発電所は何種類ある? 発電所の分類方法は「1+2+3」で覚えよう!
発電所は種類がたくさんあって特徴がわからない、区別がつかなくて覚えられない……。そんな悩みを抱えている場合は、基本的な6種類の発電所を「発電する方法」で分類してみましょう。今回は「1+2+3」の分け方をもとに、発電所の特徴を発電方法ごとに紹介します。中学入試にでる関連事項もあわせて解説しますので、参考にしてみてください。
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キーワードは「燃料の有無」と「タービン」
ひとことで「発電」といっても、燃料を使う発電もあれば、燃料を使わない発電もあります。またタービンを使う発電と、タービンを使わない発電があります。「燃料の有無」と「タービン」、この2つのキーワードで分類すると、6種類の発電所をすっきり分類することができます。
大きな電気を生み出すには……とにかくタービンを回す!
本題に入る前に、そもそも「発電」とはどのようなことを指すのでしょうか? 「発電」という言葉自体は範囲が広く、身近な例では乾電池も発電をしています。では、大きな電気を生み出す必要がある発電所では、どのような方法で発電をしているのでしょうか?
大規模な発電が必要な発電所では、乾電池とは違い、タービンと呼ばれる装置に力を加えて発電機を回す仕組みが使われています。タービンは、力を加えれば加えるほどクルクルと回る装置です。一方で発電機は、磁石とコイルでできた装置で、回せば回すほど電気が発生します。
太陽光発電以外の発電所は、全てタービンを使って発電機を回す仕組みで発電しています。
■火力発電 → 火で水を沸かし、勢いよく噴出する蒸気でタービンを回す
■原子力発電 → 核反応の熱で水を沸かし、勢いよく噴出する蒸気でタービンを回す
■水力発電 → 水を直接タービンに当ててタービンを回す
■風力発電 → 風を直接タービンに当ててタービンを回す
■地熱発電 → 地下のマグマにより発生する水蒸気でタービンを回す
燃料でタービンを回す――2つの発電方法
それでは本題です。まずは燃料を使う2種類の発電方法、火力発電と原子力発電を紹介します。この2つの発電方法は、燃料を燃やして水を沸かし、勢いよく噴出する水蒸気をタービンに送り込むというものです。火力発電と原子力発電は燃料こそ違いますが、仕組みはほとんどいっしょです。
火力発電と原子力発電でおさえたいのは、発電に使われる燃料が何であるかということです。火力発電は「LNG(液化天然ガス)」「石炭」「石油」の3種類をおさえておきましょう。この3つは、“よく燃える燃料”として知られる代表的なものです。原子力発電は、核分裂を起こしやすい燃料として知られる「ウラン」をおさえておきましょう。
燃料を使わずにタービンを回す――3つの発電方法
燃料を使わずにタービンを回して発電する方法もあります。水力発電、風力発電、地熱発電の3種類です。自然界の現象からエネルギーを取り出しているので、地球がなくならない限り永遠に発電を続けることができるといわれています。
燃料もタービンも使わない――太陽光発電
これまで紹介してきた発電方法は、ひたすらタービンを回すことで発電します。しかし、太陽光発電だけは例外です。太陽光発電は、光を当てると電気が流れるという性質をもった「半導体パネル」を、空に向けて大きく広げて発電するというものです。
再生可能エネルギーとは
燃料を使わないで発電する、水力発電、風力発電、地熱発電、太陽光発電の4種類は「再生可能エネルギー」と呼ばれます。再生可能エネルギーは“尽きることがない”というメリットがあり、二酸化炭素を全く出さないので、環境に優しいというのも特徴です。一方で火力発電や原子力発電と比べると一度に大量の電気を発電できなかったり、天気に左右されるため電気供給が安定しなかったりする、といったデメリットもあります。
発電所に関しておさえるべき3つのポイント
発電所に関する知識は、中学入試ではどのように出題されるのでしょうか? 入試対策でおさえるべき3つのポイントを解説します。ちなみに2019年は環境活動家のグレタさんのスピーチが話題になったので、温室効果ガスと発電所の関連についても入試で狙われそうです。
【ポイント1】日本国内の発電量の割合
「日本国内の発電量の割合」は、中学入試でよく出題されています。日本国内で発電されている電気がどの種類の発電所で発電されているか、といったグラフが示される問題が定番ですね。
