中学受験の志望校選びにおける「通学時間」の重要性
「うちの子に中学受験をさせたい。しかしどのように志望校を選んでよいのかわからない」このような相談は毎年寄せられるものです。今回は志望校を選ぶ際の「通学時間」についてお伝えします。
国私立中学の平均通学時間
志望校を選ぶときには実際に見学に行った際の校舎の様子や、説明会で配布される資料に書かれている進学実績など見えるところに目がいってしまいがちです。もちろん施設や卒業後の進路についての情報も大切です。ただ、子供が無理なく通学できるか、通学時間やアクセスについても考えておくべきです。
保護者向けのアンケートデータによると、通学時間30分未満が約4%、30分~40分未満が約15%、40分から50分未満が約44%、50分以上が約28%という結果です。
30分未満の部分を比べると男子よりも女子の方が割合が多くなっていました。反対に50分以上の部分で見てみると女子よりも男子の方が割合が高くなっています。
志望校の限度通学時間はどのようになっているのでしょうか。70分未満と答える保護者の方が約7割程度となっており、やはり長すぎる通学時間は子供の負担が大きいと考えているようです。
1時間を超えると通学時間が長いと感じる方が増え、通学を諦める割合が高くなっているということがわかります。
参考:通学時間を考える|ベネッセ教育情報サイト
http://benesse.jp/juken/200806/20080624-1.html
受験資格にも定められている通学時間
つぎは通学時間について、学校側の視点で見てみることにします。学校側としては遠距離すぎる通学は電車通学における交通トラブルや、生徒が登校時間に間に合わない可能性などのリスクがあるため、避けておきたいところです。
そこで、一部の私立の学校では「通学時間制限」を設けているところもあります。「通学時間制限」とは「通学時間90分以内」といったように通える範囲に制限を定めることです。具体的に公共交通機関の利用を想定し、家を出てから学校に到着するまでの時間を計算していきます。
この例として私立女子御三家で知られる女子学院は受験資格についてホームページで「生徒の健康、学習への影響等を考慮し、自宅から最寄り駅までは、徒歩またはバスを利用し、特別料金を必要としない公共の交通機関を用いて90分以内で学校に来られるというのが受験資格です」と説明しています。
参考:入学試験について | 女子学院 中学校・高等学校 公式サイト
https://www.joshigakuin.ed.jp/exam/examination/
交通網の発達で通学圏が拡大
最近では交通網の発達により各学校への乗り換えなしで行けるようになるなど、アクセスがよくなっています。そのため以前よりも遠距離から通学することが可能となってきています。
一例として筑波大学附属駒場中をあげると、東京都以外の通学区域は同校の生徒募集要項の中で千葉県は「市川市、浦安市」、神奈川県は「川崎市、相模原市、大和市、横浜市」、埼玉県は「朝霞市、川口市、戸田市、新座市、和光市、蕨市」とあり、以前よりも通学範囲が拡大しています。
参考:生徒募集要項 | 筑波大学附属駒場中・高等学校
https://www.komaba-s.tsukuba.ac.jp/admission/
通学時間と一緒に確認したい、通学電車の上り・下り
時間と一緒にぜひとも確認したいのが、通学に利用する電車が上り方面か、下り方面かといった点です。都心に向かう上り電車であれば、通学の時間帯がラッシュと重なります。このラッシュを理由に受験するのをやめたという声も少なくありません。
また、少し遠くなっても下り電車に乗って通学することを視野に、志望校を選ぶというケースもあります。朝の通勤ラッシュとも無縁の通学ができますし、郊外の立地には都心にはない良さもあります。
中学受験で志望校を選ぶ際に「通学時間」が重要であることがわかっていただけたと思います。すばらしい中学校生活のために、学業や部活動に集中していくためにも通学時間やアクセスも志望校を選ぶ際に考えてみることをおすすめします。
※記事の内容は執筆時点のものです
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