フェノールフタレイン液と色の変化~簡単な覚え方と実験問題の具体例
水溶液の知識問題は、色の変化や液性などすべてしっかり覚えておく必要があります。複数の水溶液に対する実験結果からそれぞれの水溶液が何であるのかを決定していく際に、1つでも正確に思い出せない知識があれば、いもづる式に分からなくなってしまう可能性があるからです。
たとえば指示薬についても、液性(酸性・中性・アルカリ性)による色の違いを整理して記憶しておかなければなりません。知識の完全性という意味では、水溶液が最も要求度の高いテーマであると言えるでしょう。
知識に関する説明が中心ですから要するに覚えるしかない項目になります。今回覚え方として紹介する例は完成度が高くわかりやすいので、おすすめです。ぜひ参考にしてください。
フェノールフタレイン液と色の変化の覚え方
フェノールフタレイン液の色の変化は単純なのですが、いざというときに、酸性で赤色になるのか、アルカリ性で赤色になるのか分からなくなってしまうと、困ったことになります。
さまざまな覚え方があるので、最も自分にあったものを1つだけに決めてしまうことが大事です。具体的な例を1つ紹介します。
酸性・中性・アルカリ性の並び順
覚え方を説明する前に、水溶液全般で前提となることを1つだけ復習しておきます。詳しくは、「pHと酸性・中性・アルカリ性~pHの意味と水溶液の液性とは?」をご覧ください。
pHとは「水素イオン指数」のことで、「7」が中性、それより小さいと酸性、大きいとアルカリ性となります。左から右に向かってpHが大きくなるように並べると、ちょうど真ん中が中性、左側が酸性、右側にアルカリ性が位置します。
水溶液の知識について覚えるためには、この「左側が酸性で、右側はアルカリ性」という並び方が大事な常識となりますから、「水溶液の大前提」であると考えてください。これから先は以上の並び方の知識を当然覚えているものとして説明します。
溶液とリトマス紙をセットで覚える!
指示薬の色の変化を覚える際は、1つずつではなくてセットで考えたほうが定着しやすいです。具体的には「フェノールフタレイン液」と「青色リトマス紙」と「赤色リトマス紙」をセットにします。
リトマス紙だけでも何性で何色か完璧に覚えていない人もいるので、この際一気にセットで完成させてしまいます。結論からいうと、「ウメボシ」と覚えるのがおすすめです。加えて「赤色リトマス紙とフェノールフタレイン液は、青色リトマス紙の逆」というのも覚えます。
梅の青い実は、塩漬けにすることで、赤くなって酸っぱい「ウメボシ」になります。つまり「青色リトマス紙が赤くなるのは酸性」ということです。赤色リトマス紙は、青色リトマス紙の仕組みの逆ですから、赤色リトマス紙が青くなるのは「アルカリ性」です。
さらにフェノールフタレイン液が赤くなる性質は、「酸性で赤くなる青色リトマス紙」の逆ですから、「アルカリ性で赤くなる」。
「ウメボシ」と覚えるだけで、「青色リトマス紙」と「赤色リトマス紙」と「フェノールフタレイン液」をセットで完全に覚えることができます。
実験問題の具体例
フェノールフタレインは白い粉末の薬品で、水にはほとんど溶けずエタノールによく溶けます。指示薬としてはエタノールに溶かした溶液を水でうすめて使用します。
酸性・中性の水溶液では無色で、弱いアルカリ性でも敏感に反応するため、水溶液がアルカリ性かどうかを確かめるのに都合がいい指示薬といえます。
色の変化を利用した実験の例を、具体的にみてみましょう。
赤色の噴水!
上図はフェノールフタレイン液を使った実験で、水溶液のテーマで基本となる知識を、頭の中で組み合わせて考える必要のある問題です。それでは、具体的に見てみましょう。
1) フラスコの中に、気体のアンモニアを入れておきます
2) スポイトには、少量の水を入れておきます
3) ビーカーには、フェノールフタレイン液と水を入れておきます
スポイトをおしてフラスコの中に水を送りこむと、どのようなことがおこるでしょうか?
この問題で思い出すべき基本知識は3つあります。
1) 気体のアンモニアは、とても水に溶けやすい
2) 気体のアンモニアが溶けた水溶液は、アルカリ性を示す
3) フェノールフタレイン液は、アルカリ性で赤色になる
スポイト内の水をフラスコ内に送りこむと、フラスコ内にある気体のアンモニアが水に溶けるため、フラスコ内の圧力が下がります。そのためビーカー内の水とフェノールフタレイン液が、フラスコ内に吸い上げられます。
吸い上げられた水は噴水となってフラスコ内にふき出しますが、フラスコ内にある気体のアンモニアはすぐに噴水に溶けますから、噴水はアルカリ性となってフェノールフタレイン液が赤く染まります。
つまり、フラスコ内に赤い噴水を見ることができるわけです。
赤色が消える!
フェノールフタレイン液によって赤色に染まったアルカリ性のアンモニア水に対して、ストローで息をふきかけ続けるとどうなるでしょうか。
息に含まれる二酸化炭素は水に溶けにくい気体ですが、水溶液にふきかけ続けることによって少しずつ溶けていきます。やがて二酸化炭素とアンモニアが水中で反応して中和され、水溶液は無色透明になります。
まとめ
以上の内容を簡単にまとめると、次の3点になります。
◎ 青い実が赤くなる酸っぱい「ウメボシ」と覚えておけば、「青色リトマス紙が赤くなるのは酸性」と覚えることができます。
◎ 赤色リトマス紙は青色リトマス紙の逆なので、「赤色リトマス紙が青くなるのはアルカリ性」と覚えることができます。
◎ フェノールフタレイン液は青色リトマス紙の逆なので、「フェノールフタレイン液が赤くなるのはアルカリ性」と覚えることができます。
今回の内容は覚えることが肝心となりますが、仕組みを理解したり、わかりやすい覚え方で身につけることが大切です。混乱しないように自分なりに整理しながら、記憶を定着させていきましょう。
※記事の内容は執筆時点のものです
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