中学受験ノウハウ 連載 合格から入学までにすべきこと

中高一貫校に合格! まずは必要な手続き、そのあとは……?|合格から入学までにすべきこと#1

専門家・プロ
2024年2月09日 宮本毅

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厳しい中学受験戦線をくぐり抜け、4月からは憧れの中高一貫校生!でも、子どもはスムーズに新生活へ移行できるかな? 親ができるサポートってどんなこと? そんな風にちょっと不安を感じる6年生保護者さんへ向けて、合格後の塾生を中学準備講座という形でサポートされている「アテナ進学塾」代表の宮本毅先生がアドバイスします。

そろそろ、どうにか進学先を決めて、中学受験を終えたというご家庭も増えてくるころですね。

子どもたちは勉強から、親御さんは日々の伴走のストレスから解放され、晴れ晴れとした気持ちで日々お過ごしでしょうか。

それとも、第一志望校に届かなかったという悔しい想いがまだ胸にモヤモヤと渦巻いているでしょうか。

どちらも、というご家庭もあるかもしれません。

本連載では、受験を終えて無事に進学先が決まったご家庭に向け、お子さんがより楽しく有意義な中学校生活を送るためのアドバイスをお伝えしていこうと思います。

連載第1回目の今回は、合格発表後から実際に入学するまでのおおまかな流れ、注意すべきポイントなどを取り上げていきます。

今年入試を終えた方だけでなく、いよいよ受験学年となる5年生以下の皆さんも、知識として頭に入れておいて損はないですよ。

合否発表~入学までの手続きは入念に確認を

合格発表を確認してホッとひと息ついたと思ったら、すぐに怒涛の入学手続きがスタートするのが中学受験。

とはいえ、最近の手続きはオンライン上で完結できるため、ミスは起きにくくなりました。

以前は合格したのちに入学書類を学校まで取りに行かねばなりませんでしたが、今は「入学金の決済」をもって手続きは完了し、登校時に書類を配布するところがほとんど。合格後のあわただしさや負担感は本当に少なくなったと感じます。

一方で、合格発表もネット上でおこない、合格証も手続書類も取りに行く必要がなくなったことで、受かっても何だか実感がわかないと感じる生徒は多いようです。便利になった反面、失われてしまったものもあるのかもしれませんね。

入学金納入や辞退のタイミングに注意

他の私立中と併願していたり、国公立中を併願している場合には、入学金の納入のタイミングや辞退の連絡など確認すべきことが多くなります。

具体的には、より志望度の高い併願校がほかにある場合、その学校の合格発表を待っていていいのか、それとも、無駄になる可能性を承知で入学金を納入する必要があるのか、期限を念入りに確認してもらえたらと思います。

もちろん事前に予定表は練ってあるとは思いますが、万が一のこともありますので慎重に確認作業をしておいてください。

「登校日」の日程は特に重要!

ほかに確認すべき重要な日程として「登校日」があります。

「登校日」とは、東京の各私立中高一貫校が入学手続きを完了した合格者向けの説明会を開催する日のこと。「合格者説明会」などほかの呼び方をされる場合もあります。

「登校日」に進学予定先に行かないと「入学を辞退したもの」とみなされますので、日程は必ずチェックしておくようにしましょう。

「登校日」では、入学までの流れや制服の採寸日、身体検査など、2月・3月のスケジュールが伝えられます。

小学校の方でも、卒業式の準備など、保護者の方はあわただしい日々を過ごすことになりますね。

とにかくスケジュール漏れのないよう、細心の注意を払ってください。

スマホのスケジュール管理アプリを導入されてらっしゃらない方は、これを機会にインストールされますことをおススメします。ご家族でスケジュールを共有しておくと、より安心かもしれません。

学習面も気を抜かないで継続を

さてお子さんの学習についてですが、入学予定先の中学校から宿題が出されていればそれを軸にお勉強を継続されることをおススメします。

子ども達は、受験が終わったらもう何も勉強する必要はない、遊びまくりたいと考えるでしょうが、私立の中学校はカリキュラムの進行が速いうえ、「入学試験をクリアしてきているのだから、これくらいは当然理解しているよね」というスタンスで授業がおこなわれます。

このとき注意が必要なのが、学校側で想定している中1スタート時の学力と、お子さんの実際の学力に隔たりがある場合、中一のド頭から落ちこぼれる危険性があるということです。

各教科で取り組むべき単元はコレ!

