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【中学受験の理科攻略】気団――日本の4つの気団と四季の気候

専門家・プロ
2020年4月02日 伊丹龍義

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日本の夏がじめじめしている理由、6月頃に雨が続く理由――。これらには「気団」という、日本の周りにある大きな空気のかたまりが関係しています。気団を理解することで、「太平洋側の冬はなぜ乾燥しているのか」「日本海側の冬はなぜ雪が多いのか」といった四季の気候についてもイメージしやすくなります。

気団の特徴

日本の気候には気団が影響しています。まず、気団の大まかな特徴として次のふたつを知っておいてください。

・北にある気団は冷たく、南にある気団は暖かい
・海の上にある気団は湿っていて、陸の上にある気団は乾燥している

このふたつをイメージしたうえで、地図と見比べつつ、4つの気団の特徴について説明します。

小笠原気団

小笠原気団は、本州南東の太平洋上空(小笠原諸島)あたりにある気団です。特徴は、南の海上の「暖かい」「湿った」気団ということです。

夏になると小笠原気団が日本をおおうため、日本の夏はじめじめする日が多くなります。そして冬から夏になるとき、反対に夏から冬になるときに、小笠原気団はオホーツク海気団とぶつかります。これが大気を不安定にして、雨が降りやすくなる原因をつくります。この時期の雨を「梅雨(つゆ)」「秋雨(あきさめ)」といいます。

シベリア気団

シベリア気団は、日本の北西に位置するシベリア上空から伸びる、北の陸上の「冷たい」「乾いた」気団です。

冬になるとシベリア気団が日本をおおうため、日本の冬は全体的に空気が乾燥することが多くなります。一方で、シベリア気団は日本海を通って日本列島に渡ってくるときに水分を“補給”するため、日本海側についたときには湿った空気となり、雨や雪を降らせます。

オホーツク海気団

オホーツク海気団は、日本の北東に位置するオホーツク海上空にある、北の海上の「冷たい」「湿った」気団です。

冬になると、オホーツク海気団は本州に向けて発達します。そのため冬から夏になるとき、夏から冬になるときにそれぞれ小笠原気団とぶつかり、梅雨や秋雨の原因となります。

揚子江気団(長江気団)

揚子江気団は、日本の南西に位置する中国大陸の上を流れる気団です。特徴は、南の陸上の「暖かい」「乾いた」気団ということです。

揚子江気団は、ほかの気団ほど日本の気候に大きく影響していません。「シベリア気団が南下してきたものだ」という説もあり、最近では扱われないことも多くなってきた気団です。一方で、晴れと雨が周期的に変わる春の気候には揚子江気団が関係しているといわれています。

ところで2007年以降、気象庁は「揚子江気団ではなく『長江気団』を正式名称とするように」としていますが、なかなか定着していないようです。

日本の季節と気団

気団が日本の天候にどのように影響を与えているか解説します。

日本の夏は、小笠原気団の影響でじめじめした日が多くなります。

日本の冬は、シベリア気団の影響で全体的に乾燥した日が多くなります。ただ、シベリアから日本に来るときに日本海で水分を“補給”してくるため、日本海側では雪が多く降る日が続きます。その後、水分を出し尽くした空気が本州中央部の山々を越えて太平洋側に来るため、太平洋側では乾いた晴れの日が多くなります。

梅雨・秋雨

北にある気団は、冬になると勢力を増して日本に伸びてきます。一方で夏になると南にある気団が押し返すため、冬と夏の間で気団の衝突が起こり、そこで雲が発生しやすくなります。ここで発生した雲は、普通の雲と異なり同じ場所に留まり続けるため、雨の日が長く続きます。この現象により5月から7月頃に続く雨を「梅雨」、8月から10月頃に続く雨を「秋雨」といいます。

【参考】中学生向けですが、さらに詳しい説明は以下の動画を参考にしてみてください
■学びエイド
https://www.manabi-aid.jp/lesson/id/3912/35020
■TryIT(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=o9jfoecJi9s&t=261s

4つの気団が気候に大きく影響する

改めて、日本の周りにある4つの気団を押さえましょう。

■小笠原気団……「暖かい/湿った」気団(南の海上)
■シベリア気団……「冷たい/乾いた」気団(北の陸上)
■オホーツク海気団……「冷たい/湿った」気団(北の海上)
■揚子江気団(長江気団)……「暖かい/乾いた」気団(南の陸上)

それぞれの気団は、北にあるか南にあるか、海上にあるか陸上にあるかによって性質が大きく異なります。どの気団がどのような性質があるかは迷ってしまうかもしれませんが、今回お伝えした内容をもとにひとつずつ丁寧に押さえていきましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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