学習 時事問題

平成最後の年 2019年。時事問題を軸に平成時代を振り返ろう

2019年2月13日 兵藤 かおり

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2019年4月30日に天皇が退位し、平成時代は終わりを迎えます。中学入試でも、平成時代を振り返る問題が出題されることが考えられます。そこで今回は、2019年に行われる参議院選挙や消費税増税、2020年に行われる東京オリンピックなど時事問題の関連事項を軸に、10年単位で平成時代を振り返ります。重要な政策は「このときの内閣総理大臣は誰か」という問題も出されやすいので、お子さんと一緒に確認してください。

平成元年(1989)~平成10年(1998)

平成元年は、昭和天皇が崩御した翌日、1989年1月8日から始まりました(1月7日までは昭和64年)。バブル経済がはじけ、自民党の単独政権が終わるなど政治的に目まぐるしい時期でした。

消費税と「ねじれ国会」を生んだ参議院選

平成元年(1989)4月1日、自由民主党の竹下登内閣により日本で初めて消費税が導入されました。このときの税率は3%。消費税導入と「リクルート事件」の影響もあり、内閣支持率は低下、竹下首相は辞任しました。

ところが、新しく任命された宇野宗佑内閣総理大臣のスキャンダルが発覚、7月の参議院選挙では土井たか子委員長率いる日本社会党が躍進。自由民主党が獲得した議席は、過半数以下の36議席。衆議院での議席が過半数以下となり、衆議院は自由民主党、参議院は野党が優勢の「ねじれ国会」となりました。

非自民・非共産の連立政権が誕生

平成3年(1991)、過剰な景気拡大が続いたバブル経済が崩壊しました。平成4年(1992)、国際平和維持活動(PKO)法案が成立し、自衛隊がカンボジアに派遣されます。国際連合の枠組みで行われる初のPKO活動となりました。このときの内閣総理大臣は宮澤喜一首相(自由民主党)です。

宮澤首相は「政治改革を断行する」と公約しましたが、党内から反対があり断念。平成5年(1993)、内閣不信任決議が出され、衆議院を解散、総選挙が行われました。自民党が分裂した結果、細川護熙(もりひろ)内閣総理大臣(日本新党)が率いる日本新党、日本社会党、新生党、公明党、民社党、新党さきがけ、社会民主連合、民主改革連合による非自民の連立政権が誕生しました。

平成7年(1995)、阪神・淡路大震災が発生。兵庫県、大阪府、京都府に被害が広がり、犠牲者は6,434人に達しました。とくに震源地に近い兵庫県神戸市の被害は甚大でした。このときの内閣総理大臣は村山富市首相(日本社会党)。平成6年(1994)より自由民主党・日本社会党・新党さきがけによる連立政権を組んでいました。

消費税が5%に。長野オリンピック開催

平成6年(1994)、村山富市内閣で消費税率を3%から4%に引き上げ地方消費税1%を加えるという税制改革関連法が成立しました。平成9年(1997)、消費税率が5%に引き上げられました。このときの内閣総理大臣は、橋本龍太郎首相(自由民主党)です。消費税5%のうち、1%は福祉の充実にあてるとされました。

平成10年(1998)には、長野冬季オリンピック・パラリンピックが開催、冬季ではアジア初となります。「日本の屋根」と呼ばれる3000m級の山々に囲まれた長野県で開かれました。

中学受験での地理問題の対策として、オリンピック関連では開催地などを意識するとよいでしょう。

平成11年(1999)~平成20年(2008)

平成11年(1999)の内閣総理大臣は、小渕恵三首相でした(任期は1998年7月~2000年4月)。官房長官時代に「平成」の元号を発表した人です。また、小泉純一郎内閣総理大臣のもとで、数々の改革が行われた時期でした。

サッカーW杯が開催される

平成14年(2002)、21世紀初、またアジア初のサッカーワールドカップが日本と韓国の共同開催という形で開催。日本代表は、ベスト16という結果に。日本で試合がおこなわれたのは10の都道府県。北海道・宮城県・茨城県・埼玉県・神奈川県・静岡県・新潟県・大阪府・兵庫県・大分県でした。

