

百葉箱の目的は、気象観測の際に重要なデータとなる「気温」を正確に測ることです。そしてそれぞれの目的に合わせ、箱のなかには主に3つの温度計(湿度計)が入っています。

百葉箱の温度計(湿度計)

  • 乾湿球湿度計
  • 最高最低温度計
  • 自記温度計

※気圧計などが入っている場合もある

乾湿球湿度計

乾湿球湿度計は、「乾球湿度計(一般的な温度計)」と「湿球温度計(湿ったガーゼで覆われた温度計)」のふたつで構成されている湿度計です。それぞれの温度差によって湿度を計算できます。

最高最低温度計

最高最低温度計は、一定の期間内の最高温度と最低温度を計測できる温度計です。「最高温度計」と「最低温度計」のふたつが合わさっているため、1日の最高気温だけでなく、最低気温が何度だったかも後から確認できます。

自記温度計

自記温度計とは、温度を自動で計測してくれる温度計です。ロール状になった紙の上にグラフを描くことで温度が記録される仕組みとなっていて、その瞬間の温度だけでなく、温度の変化がグラフで視覚的に確認できるのが特徴です。

5つのポイント

百葉箱のなかに何が入っているかは、理解できましたか? では、そのほかの5つのポイントについても見ていきましょう。

百葉箱の5つのポイント

  1. 百葉箱の高さは1.2m〜1.5m
  2. 木に白い塗料を塗って作られている
  3. 扉は太陽のない方角を向いている
  4. “特殊な壁”が使われている
  5. 芝生の上に設置されている

中学入試に対応するためには、「なぜそのようになっているか?」という理由を押さえておくことも大切です。それぞれのポイントについて理由もあわせて解説しますので、一緒に確認していきましょう。

ポイント[1]百葉箱の高さは1.2m〜1.5m

百葉箱の高さは、1.2m〜1.5mの間に定められています。厳密には、箱のなかにある温度計の球の部分が1.2m〜1.5mの高さに来るように設置されていて、これは「気温」の定義が、地表から1.25m~2.0mの高さの温度のことを指す、と定められていることと関係しています。

では、なぜこの高さなのでしょうか? それは、地面から発せられる熱の影響を受けないのは「地面から1mくらい上」と言われているからです。ちなみに気象庁は気温を測る際の高さの基準を「1.5m」としていますが、百葉箱に関しては人間の背丈を考慮して「1.2m〜1.5m」と定められています

ポイント[2]木に白い塗料を塗って作られている

百葉箱は木でつくられていて、白い塗料が全体に塗られています。

木が使われている理由は、熱伝導率が低いからです。太陽の熱が内部の温度計に伝わることを避けるために、木が選ばれているんですね。

熱伝導率
その材質の、熱の伝わりやすさのこと。たとえばアルミや鉄は熱を伝えやすいため熱伝導率が高く、木材は熱を伝えにくいため熱伝導率が低い。

百葉箱が白く塗られている理由は、熱の吸収を抑えるためです。黒いものは光を吸収しますが、白いものは光を反射し、熱が蓄積するのを防いでくれます。そのため、百葉箱に太陽の光が当たっても箱が熱くならないように白く塗られているんですね。

木が使われている理由も、白く塗られている理由も、どちらも百葉箱が熱を持つことを防ぐためです。ここでは「熱」というキーワードをしっかりと押さえておきましょう。

ポイント[3]扉は太陽のない方角を向いている

日本にある百葉箱の扉は、北を向いています

ここまでポイント1、2を見てきたなかで、百葉箱にとっては太陽からの光が“天敵”、ということがわかりましたか? そして百葉箱の扉が北を向いているのも、太陽の光から百葉箱を守るためです。

そもそも温度計を確認するために扉を開けたとき、そこに太陽の光が入ってきて温度計に当たってしまうと、正確な温度が測れません。そのため、太陽がいない方角に扉を開ける必要があります。そして日本で見ることのできる太陽は、東からのぼって、南を通り、西に沈む、というルートを通っています。つまり北の空に太陽が見えることはないため、百葉箱の扉は北に向かってつくられているのです。

ちなみに南半球のオーストラリアで見られる太陽は、東からのぼり、北を通って、西に沈むため、オーストラリアの百葉箱の扉は「南」に向けて開くようにつくられています。「南半球の百葉箱の扉はどの方角に向かってつくられているか?」という問題が中学入試で出題されたこともありますよ。

ポイント[4]”特殊な壁”が使われている

百葉箱のなかに熱がこもってサウナのようになってしまうと、正確な温度は測れません。そこで上のイラストの断面図のように、太陽の光や雨などが箱に入らないようにしつつ、空気の通りだけは良くなるような作りになっています。

百葉箱の語源
百葉箱は、たくさんの“ひだ”が集まったような外観をしていることが特徴です。「よろい式壁」と呼ばれますが、その作りが「百葉(たくさんの葉が合わさったような様子)」と似ていることから、百葉箱と呼ばれるようになったと言われています。なお、牛の胃も似たような構造をしていますが、そうした胃のことを中国では「百葉」と呼ぶため、これが百葉箱の語源となったという説もあります。

ポイント[5]芝生の上に設置されている

百葉箱は、主に芝生の上に設置されています。その理由は、日光の照り返しが起きにくいからです。一方、コンクリートやアスファルトなどの人工物は太陽の光が当たると照り返しが発生してしまうため、百葉箱を設置する場所としては適していません。

まとめ

百葉箱については、中学入試で次のような出題が考えられます。

中学入試の出題形式(例)

  • 基本事項がそのまま出題される問題
  • 基本事項の理由を書かせる記述問題
  • 条件を少し変えた応用問題(「南半球の百葉箱の扉の方向」など)

特に「応用問題」については、百葉箱について正しく理解していないと正答は導けません。実際のところ、中学入試で百葉箱について出題されると焦ってしまう子も多いですが、基本的な知識について、その理由と一緒にしっかり押さえておけば恐れる必要はありません。

まずは今回紹介した5つのポイントを振り返りつつ、入試本番で焦らないように勉強を進めていきましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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