「志望校全落ち」受験前にあまり聞きたくない言葉ですが、中学受験の取材を多くしていると、これがそれほど珍しいケースでないことがわかります。当日の体調を崩してしまったり、思わぬところで緊張してしまったり、大人びて見えてもまだまだ子どもなのが小学生です。今回は受験コースに変更当初、早稲田大学付属校受験をすすめられたものの、成績が下落、当初志望していた学校のすべてに落ちてしまったという男児一家のお話です。
現在、佼成学園に通う西村家の海斗くん(仮名・高校生)。塾の中学受験コースに移った当初は偏差値60台と好成績をキープ「早稲田の付属校も目指せます!」と太鼓判を押されて始まった中学受験の道でしたが、最終的に入学したのは偏差値的には下の佼成学園でした。
「受験するまでは、『こんなに低い偏差値のところに入る意味あるの?』と思っていました。佼成学園を受けたのは中学受験を惨敗の記憶ではなく、成功体験として終わらせてやりたかったからです。でも試験当日、ボロボロになっていた息子を両手を広げて迎え入れてくれた佼成学園の校長先生の暖かさに息子も私も感動して、入学を決めました。中学3年間はとてもよく見ていただき、満足です」
こう話すのは母親の香さん(仮名)です。いきいきと学校生活を送る今、この選択に後悔は見られません。
- 小2で入塾。塾のアンケートで“中学受験したい”に○
- 校舎が変わりまさかの展開
- 個別指導で自己肯定感・成績がアップ
- 意外とかかる受講料以外のお金
- ガミガミ言わなくてすんだのは大きなメリット 授業内容は上位校とほぼ同質 中高一貫校のよさ
小2で入塾。塾のアンケートで“中学受験したい”に○
海斗君の入塾は小学校2年生の時でした。母親の香さんは海斗くんの小学校入学をきっかけに、家庭に軸足を置いてきた働き方をチェンジ。少しずつ仕事量を増やしていくにあたり、海斗君は学童保育のお世話になることにします。ところが、2年生になると「学童は行きたくない!」と強く拒むようになったのです。そんな時、目にとまったのが近くにあった臨海セミナーのチラシでした。2年生の月謝は6,000円ほど。説明を聞きに行くと、授業は週に1日から、国語と算数の2教科を見てもらえて、授業のない日も自習室が使えるということでした。