日朝首脳会談が開催される

平成14年(2002)、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の首都・ピョンヤンで、日朝首脳会談がおこなわれました。日本からは小泉純一郎内閣総理大臣(自由民主党)が出席。北朝鮮の元首・金正日(朝鮮労働党総書記)と日本人拉致被害者問題などが話し合われ、北朝鮮の謝罪がなされました。その結果5名の拉致生存被害者が帰国。平成16年(2004)には、2度目の会談がありました。

郵政事業民営化がスタート

平成13年(2001)、小泉純一郎内閣が発足。小泉首相は、景気回復のため、国営事業を民営化するなど「聖域なき構造改革」を進めます。中でも中心になったのは「郵政民営化」でした。しかし、自民党内の反対もあり実現は難しく、平成17年(2005)、小泉首相は国民に信を問うため、衆議院を解散、総選挙をおこないました。これは「郵政解散」と呼ばれています。結果は与党(自民党・公明党)が議席の3分の2以上を占める大勝。平成19年(2007)、郵便・簡易保険・郵便貯金の3事業が民営化されることになりました。

平成21年(2009)~平成31年(2019)

政治の分野では、自民党から民主党への「政権交代」が起こり、その後、安倍晋三内閣総理大臣の長期政権が続きました。東日本大震災、消費税の増税はとくにチェックしておきましょう。

政権交代と東日本大震災

平成19年(2007)の参議院選挙で大勝し、参議院での議員数の過半数を獲得した民主党は、平成21年(2009)、衆議院総選挙で絶対安定多数となる308議席を獲得。自由民主党から民主党へ政権交代が行われ、民主党政権(鳩山由紀夫内閣・菅直人内閣・野田佳彦内閣)が誕生しました。国民新党・社会民主党(社民党は鳩山内閣時に離脱)が参加する非自民の連立内閣でした。

平成23年(2011)には、東日本大震災が発生。震源地が岩手県沖から茨城県に及び、マグニチュードは9.0、最大震度は宮城県栗原市で観測された震度7という観測史上最大の地震でした。岩手県・宮城県・福島県を中心に広範囲で被害を受け、犠牲者は、死者は1万5,896人、重軽傷者は6,157人、行方不明者は2,536人(平成30年時点)にものぼっています。さらに、福島県沿岸にある福島第一原子力発電で事故が発生。炉心溶融(メルトダウン)を起こすなど国際原子力事象評価尺度 (INES) において最悪のレベル7(深刻な事故)に分類されています。このときの内閣総理大臣は、菅直人首相(民主党)でした。

消費税が8%へ

平成26年(2014)、消費税率が8%に引き上げられました。高齢化にともなう年金や医療などの社会保障費を担うことがおもな目的です。平成24年(2012)、民主党の野田佳彦内閣時代に成立した「社会保障・税一体改革」関連法案を踏まえ、自由民主党の安倍晋三内閣で実施されました。

平成から新元号へ

平成31年(2019)4月30日、基本方針によると、天皇陛下の退位の礼である「退位礼正殿(せいでん)の儀」がおこなわれます。そして5月1日、新天皇が即位し新しい元号が始まります。なお、10月22日に、即位を国内外に宣言する「即位礼正殿の儀」と、即位を披露するパレード「祝賀御列(おんれつ)の儀」が開かれます。

また、2019年4月の「統一地方選挙」では、都道府県知事や市町村の首長、議員を選出します。また7月28日の任期満了に伴い、参議院選挙が予定されています。そして10月に消費税率が10%に引き上げられます。

平成時代を振り返るにあたって

平成最後の年にあたり、さまざまなメディアで「平成時代を振り返る」特集がなされるでしょう。現代史や公民分野では、時事問題を絡めて何かのテーマを軸にして出題されることが多いです。お子さんとともにテーマを見つけながらテレビや新聞などをチェックしてみてください。とくに選挙、内閣総理大臣、消費税、スポーツ、災害などの話題は要チェックです。

※記事の内容は執筆時点のものです

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