年々人気が高まる公立中高一貫校。公立ながら6年間しっかりと受験指導が受けられ、国公立大学への合格率も高いとなれば、保護者にとって大きな魅力です。しかし、公立一貫校の受験は、私立中学受験とは違った苦労があります。東京都教育委員会が発表した2020年度の都立中高一貫校10校の平均出願倍率は、約5.74倍。人気校になると、6~7倍の倍率になることも。このなかで勝ち抜いていくのは容易ではありません。
現在、安田学園に通う山本翔くん(仮名・中学生)も、3年前、この熾烈な戦いに挑んだ受験生の1人。母親の恵子さん(仮名)は「本人も親も何もわからないまま、見切り発車でがんばらせてしまった」と振り返ります。山本さん夫婦には中学受験の経験はなく、特にご主人が地方出身で、公立志向が強かったといいます。しかし、山本さん一家が最初から中学受験をめざしたわけではありませんでした。
- 小学校の成績キープを目的に小4夏に入塾。当初 中学受験意向はなし
- 塾の指導方針で、受験を意識するように
- 塾の対応には満足していたものの、厳しい現実が……
- 母・恵子さんの不安と葛藤
- 都立一貫校一本の受験から安田学園の併願
- 安田学園の入試に4度挑む
- いよいよ都立白鴎中の受験の日
- 進学先を決めた「僕の3年間を無駄にしたくない」のひとこと
小学校の成績キープを目的に小4夏に入塾。当初 中学受験意向はなし
翔くんが塾に通い始めたのは小4の夏。きっかけは、通っている小学校にはさまざまな家庭環境の子が多く、授業崩壊することも多かったからでした。