中学受験ノウハウ 出願から入試本番まで

【中学受験】1月入試を2月入試に活かす戦略とは

専門家・プロ
2019年9月25日 吉崎 正明

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1月入試の結果は、2月入試の併願確定に活用することができます。また、1月入試を複数日程でおこなう学校が多いので、工夫次第では子供一人ひとりに合わせたスケジュールで受験でき、2月を万全に迎えるための練習や準備ができます。

一方で、「進学しないかもしれないのに、なんで1月入試を受けなきゃいけないの?」という声もよく聞きます。そこで、東京や神奈川を中心に中学受験の指導を10年以上行ってきた筆者が、2月入試に向けて1月入試が果たす役割を紹介します。

1月の“ハンデ”が、2月の糧になる

近年、「地方寮制の学校の首都圏入試」以外に、埼玉や千葉の1月入試を受験する東京・神奈川の受験生が増えてきました。

埼玉や千葉の学校に行くために、受験生によっては移動時間が2時間以上かかることがあります。しかし私が神奈川の湘南エリアで中学受験の指導をしていたとき、受験地まで遠いことは承知のうえで、埼玉・千葉の学校の受験を積極的に教え子にすすめていました。

なぜなら、「1月に体力などの“ハンデ”を背負って入試に臨むことで、2月の第一志望校の受験で体力的・精神的な負担が少なくなる」と考えていたからです。

1月入試を受ける東京・神奈川の受験生が負っておくべき“ハンデ”

1月入試を受ける東京・神奈川の受験生は、あえて以下の2つの“ハンデ”を負っておくのが良いと私は考えています。

[1] 起床時間が早い
[2] 強いプレッシャーを受ける

[1] 起床時間が早い

東京・神奈川の受験生は、地元が埼玉・千葉の受験生よりも起床時間が早くなります。しかし、遠方の受験を経験すれば、2月の入試は時間に余裕をもって行動できるようになります。

私が教えていたのは神奈川に住む子たちだったので、埼玉・千葉への移動は遠くて大変でした。しかも、緊張がピークに達する入試本番の“第1回戦”の舞台となるわけです。学校の難易度に関わらず、考えるだけでもハードですよね。

しかし、入試は受験生を大きく成長させてくれます。朝4時前に起きなければならなかったり、2時間以上かけて試験会場に行かなければならなかったりといった1月入試を経験すると、30分~1時間ほどで試験会場に着く2月の東京・神奈川入試で落ち着いて行動できるようになります。

[2] 強いプレッシャーを受ける

とくに埼玉は、首都圏全域から受験生が来ます。そのため、人の多さから強いプレッシャーを感じることも……。しかし、このプレッシャーを1回でも経験しておくと、2月に入って圧倒されることが少なくなります。

1月入試は2~3校受験し、入試本番に慣れよう

1月入試を受験する東京・神奈川の受験生は、以下の3つの方法のなかから受験校を選ぶことが多い印象です。

[1] 1校のみ
長崎日大や宮崎日大、栄東や大宮開成、浦和実業といった1月入試実施校から1校を受験

[2] 2~3校
地方寮制の学校を1月10日以前に1校、埼玉の学校を1校受験(場合によっては千葉の学校を受験)

[3] 2~3校
地方寮制の学校を受けず、埼玉入試と千葉入試で合計2~3校受験

おすすめは、[2]と[3]のように2~3校受けておくことです。なぜなら、2月に入ってからの入試が3回目(または4回目)となり、試験会場での行動に慣れた状態で挑戦できるからです。

1月入試の受験スケジュール

1月入試の複数校受験は、ある程度入試日程に間隔をあけて受けるのが基本です。しかし同日の午前・午後入試や、2日連続で受験することもスケジュール次第で可能です。体力的にハードな入試ですが、これを2月入試に向けた予行演習と考えることもできます。

ただ、埼玉県の午後入試は、東京・神奈川の午後入試と比べ、集合時間が早く、移動時間がギリギリになりやすい点に注意が必要です。特に同日に午前・午後で別の学校の受験を考える場合、慎重に計画する必要があります。

1月入試の理想は“勝ち越し”

2月を万全の状態で迎えるためには、1月入試でいかに合格を勝ち取り、自信をつけるかがカギです。

1月中に2回受験する場合は「2勝0敗」で、3回受験する場合は「3勝0敗」または「2勝1敗」といったように、いわゆる“勝ち越し”で終わるような併願を考えることがポイントです。ちなみに、「2勝1敗」の「1敗」は、合格圏内の学校に2つ合格したものの、合格可能性ギリギリの学校に挑戦して不合格になった場合の「1敗」にしたいところです。

また、1月に不合格を経験しておくことは、実はマイナスばかりではありません。残りの期間で真剣に弱点を見つめ直すきっかけにできます。しかしながら、1月の最後の入試(2校目または3校目)は合格で終わったほうが、不安は少なくて済むでしょう。

チャレンジ校も、合格可能性のある学校を受ける

1月入試の受験校は、偏差値はもちろん、第一志望校の過去問演習との相性などを考え、合格可能性が比較的高い学校を選ぶのが一般的です。もし合格可能性の高い学校を2校(または3校)選べたら、1校は実力試しとして強気にチャレンジしても良いかもしれません。しかし、偏差値がかけ離れていて合格しそうもない学校を、1月にチャレンジさせるのは避けたほうがよいでしょう。1月入試の役割は、「自信をつけること」です。チャレンジする場合は、合格可能性のある学校を選ぶようにしましょう。

子供の性格や成績によって、どこをどのように受けるのが一番良い選択かは変わります。実際にどの学校を受けるかは、塾の担当講師からもアドバイスをもらってください。

1月入試を活用し、万全の状態で2月入試に挑戦しよう

東京・神奈川の受験生にとって、1月入試を積極的に活用する意味は大きいです。戦略をもって1月入試に臨むことで、実力が高まることはもちろん、なにより自信をもって2月を迎えられます。満足のいく受験ができるように応援しています!

※記事の内容は執筆時点のものです

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