学習 理科

昆虫の生態でよく出る「完全変態」「不完全変態」は分類して覚える (1ページ目)

2019年2月05日 ゆずぱ

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中学入試で頻出の昆虫の生態。そのなかでもよく出題されるのが、完全変態や不完全変態です。

教科書には「完全変態をする昆虫として、テントウムシやハエやモンシロチョウの仲間が挙げられます」と説明があります。カブトムシは? カメムシは? セミは? どうでしょう? ひとつひとつ覚えるのは骨が折れます……。

また、昆虫の生態は、幼虫と成虫の棲む場所や食べ物の変化も問われることがあります。これもきちんと覚えたいです。分類・整理して覚えましょう。

完全変態・不完全変態とは

完全変態と不完全変態の定義はとてもシンプルで、幼虫から成虫になる過程で、蛹(さなぎ)になるかどうかです。

蛹(さなぎ)とは成虫になる前の形態で、ほとんど動くことができず、エサも取りません。外敵からの防御力はゼロ状態です。

ちなみに……、無変態(不変態)といって、幼虫から成虫になるまで全くかたちを変えない虫もいます。大人でも聞いたことがないかもしれませんが、シミ、トビムシといった虫が無変態の虫です(シミ、トビムシは見た目が強烈なので写真を調べるときは閲覧注意です)。

「蛹」という漢字は虫へんに「甬(ヨウ)」と書きます。「甬」という字は「花のつぼみがふくらんださま」を表すそうです。チョウの蛹(さなぎ)って確かにつぼみっぽいですね……!

完全変態と不完全変態 ―― 見た目の特徴

完全変態の昆虫の見た目の特徴は、「幼虫と成虫で姿がガラリと変化すること」です。わかりやすいのは、チョウです。幼虫のときはイモムシで、蛹(さなぎ)になったあと、成虫のチョウになります。

この「ガラッと変化」は、さながらシンデレラみたいです。

一方で、不完全変態の昆虫は、幼虫も成虫も見た目が似ています。イメージしやすいのは、バッタやコオロギでしょう。幼虫と成虫で、羽などの大きさが違いますが、見た目はほぼ一緒。

ただ、不完全変態の昆虫にも、セミやトンボのように幼虫から成虫になるときに見た目が変わる虫がいます。ここは覚えるときに、ちょっと注意が必要ですね……。

ここまでは完全変態と不完全変態の特徴と、その見た目の変化の話でした。

ほかにも入試で問われる特徴があります。それは「幼虫と成虫で棲む場所や、食べ物が変化する」という特徴です。

この傾向が顕著なのが、完全変態の昆虫です。

幼虫のときは土の中で暮らして、成虫になると空に羽ばたく昆虫。幼虫のときはカタツムリを捕食するバリバリの肉食なのに、成虫になると口が退化して何も食べない昆虫がいます。

ヤミクモに覚えるのは大変……。生物学上の分類を把握する

さて、生物学の世界では、生き物を特徴ごとに分類しています。

たとえば「カブトムシ」は、「節足動物門 ― 昆虫綱 ― 甲虫目 ― コガネムシ科」に属します。同じ科に分類にされる昆虫は似たような特徴を持ちます。

この分類を知らずに、生物の特徴を学習するのはもったいないと思うのです。昆虫の特徴をひとつずつヤミクモに覚えるのではなく、分類を把握して覚えることをおすすめします。

節足動物の分類 ―― 昆虫で7分類は覚えておきたい

昆虫は、節足動物門(もん)という仲間に分類されます。

節足動物門は足が6本の昆虫綱(こう)と足が8本のエビ綱、足が10本のクモ綱などに分類されます。

そして昆虫綱は、甲虫目やハエ目などといった目(もく)に分けられます。代表的な目は次の7つの目です。こういった、全体像をおさえましょう。

この分類図は、中学受験の学習内容を参考に、筆者が簡略化したものですのでご注意ください。たとえば昆虫綱には7つ以上の目があります。昆虫綱とエビ綱とクモ綱以外の綱もあります。たとえば、ムカデはムカデ綱です。入試までまだ余裕があって、お子さんが興味をもつようなら、範囲を広げてみてもよいと思います。

分類すると、頭の中がスッキリする

先程の生物分類の図を眺めながら、完全変態と不完全変態の話に戻ります。この分類があると、覚えやすくできます。

前述した代表的な7つの目のうち、甲虫目・ハエ目・ハチ目・チョウ目は完全変態、カメムシ目・バッタ目・トンボ目は不完全変態です。

チョウは完全変態の虫で、蛹(さなぎ)になってガラッと姿を変えるシンデレラタイプの虫です。

ちなみに、カメムシは、見た目がカブトムシやコガネムシといった甲虫目っぽいのに、不完全変態の昆虫です。セミもカメムシ目なので、不完全変態の昆虫ですね。なので、「カメムシ(セミ)・バッタ・トンボはシンデレラじゃない」と覚えておきましょう。

このように生物分類学を把握してから、昆虫の特徴をあてはめていくと、頭がスッキリしてきます。

特徴を当てはめるときは、子供なりにイメージしやすいように、なにかに例えて考えてみるのも効果的だと思います。

ただ注意点もあります。この分類は、もともと自然の中でそれぞれの進化を遂げた生物を、後から人 (生物学者)が似たもので分類したものです。ですから、どうしても例外があります……。

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