【理科】ヒトの誕生の流れをわかりやすく解説! 5つのステップ&知識でスッキリ理解しよう
理科がちょっと苦手だった、わが家の息子……。
なかでも、人体分野の「ヒトの誕生」が特に苦手でした。
何がわからないのかよくヒアリングしてみたところ、大きな要因はヒトが誕生するまでの“全体の流れ“がわかっていなかったことでした。
息子が使っていたテキストでは「体のつくり」の挿絵をもとに説明されていますが、これだとたしかに全体像は掴みづらそうです。
そこで今回は、ヒトが誕生するまでの流れを5つのステップに整理して紹介します。
中学入試を分析し、よく出題されている5つの関連知識も紹介しますので、「ヒトの誕生」の単元を得意にしたい子は参考にしてみてください。
Contents
人体分野の全体像
本題に入るまえに、まずは中学入試で出題される「人体分野」の全体像をおさらいしましょう。
人体分野は、5つのシステムに大別できます。
① 感覚器官:まわりの状況を感知するシステム
② 循環器官:酸素を全身に送るシステム
③ 消化器官:栄養を体に吸収するシステム
④ 骨と筋肉:人が体を動かすためのシステム
⑤ 誕生:子孫を増やすためのシステム
※中学入試では②と③の出題が特に多い
この5つのうち、今回解説するのは「子孫を増やすためのシステム」です。
中学入試で出題が多い循環器官や消化器官の影に隠れがちなマイナーなテーマですが、実は過去の入試問題の難易度はかなり低めです。
知ってさえいれば難関校の問題にも対応できるため、知識を着実に押さえて得点源にしましょう。
まずは大まかな流れを理解しよう
人体分野の全体像がわかったところで、ここからはヒトが誕生するまでの流れを5つのステップに分けて紹介します。
まずは、大まかな流れから押さえましょう。
STEP1:精子+卵子
男性の体でつくられる精子と、女性の体でつくられる卵子。
肉眼では見えないくらい小さなこの2つが合わさると、子孫(新生児)の“最初の姿”になります。
STEP2:受精卵
精子が卵子の中に入ることを「受精(じゅせい)」と言います。
精子が女性の体に入って卵子と出会うと、まずは精子の頭の部分だけが卵子の中に入ります。精子が入った卵子は「受精卵(じゅせいらん)」と呼ばれ、子宮に向かって移動していきます。
そして、受精卵の内部では細胞分裂がはじまります。
細胞分裂
細胞が分裂して増えること。1つの細胞が2つに、2つの細胞が4つに、4つの細胞が8つに……という具合に倍・倍と増えていきます。
STEP3:胚子
受精卵の中で細胞分裂が次々と起こった結果、たくさんの“細胞のかたまり”になります。
受精からおよそ8週目までの子を「胚子(はいし)*」といいます。
*「胚」ともいいます
STEP4:胎児
着床(ちゃくしょう)した胚子は、母親から養分をもらいつつ、徐々にヒトの形へと成長していきます。
胚子は、受精してから約9週間で「胎児(たいじ)」と呼ばれるようになります。
着床
胚子が移動して子宮の壁にくっつくこと。母親から養分や酸素をもらうために母親の体にくっつくんですね。
STEP5:新生児
受精から38週ほど経過すると、胎児は母親の体から出てきます。
生まれたばかりの子は「新生児(しんせいじ)」と呼ばれます。
誕生
胎児が母親の体から出てくること。これは小学生でもイメージできるでしょう。誕生した新生児が最初にすることは「おぎゃー!」と泣くことですね。
5つの関連知識
ヒトが誕生するまでの流れはつかめましたか?
ここからは受験力をさらに高めるために、5つのステップごとの関連知識を紹介します。
どれも入試でよく出題される知識なので、ぜひ覚えておいてくださいね。
関連知識[1]精子と卵子がつくられる場所
男性の体の中の「精巣(せいそう)」が、精子がつくられる場所です。
精子は毎日大量につくられることが特徴で、特定の場所に蓄えられています。
女性の体の中の「卵巣(らんそう)」が、卵子がつくられる場所です。
卵子は精子のようにどこかに蓄えられることはなく、およそ1ヶ月に1個だけ卵巣から出てきます。
関連知識[2]精子と卵子の大きさ
精子と卵子の大きさは、中学入試で意外とよく出題されています。
それぞれかなり小さく、精子は約0.06mm、卵子も0.14mmほどしかありません。精子は小さすぎて肉眼では見えず、卵子だけはかろうじて見ることができます。
ヒトの卵子はほかの動物に比べてかなり小さいと言われており、卵子の中には養分もほとんどありません。お腹のなかの赤ちゃんの成長に使われる養分は母親の体からもらっているんですね。
関連知識[3]受精卵の移動路と目的地
胚子は「卵管(らんかん)」と呼ばれる通り道を通って、“ある目的地”に向けて移動します。
その目的地とは「子宮(しきゅう)」です。子宮はこのあと長い期間、お腹の中の赤ちゃんが育つ場所ですね。
ちなみに、受精してから子宮に到達するまでの期間は約1週間です。移動中も細胞分裂を繰り返し、細胞の数は64〜128個ほどに増えます。
関連知識[4]胎児の環境(3要素)
胎児が子宮で育つために必要な「3つの要素」について、それぞれの名前と役割を押さえましょう。
- 胎盤
- へそのお
- 羊水
1、胎盤
胎盤(たいばん)は子宮の壁にあり、養分や酸素を母親から胎児に受け渡す役割を持っています。
母親からの養分と酸素がなければ、胎児は育つことができません。
2、へそのお
へそのおは、胎盤と胎児を結ぶ管(くだ)です。
へそのおには胎児の血管が通っており、母親から受け取った養分と酸素を胎盤から胎児へと運ぶ「通り道」になっています。
3、羊水
子宮の中は羊水(ようすい)という液体で満たされており、胎児はその中に浮いています。
羊水に囲まれているおかげで、胎児は外部の衝撃から守られています。
関連知識[5]新生児の3つの知識
中学入試では「新生児」についてもよく出題されています。
次の3つの基礎知識を押さえておきましょう。
- 受精から誕生までの期間
- はじめての肺呼吸(産声)
- 新生児の平均的な大きさ
1、受精から誕生までの期間
受精から誕生までの期間は、約38週(約266日)です。
2、はじめての肺呼吸(産声)
新生児が最初にすることは「おぎゃー!」と泣くことですが、これは肺呼吸をするために空気を一気に吸い込む、という超重要な行動です。
最初の泣き声を「産声(うぶごえ)」といいます。
3、新生児の平均的な大きさ
新生児の大きさも出題されることがあります。
平均身長:約50cm
平均体重:約3000g
これらは一般常識でもあるので覚えておきたいですね。
まとめ
今回は、理科の人体分野のなかでもちょっとマイナーな「ヒトの誕生」について解説しました。
難関校を含め、過去の出題傾向を分析してみると「ヒトの誕生」の問題は難易度が低めです。
ちょっとややこしく思えるかもしれませんが、5つのステップで整理するとスッキリと理解できます。
ステップごとの関連知識も覚えると得点力がアップするので、次の図をもとにしっかりと押さえておきましょう!
※記事の内容は執筆時点のものです
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