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【中学受験】「1教科型入試」制度の活用法

2019年12月25日 石井知哉

近年「1教科型入試」を導入する学校が増えつつあることを知っていますか? 耳慣れない言葉ですが、多様化する入試制度のひとつとして注目しておきたい1教科型入試について解説します。

1教科型入試とは?

1教科型入試とは、その名の通り「1教科の試験だけで合否を判定するタイプの入試」のことです。中学入試といえば、2教科(国語、算数)または4教科(国語、算数、理科、社会)が通例でした。ところがここ数年、そのいずれの枠にも当てはまらない入試形態が登場しています。そのひとつが1教科型入試です。

1教科型入試の具体的な事例

1教科型入試で用いられることが多い科目は算数です。長い文章や、図表・グラフの読み取りも組み込んだ総合問題タイプになることが多く、国語的な読解力を問われることも少なくありません。中堅校を中心に、公立中高一貫校で課される「適性検査」に近いタイプの1教科型入試を実施する私立中学も増えています。

英語で1教科型入試を実施する事例も見られます。以前は帰国子女を対象とするものでしたが、今は小学生でも多くの子が英語塾に通い、5・6年生の英語教科化も始まる時代。そのため帰国子女だけを対象としない「英語1教科型入試」もおこなわれています。たとえばネイティブ教員との英会話や、受験生同士で英語を使ってペアワークをおこなう入試、またグループワークを通じて英語試験をおこなう入試形態も現れています。

1教科型入試の狙いと活用法

1教科型入試を採用する中学校の意図は、大きく2つあります。ひとつは多様な入試形態を用意することで、受験しやすい環境を提供すること。もうひとつは、2教科・4教科といった既存の入試では評価し切れない思考力や判断力を測ることで、これまでと異なる方法で受験生を評価し、入学させることです。

1教科型入試の活用法

1教科型入試の活用法としては、併願校の押さえに用いることが考えられます。対策に必要な教科数を絞ることで、本命校の対策に充てる時間が増えるのは利点といえるでしょう。際立って得意な教科があるなら、それを活かせる1教科型入試を設けている中学校を選んで受験する、というのも活用法のひとつです。

周囲の受験生より遅いタイミングで受験しようと決めた場合は、4教科対策の時間が不足しがちです。この場合にも、1教科型入試はプラスにはたらくことでしょう。

1教科型入試を受ける前におさえておきたいポイント

1教科型入試の概要と長所についてお伝えしてきました。一方で、注意しておきたい点もあります。

まず、2教科・4教科入試の合格枠の比重が高いため、1教科型入試の合格枠は各校それほど多く設けていません。したがって、倍率が高くなりがちです。「その教科を得意とする子が多く集まる」ということにも注意が必要です。「算数1教科型入試」をおこなう中学校が欲しいのは「ほかの教科は苦手だけど、算数は普通かな」という子よりも、「ほかの教科は普通だけど、算数はズバ抜けて得意」という子です。問題の難易度も高くなるので、ハイレベルな競争を勝ち抜くための勉強が必要となります。

別のリスクもあります。特定教科だけに的を絞り、ほかの教科の勉強を疎かにしていると、希望する学校に合格しても入学後の授業内容の理解に苦労しがちです。1教科型入試を受けて合格が決まった場合は、4教科受験でも合格できたような学力獲得に向けて少しずつ勉強しておくことで、より有意義な中学校生活を送りやすくなります。

1教科型入試は歴史が浅いため、どのような対策をすべきか曖昧な部分もあります。中学校の説明会で詳細を確認しておくとよいでしょう。

1教科型入試を検討して、受験の選択肢を増やそう

導入が増えつつある1教科型入試ですが、全体として見ればすぐに中学受験の主流となることは考えにくいでしょう。それでも「1教科を徹底的に伸ばした受験生」が評価されることは、私は好ましいことだと思います。わが子の適性に合った中学受験のために、検討材料のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

※記事の内容は執筆時点のものです

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