中学受験ノウハウ 塾選び

【現役塾講師が回答】「良い授業」とは? 優れた講師の授業はここが違う

2021年7月05日 石井知哉

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中学受験に挑む子の多くは、塾や家庭教師の指導を受けます。受けるからには、なるべく良い授業をしてくれる先生に出会いたいですよね。では、そもそも「良い授業」とはどのような授業を指すのでしょうか? 自身も現役の塾講師として活動し、さらには多くの塾講師や家庭教師を見てきた私の視点から、優れた指導を受けるために知っておきたい「良い授業の条件」を4つお伝えします。

良い授業の条件
[1]説明がわかりやすい
[2]生徒の興味をかき立てている
[3]生徒に頭を使わせている
[4]入試傾向をふまえている

良い授業[1]説明がわかりやすい

良い授業の特徴、ひとつめは「説明がわかりやすい」ことです。新しいことを習う場合でも、難しい問題の解説を受ける場合でも、説明がわかりやすいと頭に入ってきますよね。

そして、わかりやすい授業を展開する講師には次の特徴があります。

【説明がわかりやすい講師の特徴】

  1. 難しいことを簡単に伝えている
  2. 伝わりやすい話し方をしている

難しいことを簡単に伝えている

難しいことを簡単に伝えるため、優秀な講師は生徒に合わせていくつかの工夫をしています。

  • 板書やプリントを工夫
  • “たとえ”を盛り込む
  • 生徒が知っていることと結びつける

板書やプリントを工夫

言葉での説明だけでは、どうしても伝わりにくいこともあります。そこで優れた講師は、子供がイメージしやすいように板書やプリントを工夫しています。たとえば国語の授業では物語文の情景をイラストにしたり、社会の授業で歴史上の人物の写真を用いたりするなど。こうした工夫があると、授業が一層理解できるようになりますよね。

“たとえ”を盛り込む

中学受験に向けた授業ですから、高度な用語や複雑な法則も多く登場します。たとえば理科の授業では「電流」や「密度」などを学びますが、これらは目には見えにくい科学原理。理解が進まない子も少なくありません。その点、優れた講師は子供が想像できる“たとえ”を使い、一見すると難解に思える事柄でもわかりやすく伝えています。

“たとえ”としては、次のような例が考えられます。

電圧・電流・抵抗(電熱線の断面積と長さ)の関係
「マヨネーズ」をイメージ

●電圧:容器を押す力
●電流:出てくるマヨネーズの量
●抵抗:絞り口の広さと長さによるマヨネーズの出にくさ

上記のように説明することで、電圧と電流は正比例、電流と抵抗は反比例であることをつかみやすくする

密度・重さ・体積の関係
「お弁当箱」をイメージ

●体積:箱の大きさ
●重さ:中身の量
●密度:箱の詰まりぐあい

上記のように説明することで、重さと密度は正比例、密度と体積は反比例であることをつかみやすくする

生徒が知っていることと結びつける

授業で新しい単元に入るとき、優れた講師は「まったく新しいこと」から教えようとはしません。生徒がスムーズに理解できるように、すでに知っていることから出発します。たとえば算数では、「出会い算」「追いこし算」「流水算」などさまざまな特殊算が登場します。しかし、これらの土台にある距離・時間・速さの関係は同じです。ですから優れた講師は、速さの基本事項を確認するところから始めます。「前に勉強したことと似ているな」と子供たちが感じたタイミングを見て、そのうえで「ここが今までと違うところだよ」と説明しているのです。

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石井知哉

石井知哉

  • この記事の著者

株式会社QLEA教育事業部部長。教育系Webサイト「School Post」を主宰。2000年、早稲田大学第一文学部 哲学科卒業。東京都の塾業界にて指導歴20年以上。現在は、東京都大田区で個別指導塾2校舎の教務・運営を統括する傍ら、千代田区麹町に超少人数制個人指導道場「合格ゼミ」を開設。豊富な実践経験に裏付けられた独自の理論とメソッドに基づき、小学校低学年から中・高・大学受験生、就職試験対策の指導にあたっている。幅広い学年・学力層・教科を対象に、個々の成長を最大限引き出す指導を得意とする。