学習 連載 ママのための受験算数の教え方プチ講座

数と式の処理の教え方(3)☐を使った式|ママのための受験算数の教え方プチ講座

2018年5月29日 小林美代子

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小学校の3年生で習う「☐を使った式」の変形の仕方は「等式の変形の基本」です。この「等式の変形」を正しく身につけることで、無理なく計算スピードのアップを期待できます。

この「☐を使った式」は、小学校算数だと6年生で習う「文字を使った式」の扱い方に移行していきます。そして、この文字式の文字の値を求めることは、その後の数学で学ぶ「方程式を解く」ことにつながっていくのです。

今回は、算数のみならず、その後の数学にも必要とされる「☐を使った式」の変形の仕方をしっかりと身につけていきましょう。

☐を使った式での等式の変形 ――両辺に〇〇しながら進もう

さっそく☐を使った式に触れてもらいましょう。まず、次の例をお子さんに自由に解かせてみてください。

■例
次の式の☐にあてはまる数を答えましょう。
(1)29+☐=52
(2)☐-38=17
(3)☐×8=48
(4)☐÷6=13

■答え
(1)23
(2)55
(3)6
(4)78

どうでしたか? お子さんは☐に入る値を答えることができましたか? この穴埋め問題は本来どのように解いても構いません、具体的に数字を入れながら求めても良いです。お子さんにどうやってその値を出したのか聞いてみてください。

(理屈があっていたならば、それはそれで褒めてあげましょう)

当てずっぽうに□に数字を入れたら偶然に式が成り立った(正しい式ができた)ということもあるかもしれませんね……。ただし、いつも当てずっぽうに数を入れて求めていては、よくありません。

確実に答えにたどり着くための式変形によって処理する方法と、その途中式の書き方を身につけましょう。

では、まずこの(1)~(4)の式は等式(イコール「=」のついた式)であることを確認してください。(今後、不等式を扱うこともあるので、その式が等式か不等式かを確かめてください)

そして等式の変形は、両辺に同じ演算をしながら変形します。つまり、「等式の変形は両辺に〇〇する」によって変形していきます。

等式変形のポイントは 両辺に〇〇する

ではポイントをおさえて解いてきましょう。

解説

(1)「29+☐=52」に対して、□を求めるために「☐= 」の式にしていきます。そのために両辺に何をしたらいいでしょうか? 左辺の式の「29+□」を「□」にするには、「29」をうち消す「ー29」をすればいいですね。

(2)(1)と同様に考えていきます。お子さんに「両辺に何をすると☐= の式になるかな?」と訊ねながら進めていきます。式の変形には「両辺に+38」するといいですね。

(3)「☐×8=48」については、九九の「6×8=48」からすぐに「☐=6」を答えるお子さんも多いと思います。それも間違いではないです。しかし、等式の変形の訓練のために「両辺に〇〇する」の変形で解いていきましょう。さあ、「両辺に何をすると☐= の式になるかな?」

さらに、余裕のあるお子さんは「÷8」に対して、次の書き方も身にけられるといいです。

(4)も同様に「両辺に何をすると☐= の式になるかな?」と訊ねながら進めていきましょう。

等式の変形の仕方を身にけさせると同時に、途中の式もきちんと書かせてくださいね。

まとめ ――等式の変形は「両辺に何する?」の声掛けをリズムよく

等式を手早く処理するには両辺に「同じこと」(同じ演算)をしながら変形していきます。これは等式ならではの性質『等式(=の式)は両辺に「同じこと」をしても「=」(イコール)が常に成り立つ性質』を使っています。

ただし、これが不等式(<、>の式)では成り立たないこともあるので注意が必要です。

最初に等式であることをきちんと確認してから、両辺に「同じこと」をしながら変形をしてください。お子さんがこの等式の変形をしているそばで「両辺に何する?」とリズムよく声掛けをしてあげると、途中式もリズムよく書けるでしょう。

計算(式変形)はリズムで解くクセをつけるとスピードアップしていきます。ぜひ、リズムよい声掛けをしてみてください。


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※記事の内容は執筆時点のものです

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