日本で生まれ育った子どもを持つ親にとって、帰国子女を対象とした「帰国生枠」での受験は、とても魅力的です。「覚えてきた英語を活かせる」、「ほかの教科の勉強が免除される」そんなイメージがあります。しかし、現実はそれほど甘くはないようです。
現在、都内の自宅から横浜市にある神奈川大学附属中学校に通う高橋梨奈さん(仮名・中学生)。神奈川大学附属中学校は首都圏では人気の進学校です。それだけに勉強もそれなりに厳しいようですが、梨奈さんは部活に、勉強に、学校行事にと、充実した毎日を過ごしています。
母・智子さん(仮名)は、「娘には合っている学校でした。学校の対応にも満足しています」といいます。梨奈さんは一般4科の試験で同校に合格しましたが、実は当初は他校の帰国生枠での中学受験をめざしていました。しかし一口に帰国生枠といっても、その内実は一筋縄ではいかないものでした。
- 小3までアメリカ暮らし。国語につまずいて学習塾へ
- 帰国生枠で学校探しをするも、帰国後の年数条件がネックに
- 私学の合同説明会で、ノーマークだった志望校と出会う
- 初めての停滞期。「親は口を出さないで」と塾から言われ
- 早めの切り替えで4教科入試をターゲットに
- 試験慣れのために帰国生枠を受けるも不合格。本人がショックを……
- 挫折をバネに、がむしゃらに勉強。過去問でも合格点に到達
- 親のプライドや見栄と戦うのが中学受験
小3までアメリカ暮らし。国語につまずいて学習塾へ
高橋さん一家は父親の隆さん(仮名)の仕事の関係で、梨奈さんが小学校3年生になるまでアメリカに住んでいました。梨奈さんが3歳の頃に一時帰国するも、半年ほどで、またアメリカへとんぼ返り。母の智子さんによると、「ほとんどアメリカ人」という育ち方をしたそうです。アメリカでは地元の小学校に通い、日本式の勉強は週に一度の補習校での学習だけ。国語と算数の基礎的なことしか学んでいませんでした。