
主語と述語の教え方は難しくない! 保護者が子供に文法の基礎を説明する方法
日本語の文章を前に、子供に「主語はどれ?」と聞かれて悩む保護者の方は少なくありません。いっぽう、保護者が「主語は動作の主体を表す文節だ」などと教えることで、子供が余計にこんがらがってしまうこともあります。
「主語と述語の教え方は難しい」と思っている保護者のために、簡単な教え方を紹介します。
まずは述語を見つけてしまう
子供に「主語はどれ?」と聞かれた保護者は、「まずは述語を見つけよう」と答えるとよいでしょう。
日本語では述語が文末にくる
動作や状態などの主体を表す文節が「主語」で、主語の動作や状態などを表す文節が「述語」です。文節とは、文を不自然にならないレベルで区切った最小単位です。「ネ」を入れて文節に区切る方法が有名です。
たとえば、「太郎のお兄さんが車で僕を迎えに来た。」という文の述語は「来た」です。このように、日本語では述語が文末に来るのが原則です。
また、「花子が買った本が机の上にある。」という文では「買った」が述語のように見えます。しかし、原則として、文末以外にある文節は述語ではありません。この文の述語は「買った」ではなく、文末の「ある」です。
子供が「述語はどれ?」と悩んでいたら、保護者は「文末の言葉が述語だよ」と教えてあげましょう。
述語には「どうする」「どんなだ」「何だ」の意味があります。それぞれを例文は以下の通りです。
- 太郎が走る。(どうする)
- この本はおもしろい。(どんなだ)
- 彼女は花子だ。(何だ)
述語が文末に来ない場合
例外的に、述語が文末に来ない場合もあります。具体的には倒置法と省略があります。
倒置法は、言葉の順序を入れかえて印象を強める表現技法です。たとえば、「あの建物は大きい。」という文で「あの建物は」の印象を強めるため、「大きい、あの建物は。」とします。この文の主語は「大きい」です。倒置法の文では、通常の語順に直したときに文末に来る文節が述語です。
省略の例としては「君はどこへ。」「ここには何かが。」などが挙げられます。このような文に述語はありません。「君はどこへ。」ならば「君はどこへ行くのか。」、「ここには何かが。」ならば「ここには何かがあった。」と述語を補って解釈します。
主語かどうかは形式から見つける
子供に「主語はどれ?」と聞かれた保護者は、主語の意味を説明するのではなく、形式的な見つけ方を教えるとよいでしょう。
「が」「は」などが主語の目印
主語の候補になるのは、「が」「は」「も」「こそ」「さえ」などが付いている文節です。
たとえば、「太郎のお兄さんが車で僕を迎えに来た。」という文では、「が」の付いている「お兄さんが」が主語です。「太郎の」「車で」「僕を」「迎えに」は主語ではありません。保護者は子供に「『が』や『は』を見つけよう」と教えましょう。
さらに、主語の候補を見つけたら述語とくっつけてみて意味が通じるか、意味がおかしくないかを考えます。「太郎のお兄さんが車で僕を迎えに来た。」ならば、「来た」にくっつけて意味が通じておかしくない「お兄さんが」が主語で確定です。
「昨日は友達が車で僕を迎えに来た。」ならば、「昨日は」も主語の候補ですが、「昨日は来た」とすると、「昨日」という何者かがやって来たという意味になってしまいます。この意味はおかしいので、主語は「昨日は」ではなく「友達が」だとわかります。一方、「明日は友達の誕生日だ。」なら、「誕生日だ」にくっつけて意味が通じておかしくない「明日は」が主語です。
このように、主語の候補が本当に主語かどうかを確認しなければなりません。子供が主語の候補を見つけたら、保護者は「見つけた言葉を述語にくっつけてみて、意味が通じるか、意味がおかしくないかを確認しよう」と促すことが大切です。
主語が省略される場合
たとえば、「これから母と買い物に行く。」という文には「が」や「は」などがないので、この文では主語が省略されたと考えられます。子供は「母と」などを主語と考えがちです。しかし、「行く」という述語とくっつけて意味が通じるからといって「母と」などが主語になるわけではありません。このことを保護者は子供にしっかり伝えるとよいでしょう。
主語と述語の教え方は難しくない
主語と述語のわかりやすい教え方を紹介しました。
保護者が子供に「この文の主語はどれ?」などと普段から確認していると、子供は自然と日本語のルールに強くなり、文章の読み書きも得意になります。また、主語と述語の意識が定着した子供は、中学進学後に英語や古文などにも取り組みやすくなります。
保護者が子供に主語と述語を教えられることの意味は大きいです。ぜひ、チャレンジしてみてください。
※記事の内容は執筆時点のものです
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