たとえば、算数は苦手だったけれど社会の力で何とか合格できたという子の場合、中1数学の正負の数の計算などでいきなりつまずく危険性があります。

そのため、2月・3月のうちに「分数や小数の計算」「速さ」「食塩水」「比例とグラフ」など、数学にも直結するような単元の復習はきちんとしておくべきだろうと考えます。

数学だけではありません。

社会ならば中1で学習する内容は地理ですので、ある程度の知識は入れておく必要があります。理科も「植物」や「実験器具の使い方」などの単元の学習をしておいた方がよいでしょう。

国語も、苦手な生徒は中1の教科書について行けない可能性がありますので、受験勉強が終わった後も毎日少しずつ学習をしていく必要があります。

やり残した中学受験用の国語テキストで構いませんので、脳がなまらない程度に学習時間を確保していきましょう。

英語について気にされる保護者の方も多いと思いますが、これは次回くわしくご説明します。

入学前の準備期間を子どもの「自走」に向けた第一歩に

とはいえ、せっかく中学受験のバトルが終わったのにまた親子喧嘩が始まってしまうのはあまり良い状況とはいえませんよね。

子ども達ももう中学生になるのですから、「数学のためにも算数の速さや食塩水は復習しておいた方がいいみたいだよ」とか「早稲田大学に合格するためには7000語の英単語を、一日にすると3個は覚えないといけないみたいね」といった情報だけを与え、ノートや単語帳などのアイテムを買い与えた後は、自己責任に任せてもいいかもしれません。

通っていた塾で「中1準備講座」などがおこなわれるようでしたら、そちらに参加させてみるのもひとつの手でしょう。

我が子の新生活を祝福する。それが親の努め

一番大切なことは、進学先が第一志望であろうとなかろうと、そこから新たなスタートを切るということです。親御さんもお子さんも、これを忘れないようにしていただきたいと思います。

第一志望以外の学校に進学する場合、どうしても悔しさが先に立ち、前向きな気持ちになれないということもあるでしょう。

しかし、同じように悔しい思いをして第二志望・第三志望に進学する生徒の方が、第一志望に進学する子の何倍も多いのも事実です。

多くの場合、子ども達はいち早く立ち直って進学先の学校のことを気に入り始めるものの、親御さんの方は、いつまでも引きずっていたりします。

お子さんがこうして無事に私立中学の生活を始められることをこそ、保護者の皆さんは喜び、祝福して欲しいと思います。

受験を終えた保護者さんへ、塾講師として伝えたいこと

お世話になった塾の先生にあいさつに行きたいけれど、第一志望以外の学校への進学となった場合、どうしても気後れしてしまう、という話を耳にすることがあります。

もし「第一志望に合格できなくて先生に合わせる顔がない」とお思いでしたら、まったくの杞憂です。

中には実績第一主義の先生もいるとは思いますが、多くの塾講師は、お子さんが無事に中学受験を終えたことを心から喜んでいます。ぜひ子さんと一緒に学び舎を訪れ、元気な姿を見せてあげて下さい。

また、もしかすると「我が子を第一志望に合格させてくれなかった」というモヤモヤを塾の先生に抱いている方もいらっしゃるかもしれません。

そんな方へは、「お子さんの中学受験が成功だったか失敗だったかは、今はまだ決まらない。将来お子さんが中学受験を通して何を得てそれを未来の自分にどう活かすか、そこで初めて決まる。目先の成功・失敗だけで中学受験の価値をはからないでください」と強くお伝えしたいです。

現に、私自身も、第一志望合格組ではありません。

それでも中学受験をしてよかったと思っていますし、中学受験をさせてくれた母親にも深く感謝しています。

第二志望校だった中学はいつしか「我が母校」へと変わり、今ではむしろ「こっちが最初から第一志望だった」と思えるほどになりました。

そして中学受験で培われた「諦めない心」「落ち込んでもすぐに立ち直るメンタル」は、今でも私の大切な大切な宝物です。

学校に対する愛着や信頼感、学校生活を通して手にするかけがえのない成果や学びは、お子さん自身が自分の手でつくり上げていくことでしょう。

胸を張ってお子さんを進学先へ送り出してあげて下さい。

中学受験、本当にお疲れ様でした。

※記事の内容は執筆時点のものです

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