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【算数】低学年の子が混乱しがちな「時間計算」の解き方を解説! 5つの基本を押さえよう

2022年11月01日 ゆずぱ

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3年生の算数で登場する、時刻や時間の計算

60秒=1分だったり、60分=1時間だったり……。慣れない60進法の世界や、12時間制と24時間制というふたつの表現方法もあり、いつも使っている筆算や計算とちょっと違うことから「よくわからない」と戸惑ってしまう子は少なくありません

私の息子も、時間の計算で混乱してしまう子のひとりでした。しかし問題を前にして悩んでいる息子をよく観察してみると、混乱する理由が見えてきたんです。

息子は、時計盤の針をグルグル回しながら考えていたんですね

時刻や時間と言えども、足し算や引き算で用いる整数や、小数などと同じ算数の仲間。時計の盤面を使って考えるのは、合理的な行動とはいえません。

そこで大切なのが、時計盤のイメージを捨てること。そして、数字の大小や増減を「数直線」で理解することです。

時間計算をマスターするための5つの基本

時刻と時間の計算を理解するうえで押さえておきたい5つの基本をお伝えします。

  1. 時刻と時間の意味
  2. 数直線で理解する
  3. 時間の単位は60進法
  4. 時刻の表記法は2種類ある
  5. 時間の計算は「筆算」を使う

基本[1]時刻と時間の意味

時間計算の問題に出てくる「時刻」と「時間」という言葉は、低学年の子にとっては特にややこしく感じられるようです。

そこで、まずは言葉の正しい意味を押さえましょう。意味を理解しているかの確認をすっ飛ばし、いきなり計算練習に取り組むのはおすすめできません。

時刻と時間の違いがわかると、次の3つの計算パターンもイメージしやすくなります。どのパターンも、たし算やひき算で計算できることも覚えておきましょう。

時間計算の問題を解くときに「どのパターンか?」を意識していない子は多いようですが、それはおすすめできません。どのパターンかを意識することで問題を解く道筋が見えてくるので、まずは上記3つのどれに当てはまるか考えるようにしましょう。

<参考>
「時刻」は1点を示す言葉です。そのため、整数によるかけ算やわり算はできません。一方で「時間」は大きさ(長さ)を示す数なので、整数によるかけ算やわり算ができます。

基本[2]数直線で理解する

時刻や時間の計算となると「時計盤」をイメージしてしまう子は多いようです。ただし、たし算やひき算のように演算できるので、時刻や時間の計算は「数直線」で理解することがおすすめです。

数直線をイメージする大きなメリットは、午前と午後にまたがった計算や、日付をまたがった計算でおおよその時刻(時間)を最初に捉えられること。こうした問題が理解できていれば問題ありませんが、これらが怪しい場合は、まずは数直線をイメージしましょう。

たとえば、次のようなシンプルな問題があったとします。

「14日午後4時」の30時間後は?

まずは時計盤で考えず、数直線を思い描いてみましょう。そのうえで、おおよその答えをイメージしてみてください。たったこれだけで、午前・午後のどちらにするか混乱したり、日付を間違えたりするミスを防げますよ

答え:15日午後10時

<参考>
中学入試では「時計算」と呼ばれる文章題が出題されます。この問題は、時間計算と図形問題の複合型です。時計盤を図形として扱うので、この問題では時計盤を描くことをおすすめします。

基本[3]時間の単位は60進法

算数の授業で出てくる「アラビア数字」は、0〜9まで数字があり、10で桁が上がる10進法です。一方、時間計算の単位は60進法です。

小学生が数字を学ぶときは、「十の位は、一の位の値が10こ集まったかたまり」といったことを図を使いながら教わります。そこで時間を計算する際も、まずは初心にかえり、単位のくり上がりを図を使ってイメージしましょう。1秒が60こ集まったかたまりが1分、1分が60こ集まったかたまりが1時間とイメージしつつ、単位を変換してみてください。

単位のくり上がり・くり下がりは、時間計算の重要ポイントです。「秒・分・時間」「時間・日・年」など、時間計算で出てくる単位を使って変換方法を練習しておきましょう。

基本[4]時刻の表記法は2種類ある

時間計算を面倒くさく感じてしまう子は多いようですが、その理由は時刻の表記法が2種類あるからです。

「12時制」と「24時制」のふたつがありますが、日付のくり上がりなどがわかりやすいので、24時制で統一して計算するほうがおすすめです。求められる答えが12時制であっても、まずは24時制で計算をした後に12時制に変換しましょう。

基本[5]時間の計算は「筆算」を使う

時間を計算するときは筆算を使いましょう。たし算やひき算の筆算と、基本的な解き方は同じです。

時間計算の筆算は、時間・分・秒といった単位を縦にまっすぐそろえることが“鉄則”。くり上げ・くり下げは60進法でおこなう必要があるので、普通の筆算とはちょっと解き方が異なる点にも注意が必要です。

【例題】時間計算の3つのパターン

時間計算の3つのパターンについて、それぞれ例題を見ていきましょう(例題の時刻表記はすべて「24時制」とします)。

例題[1]時間どうしのたし算・引き算

この問題は時間と時間のたし算なので、素直にたし算をしてOKです。筆算をすると「分」の位が68分となり、68分=1時間8分なので、「時間」の位に1時間分くり上がります。

答え:5時間8分34秒

次はひき算の問題です。先ほどのたし算の問題と同様に、時間と時間のひき算なのでそのまま筆算できます

「秒」がひき算できないので、「分」から1分(60秒)くり下げましょう。

答え:2時間21分46秒

例題[2]時刻の〇〇前・〇〇後

ある時刻を起点として、その時刻の「〇〇後」を計算する問題です。

この問題では、30時間15分後が聞かれているのでたし算をすれば答えがでます。筆算をすると、「時間」が1日くり上がりますね。「1日=24時間」ということを思い出しましょう。

答え:15日22時35分

この問題は、12時間35分“前”となっています。時間をさかのぼる問題なので、ひき算をすれば答えがでます

「分」がひき算できないので、くり下がりが発生します。「時間」から1時間(60分)だけ「分」にくり下げましょう。

答え:14日3時45分

例題[3]時刻から時刻までの時間

最後に、時刻から時刻までの時間を求める問題を解いてみましょう。

この問題は、あとの時刻から前の時刻をひき算することで、そのあいだの時間が求められます。「分」がひき算できないので、「時間」から1時間(60分)だけ「分」にくり下げましょう。

答え:14時間50分

まとめ

時間の計算は低学年の算数のなかで苦手意識をもつ子が多い単元ですが、まずは5つの基礎的な知識を押さえることで理解が進みます。

  1. 時刻と時間の意味
  2. 数直線で理解する
  3. 時間の単位は60進法
  4. 時刻の表記法は2種類ある
  5. 時間の計算は「筆算」を使う

ふつうの筆算と同じく、時間の計算を筆算で解く場合にも単位を縦にそろえることがポイントです。そしてくり上がり・くり下がりを60進法で正しく計算することも重要なポイントとして押さえておきましょう。

くり上がり・くり下がりを落ち着いて練習すれば、時間計算は怖くありません。今回紹介した例題をもとに、練習を積み重ねていきましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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