中学受験ノウハウ 志望校選び

公立中高一貫校 3つのメリットと合格に必要なこと

2018年4月23日 石井知哉

旧来、中学進学といえば、選択肢は「私立中学校の受験」か「地元の公立中学校に進む」の2つに1つでした。ところが、1999年の法改正によって、「公立中高一貫校への進学」という第3の選択肢が生まれました。以降、高い人気を博している公立中高一貫校ですが、そのメリットと合格するために必要なことについて解説します。

中学校 進学の3つの選択肢

2018年現在、小学校卒業後の進路としては、次の3つがあります。

[1]公立中学校(無試験)
[2]私立中学校(入学試験あり)
[3]公立中高一貫校(適性検査あり)

[1]公立中学校の場合、3年後に高校進学に際して受験を迎えることになります。

[2]私立中学校の場合、恵まれた環境で高いレベルの教育を受けられますが、他方で高額の学費が必要となりますし、塾通いや模擬テスト、参考書や問題集など、入学試験の対策のための費用もかかります。

[3]公立中高一貫校の場合、公立なので学費はかかりませんが、受けられる教育は私立並みのハイレベルなものです。つまり、「私立中レベルの教育」を「公立中並みの費用」で受けられる学校ということになります。

公立中高一貫校のメリット

【1】学費が安い

公立であるため、義務教育に当たる中学校3年間の授業料は無料です。高校3年間は授業料が発生するものの、私立に比べれば大幅に安くすみます。制服や図書費、実験や各種実習の材料費、学用品、修学旅行や遠足にかかる費用は別途必要となりますが、それを加えても、中高6年間の総額で私立の3分の1以下という統計も出ています。

参考:文部科学省「平成28年度子供の学習費調査の結果について」
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/12/22/1399308_1.pdf

【2】ハイレベルな教育を6年間受けられる

公立・私立問わず、中高一貫校には高校受験がないため、どの教科についても、中学3年間のうちにじっくりと時間をかけて「骨太の学力」を育む授業ができます。発表や討論、実験・観察を多く取り入れて「考える力」を養いますし、通常なら高校で学習する内容も中学生で扱うので進度も早く、実際に多くの公立中高一貫校が高い大学進学実績を誇っています。

【3】適性検査で能力を磨ける

公立中高一貫校に入学するためには、「適性検査」を突破する必要があります。適性検査を突破するには、図表・グラフの読み取り能力や計算・処理能力、論理的思考力、判断力、表現力といった能力が高いレベルで求められます。2020年度から、現行のセンター試験に代わり、「大学入学共通テスト」が始まりますが、そこで試される能力は、「適性検査」が求める能力と方向性は同じです。したがって、大学入試に対応するための、土台になる能力を磨くことにもなります。

公立中高一貫校に合格するために必要なこと

以上の通り大きなメリットのある公立中高一校ですから、人気も非常に高いのが現状です。毎年高倍率をマークし10倍を超えることも珍しくありません。

適性検査は、建前としては「学力試験」ではなく、小学校の教科書を超えるレベルの知識を要求しないという方針で、一般的な私立中の入試問題とは大きく異なります。

都道府県ごとに適性検査の内容は異なりますが、国語・算数・理科・社会という教科区分のない横断型の構成になっています。また、記述による解答プロセスを重視するのが大きな特徴で、作文も課されます。

「知識の量」ではなく、「知識を活用する力」が求められるので、私立入試より難しい面もあります。多くの塾が公立中高一貫校対策の専用コースを設け、専用の教材を使用していますが、本気で取り組んでいても、高倍率を前に涙を飲むことがあるほどです。準備・対策なしに挑んでも合格の可能性は低いでしょう。

また、小学校からの報告書の提出が必要で、通知表の教科の評定を得点化し、適性検査の得点と合わせて合否を判定します。したがって、小学校での成績が良い方が有利です。学校の授業内容をきちんと理解することが大前提といえます。

公立中高一貫校への進学は高倍率やハードルの高さを前に、早々に断念する向きもあるかもしれません。もちろん、受ける以上は合格することが目標ですが、仮に不合格になったとしても、その経験は決して無駄ではありません。公立中高一貫校合格を目指して懸命に勉強し磨いた能力そのものが、3年後の高校受験や6年後の大学受験、そしてその先の社会生活のなかで必ず役に立つからです。実はこれこそ、公立中高一貫校のメリットでもあるのです。

※記事の内容は執筆時点のものです

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