中学受験ノウハウ 親の関わり方

寝る前のスマホいじり……。中学受験期は避けたほうがいい理由と、上手なスマホとの付き合い方

専門家・プロ
2018年4月13日 宇田川大輔

現代人にとってもはや必需品となった「スマートフォン」。最近では小学生でもスマホを持っていたり、自分用は持っていなくても親のスマホを使いこなす子供も増えています。夜寝る前に、ふとんにもぐってからスマホをいじるなんてシーンもめずらしいものではありません。しかし、その行為は中学受験期の子供にとって深刻な悪影響をおよぼすことがあるとか……。受験専門の心療内科「本郷赤門前クリニック」の院長を務める吉田たかよし先生にお話を伺いました。

寝る前のスマホは睡眠の「質」を左右する!?

現代人にとってスマホは欠かせないとは思いますが、子供にとっては刺激の多いツールであることは確かです。特に眠る前にスマホを見るという行為は、受験勉強の危険な落とし穴になってしまうと吉田先生は言います。

「夜眠る前にスマホを操作すると、睡眠の質が低下してしまいます。スマホ画面からはパソコン画面と同じようにブルーライトが出ていますが、波長の短いこの光は、光感受性網膜神経節細胞という細胞に届き脳を刺激します。また、ブルーライトをカットしても、映像の刺激やコンテンツの刺激もあります。さまざまな刺激にさらされて脳は興奮状態になるのです。ゲームなどは特に刺激だらけですから、影響はより深刻ですね。さらに、本来睡眠時には脳の温度が下がることで疲労の回復をはかるのですが、興奮状態によって脳の温度が下がりにくくなると、入眠困難や睡眠が浅くなるという問題が生じます。このように、寝る前のスマホは睡眠に重大な悪影響をもたらしてしまうわけです。その結果、昼間に眠くなってしまったり、集中力を持続するのが困難になったりするのは当然のことです。これは最近の中学受験生にとって見過ごすことのできない大きな問題に浮上していますね」(吉田先生)

眠る3時間前からスマホ禁止!が理想

吉田先生いわく、人間の脳は起きている時間の短期記憶を、眠ることによって長期記憶に変換していくのだとか。また、眠る直前に記憶したものが優先的に長期記憶になりやすいことも特徴だそうです。その特性から、中学受験生にとってどのような影響が考えられるでしょうか。

「昼間に勉強したこと(短期記憶)が、眠る前のスマホ操作によって得た情報(新たな短期記憶)で上書きされ、それが長期記憶として脳に保存されてしまいます。せっかく勉強した内容が寝る前にスマホをいじることで定着できなくなるなんて、そんなもったいないことはありません。それを防ぐためには、スマホの使用を制限することです。本当は寝る前に限らず、中学受験期にはスマホは全面禁止にするのが理想ですが、現実的には難しいことも多いでしょう。そんなときは『眠る3時間前からスマホの使用禁止』を徹底することがおすすめです。基本的にスマホは親が管理し、『朝になったらスマホ解禁』などスマホタイムを決めておきたいところです」

押しつけはNG。時間をかけて納得させること

親としては「受験勉強があるんだから、スマホは禁止!」といいたいところですが、全面的に阻止するなど親の一方的な押し付けでルールを決めるのはNGなのだそうです。ではどのようなやり方がベストなのでしょうか。

「ルールの押し付けは子供の反発を招き、不満をつのらせることがストレスの原因にもなるため、結局は逆効果になってしまうこともあります。スマホ使用のマイナス面を時間をかけてしっかりと説明し、子供に納得させることが大切です。取り上げてしまうのではなく、時間を制限して使用するルールを一緒に決めましょう。最終的には自分で使用ルールを決めさせるのが理想です。時間をかけて子供に納得させること、親がしっかり管理することを心得てください」

寝る前のスマホは禁物! 親子でルールを決めること

ついついおわりなく見続けてしまうことの多いスマホですが、受験生にとってデメリットがあることを親子でしっかり意識しましょう。寝る前のスマホいじりはやめ、睡眠の質を下げないように意識したいものです。せっかく毎日がんばっている学習を脳に定着させるためにも、眠る前のスマホ操作、特にゲームや動画など刺激の強いコンテンツは避けるべきものとして子供にも納得させてください。親子で話し合い、スマホ使用のルールを決めていきたいですね。

※記事の内容は執筆時点のものです

吉田たかよし 専門家・プロ

医学博士・心療内科医師。灘中学、東京大学、国家公務員上級経済職試験、医師国家試験などの合格体験を元に、日本で初となる受験生専門の心療内科、本郷赤門前クリニックの院長を務める。カウンセリングと最新の磁気刺激治療を組み合わせ、「受験うつ」から早期回復を図るプログラムを開発。脳科学と医学を応用した受験指導にも取り組む。『合格させたいなら「脳に効くこと」をやりなさい』(青春出版社)など著書60冊を上梓。

本郷赤門前クリニック
https://www.akamon-clinic.com/

この記事の著者

ライター・エディター・フォトグラファー/ファッションからビューティ、カルチャー、ライフスタイル系雑誌&WEBなどを手掛ける。現在、雑誌『LOADED』『NAIL VENUS』『美歯Navi』などの編集長を務めている。
http://m3-mag.jp