この問題の対策としては、3つの時期をおさえることが大切です。高度経済成長期後(1980年ごろ)、東日本大震災の直前(2010年)、東日本大震災後(2014年ごろ)の3つです。
水力発電、火力発電、原子力発電の3つを正しく読み解くことができれば、シンプルに攻略できます。火力発電は、2019年現在9割近くを占める主要な発電方法です。水力発電は、どの時期もほぼ同じ発電量を維持しています。原子力発電は2010年までは約3割を担っていましたが、2011年に一気にほぼゼロになりました。
【ポイント2】発電所が建てられる場所
発電所が建てられる場所を問う問題もよく出ています。火力発電所や原子力発電所は、海の近くにつくられます。火力発電や原子力発電には燃料が必要でしたね。船で燃料を運び込みやすいから海の近くにあるのです。また火力発電や原子力発電ともに大量の“アツアツ蒸気”が発生するので、それを冷やす大量の水が必要なため海の近くに建設されています。
水力発電はダムからの放水で発電するのでダムの近く、つまり山の上のほうにあります。風力発電は風が吹くところ、つまり風通しのよい丘の上に建設されます。地熱発電はマグマの熱を利用するので、火山の近くにつくられます。
太陽光発電は、パネルを空に大きく広げれば広げるほど多くの電気を発電することができます。また、パネルには太陽の光がたくさん降り注ぐ必要もあります。そのため太陽光発電所は、雨が少ない地域で、太陽が当たりやすい広大な土地に建設されます。それぞれの発電方法を知っていれば、発電所が建てられる場所を答える問題は簡単ですね。
【ポイント3】発電所から出る温室効果ガス
2019年に国連でおこなわれた、スウェーデンの環境活動家・グレタさんの地球温暖化についての“怒りに満ちたスピーチ”が話題となりました。地球温暖化の原因は、温室効果ガス。そして発電のやり方によっては、大量の温室効果ガスが排出されます。発電の種類と温室効果ガスの関係について、以下の図をもとにおさえておきましょう。
東日本大震災は世界の発電所に大きな影響を及ぼした
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、日本と世界の発電所に大きな影響をもたらしました。このテーマも、中学入試ではよく出題されます。3つの影響をおさえましょう。
【1】日本の原子力発電は、ほぼゼロに
東日本大震災は、甚大な被害をもたらしました。福島にある原子力発電所にも大きな被害があり、放射性物質が飛散したことから、周辺の地域は立ち入り禁止になりました。この事態を受けて、全国の原子力発電所が相次いで停止することになりました。
結果として、2010年まで日本の電力の25%を担っていた原子力による発電が、2011年以降はほぼゼロになりました。
2010年と2011年を境にして、急激に発電量が減っている発電所があったら、それは原子力発電所です。「2011年に東日本大震災があったな」ということを踏まえて、ピンと来るようにしたいですね。なぜ原子力発電の発電量が激減しているのか、といった理由を問われる問題も出ています。
【2】燃料の輸入で30年ぶりの貿易赤字へ
日本の電力の25%を供給していた原子力発電が、一斉に停止したらどうなるでしょうか? もちろん日本全体で電気が足りなくなります。水力も風力も急には増やすことができません。唯一、“力技”で発電量を増やすことができる発電は、火力発電です。燃料をガンガン燃やせば燃やすだけ、発電量が増えるからですね。
そこで日本は、火力発電の燃料であるLNGや石油、石炭を大量に輸入しました。結果として、30年以上も続いていた貿易黒字が赤字に転落することになります。貿易赤字とは、日本に入ってくるお金よりも出ていくお金が多いということです。
【3】世界各国の原子力発電の方針
日本で起きた原子力発電所の大惨事を受けて、世界各国も動き始めました。これが3つ目の影響です。アメリカやフランスやロシアは、今後も原子力発電を活用することを宣言しましたが、ドイツは2022年末までに原子力発電所を全廃することを決定しました。
まとめ
発電所に関連して、中学入試では以下のような問題が頻出しています。
・発電量の割合
・発電所の立地
・発電と温室効果ガスについて
・東日本大震災の影響
発電所の種類はたくさんあるので、混乱してしまうことがあると思います。そのようなときは、今回消化した発電方法の特徴によって分類して全体像をおさえましょう。
※記事の内容は執筆時点のものです
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