中学受験ノウハウ 親の関わり方

「9歳の壁」は子供の成長の証し! 壁を乗り越えるには親のサポートが肝心

2018年7月12日 花里京子

小学校中学年(9歳~10歳)になると、学習に遅れが出たりして、親御さんも不安を感じることが多いようです。これを一般的に「9歳の壁」と呼んでいます。「9歳」は中学受験への準備が本格的にスタートする年齢です。「9歳の壁」を理解し、正しく対処することで、よりよいスタートを切りましょう。

「9歳の壁」についての正しい知識を身につけよう

「9歳の壁」を怖がっていませんか? まずは「9歳の壁」の正しい知識を身につけることが肝心です。

「9歳の壁」は子供にとっての大転換期

まず学習面でよく言われるのは、小学校の中学年になると苦手なものが出てくること。低学年では目で見て学ぶなど「具体的」な学習が多いのですが、中学年になると、「抽象的な考え方」が必要な学習に移行していきます。たとえば、算数では小数点や分数が出できますよね。そのタイミングで勉強についていけず、つまずいてしまう子もいるようです。

また、ドリルのような計算問題だとスラスラと解けていたのに、文章題になると、途端に解けなくなるということもあります。精神的には、親から離れ、友達とのつながりを強めていきます。「幼児期からの脱却」という大転換期を迎えるのです。これが「9歳の壁」です。

オーストリアの哲学者シュタイナー(1861〜1925)が提唱した「シュタイナー教育」では、「9歳」は非常に大切な時期であるとされています。9歳の子供は自分と周囲を区別し、自分を客観視するようになります。親から精神的な自立の第一歩を踏み出す、そんな時期だそうです。

「9歳の壁」には前兆がある

学校のことを話さなくなったり、「口ごたえをする」ようになったりしたら、「9歳の壁」がやってきたととらえてもよいでしょう。また、国語の読解や算数の文章題に苦手意識を感じるようになったり、勉強についていけなくなったりするなどの兆しが見えたら、壁が立ちはだかり始めているのかもしれません。

「9歳の壁」にわが子が直面。どうする?

もしも「9歳の壁」がわが子に立ちはだかったら……。その対処法をメンタル面と学習面から探っていきます。

壁の予兆を見逃さない

「9歳の壁」を「生意気なことを言うようになった」とか「勉強へのやる気が全くなくなった」と決めつけてしまうのは早計です。親の言うことを聞かなくなったのは、「9歳の壁」の予兆かもしれません。また、「9歳の壁」は精神的にも順調に成長している証です。わが子の成長を喜び、どんと構えて、受け止めていきましょう。

親がサポートする! 壁に直面した時の対処法

「9歳の壁」は、子供の心の成長期です。「親に甘えたい時もあるけれど、うるさいなと思うこともある」「でも、僕だって自分ひとりでできるんだ!」「友達より自分が劣っているように感じる」など、自信をもったり、なくしたり……。その心は不安定。こんな時こそ、親御さんの出番です!

メンタル面での親のサポート

親御さんは子供の不安な気持ちを受け止めてあげることが肝心です。親が不安だと、その様子は子供にも伝わります。子供は「親離れしたい」「自立したい」という気持ちをもつと同時に、まだ「親に甘えたい」「頼りにしている」のです。また、たとえば学校の宿題をやらないで遊びを優先させるなど、軌道修正が必要な場合が出てくると思います。そんな時は、「具体的に」「なぜ宿題をしなければいけないのか」、本人が納得するようきちんと説明しましょう。

学習面での親のサポート

低学年とは違い、学習面でも難しくなるこの時期。つまずいたら、その子の課題がどこにあるのか、じっくりつき合って解決したいものです。また、わからなかったことを、わからないままにしないことも肝心です。最初につまずいてしまうと、立て直すことが難しくなるでしょう。学習面でつまずくのは、ドリルや暗記ものが得意な子に多いようです。そんな子には得意なことに目を向けさせ、自信をつけさせてから、次のステップに進むのもひとつの方法です。また、学習面でがんばっている様子が見られたら、ほめてあげることも忘れないでください。

中学受験と「9歳の壁」

「9歳の壁」の時期は、ちょうど中学受験の準備が本格的に始まる時期にあたります。この時期、「9歳の壁」にぶつかっているかもしれないお子さんの中学受験準備についてのヒントをご紹介します。

進学塾への入塾期と重なる壁期

中学受験をする子供のほとんどは、進学塾に通います。地域にもよりますが、人気の塾は高学年になってからだと入塾が難しくなるため、3年生の2月に初めての入塾となるケースが多いようです。そうです、「9歳の壁」の時期が入塾のタイミングにピタリと重なるのです。

壁を乗り越え、受験準備を始めるためには

「中学受験の準備はなるべく早く始めたい」とお考えの親御さんも多いでしょう。しかし、「9歳の壁」にぶつかり、学習面で自信をなくして、理解も不十分なお子さんにとっては、この時期に通塾を始めるのがよいことかどうか悩ましいところです。大切なのは、きちんとお子さんの状況を見て、通塾しても大丈夫かどうか判断してあげることではないでしょうか。「9歳の壁」にぶつかっていたとしても塾の指導で乗り越えられるかもしれませんし、立ちはだかる壁にどうしていいかわからなくなっているときに塾に通わせたことで余計に勉強嫌いになるかもしれません。迷ったら、いろいろな塾に行き、塾の先生に相談してみるのもよいでしょう。

まとめ

「9歳の壁」は、子供にとって大切な成長過程です。恐れることはありません。中学受験の準備スタートと時期を同じくしますが、壁とどのように向き合っているのかを見極め、その子に合った準備をすることが何より肝心でしょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

この記事の著者

ライター・編集者。中学受験情報関連の雑誌などで取材・執筆を行う。首都圏の中高一貫校を100校以上取材。現在、関心があるのは2020年大学入試改革で、中高一貫校の対策に注目している。