【中学受験に向けた計画の立て方】受験勉強スタートまでにすべきこと「小学校入学前」編
中学受験で成功するために、欠かせないことを知っていますか? それは、いつまでに何をしておくべきか、受験当日から逆算した必須スケジュールを把握しておくこと。これを押さえておかないと、受験直前にシワ寄せがきて子供の心がポッキリ……なんてことが起こり得ます。そこで、中学受験を目指す親のお悩みアドバイザー・安藤由紀さんに、各年代でしておくべきことを聞きました。今回は「小学校入学前編」です。
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小学校入学前の教育が、中学受験にとって大切な理由
中学受験は小学3〜4年生からスタートするものといわれています。確かに入塾などの本格的な受験準備は、この年代が一般的です。けれど、安藤さんは「中学受験を成功に導く準備として、小学校に入学する前から、受験を見据えて親が教育意識を高めておいた方がいい」と語ります。
なぜなら、中学受験を成功させるためには、
[1]良好な親子関係の維持
[2]目標に向かって行動できる子育て
[3]成績の上がる家庭学習のノウハウの習得
という3点が必須。なかでも、[2]は幼児期の親のかかわりが大きな影響を与えるからだといいます。
「中学受験で壁にぶつかった時、自己効力感(自分に対する信頼感や有能感)が高い子供と、そうではない子供では、がんばり切れるか否かが全く変わります。『自分はできる!』と思える子は、手が届くかどうか……という志望校でも最終的には到達できたりするんです。中学受験に臨む土台をつくるためにも、小学校入学前の子供との関わり方は重要です」(安藤さん、以下同)
幼稚園時代は“成功・達成体験”の積み重ねが重要
では、小学校入学までには何を目標に、どんな教育を行うべきなのでしょうか?
「どんなに小さな体験でもかまわないので、子供が“成功”や“達成”を積み重ねられる環境をつくりましょう。『あれはダメ』、『これはくだらない』といった制限を加えるのはNG。どんどんチャレンジさせることが大切です」
本人が好きなことをやらせるのはもちろんですが、幼い頃は何が好きなのかもわからないことが多いもの。親子で楽しめるようなことに積極的に誘いましょう。なお、スポーツ、キャンプなどのアウトドア、音楽といった趣味領域以外に、家庭の中でのお手伝いなどでも成功・達成体験は重ねられると言います。
「折り紙を1つ折れた。リボンが結べた。かけっこで転んだけど、走りきれた。そういったことも成功体験です。身近なことで「ちょっと頑張ってできたこと」はなんでも成功・達成体験につながります。家のお手伝いなどにしてもそれは同じ。いろんなことを認めて、褒めてあげることが大切です。
親は成功・達成体験につながる可能性があることに“アンテナ”を立てて、意識を高めましょう。また、忙しくて付き合いきれないと思うこともあるかもしませんが、邪魔せずに最後までやらせてあげることが大切。集中する子ほど、1つのものから離れなくなるものなんです」。
こうした体験を繰り返すことで、「こうなれたらいいな!」「こうしたい!」という気持ちが積み上がり、自然と自分で目標を立てられるようになり行動もできるようになっていきます。まずは親が子供の成長機会を提供し続けることが大切なのです。
褒めた後の一言に落とし穴が……
ただ、親としては子供への期待が大きいだけに、褒めた後の“余計な一言”には注意が必要です。
「結果を求める母親に多いのが、『頑張ったね! …でも、もっとこうだといいよね!』という余計な一言。褒めた後のこんな言葉は、すべてを台無しにしてしまいます」
これでは、子供はプロセスを認められたとは感じられません。そもそも幼児期のチャレンジは、何らかの成果が出ることの方が珍しい。だからこそ「今日頑張ったね!」「努力できたね!」と、成果ではなく行動自体に評価を与えてあげるべきなのです。
最も大切なのは、親の意識変革
そして子供の声かけを通じて、親自身が成長していくことも非常に大切だと安藤さんは語ります。
「結果ばかり見てしまう親は、自分に厳しく、なおかつ自分と子供を一体と見なしている傾向があります。だからこそ、『結果を出さなければダメ』と思ってしまうのでしょう。
そういう人は体裁を気にすることが多いようです。たとえば、子供が大きな声を出すと『近所迷惑だから!』と言って叱ります。つまりは意識が外に向いているのです」
もちろん、子供に周囲への配慮を教えるのは大切です。しかし、「なぜ大きな声を出すのだろう」、「どんな気持ちが大声を出す行動につながっているのだろう」、というように意識を子供の内に向けることが本当に重要だということ。
周囲への体裁や、結果ばかりを気にする。そういった、意識が子供ではなく外に向かっている親に育てられると、子供ながらに「自分は見てもらえていない」「大切にされていない」という意識が働きます。親の価値観が変わらないまま中学受験に突入すると、その思いは強くなって一気に爆発してしまうものだといいます。
「中学受験のストレスは、測り知れません。爪をかじってしまうなんてことはザラですし、自分の髪の毛を抜いてしまう子もいます。そんなストレスフルな状況下で、爆発してしまう一因となるのが、“結果主義的な親の価値観”なんです」
中学受験への計画の立て方。まずは親子のかかわりを大切にする意識づけから
小学校入学前の教育目標は、「目標に向かって行動できる子供に育てること」。そのためには、適切な声かけをしながら成功体験・達成体験を積み重ねさせましょう。そうすれば、子供の自己効力感を高めるだけでなく、その過程で親の意識改革もできるはず。まずはここで中学受験へと続く土台をしっかり固めるようにしましょう。
※記事の内容は執筆時点のものです
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