
こども家庭庁の発足で何が変わるの? 中学入試の時事問題で出そうな知識を解説
2023年4月1日、こども家庭庁が発足しました。新たな行政機関に関するニュースは、社会の時事問題として出題されやすい傾向があります。こども家庭庁が発足するまでの経緯や関連する基本的な知識などを整理し、入試問題として問われそうなことをわかりやすく紹介します。
こども家庭庁が発足するまでの経緯
こども家庭庁が発足するまでの経緯を理解し、関連する法律の流れを頭に入れておきましょう。
縦割り行政の打破
こども家庭庁が発足する前の日本の行政では、子どもに関する仕事がさまざまな省庁に分かれていました。たとえば、幼稚園の管轄は文部科学省で、保育園の管轄は厚生労働省・総務省でした。
このように、似たような仕事が別々の省庁で行われ、手続きが複雑になったり、横の連携が取れていなかったりすることを「縦割り行政」といいます。こども家庭庁は、縦割り行政を打破し、子どもに関する仕事を一つにまとめることを目的としています。
関連する法律の流れ
こども家庭庁に関連する法律としては、成育基本法、こども家庭庁設置法、こども基本法、内閣府設置法を押さえておきたいところです。
2018年12月、成育基本法が成立し、2019年12月1日に施行されました。成育とは、出生、新生児期、乳幼児期、学童期、思春期の各段階を経て、大人になるまでの一連の成長過程を意味します。児童福祉や母子保健などをまとめて連携させる目的の法律です。
2022年2月25日、こども家庭庁設置法案などが閣議決定され、衆議院へ提出されました。その後、5月17日に衆議院本会議で、6月15日に参議院本会議でそれぞれ可決されました。こども家庭庁設置法は6月22日に公布され、2023年4月1日に施行されました。
また、こども基本法も2022年6月22日に公布され、2023年4月1日に施行されました。こども施策を社会全体で総合的かつ強力に推進していくための包括的な基本法です。
こども家庭庁発足に伴って内閣府設置法が改正されました。内閣府特命担当大臣(こども政策担当)が設置され、初代大臣に小倉將信が就任しました。内閣府特命担当大臣は、内閣の重要政策に関する企画立案・総合調整を強力かつ迅速に行うための役職です。
こども家庭庁に関連する基本的な知識
社会の時事問題になりそうな知識を整理して紹介します。「内閣府」「外局」などの用語も一緒に覚えるとよいでしょう。
こども家庭庁の組織
こども家庭庁は内閣府の外局です。内閣府と外局について、それぞれ理解しておく必要があります。
内閣府は、各省庁の意見をまとめながら内閣総理大臣を助ける仕事をする行政機関です。2001年に設置されました。
外局は内閣府や各省に置かれる行政機関で、独立性や専門性が高い特別な仕事を行います。外局には、庁(財務省の国税庁、文部科学省の文化庁など)と委員会(内閣府の国家公安委員会や公正取引委員会など)があります。
こども家庭庁のトップはこども家庭庁長官です。他の特別な職には官房長、審議官、公文書管理官、参事官があります。内部部局(本体部分の組織)は長官官房、成育局、支援局から構成されます。
こども家庭庁の目標と活動内容
こども家庭庁のHPには次の目標が書かれています。
こどもがまんなかの社会を実現するためにこどもの視点に立って意見を聴き、こどもにとっていちばんの利益を考え、こどもと家庭の、福祉や健康の向上を支援し、こどもの権利を守るためのこども政策にリーダーシップをもって取り組みます。
この目標の「こどもの視点に立って意見を聴き」を実現するための取組として「こども若者★いけんぷらす」があります。こども若者★いけんぷらすは、小学1年生から20代なら誰でもメンバー登録することができ、若い世代自身が子ども・若者に関わるさまざまなテーマについて意見を述べ、それらを政策に反映させる場です。
「こどもと家庭の、福祉や健康の向上を支援し」を実現する活動には「こどもまんなか応援サポーター」があります。こどもまんなかの趣旨に共感・賛同した個人や企業、団体などが、こどもまんなかを具体的なアクションとして実行し、それを発信したり参加を呼びかけたりしていきます。
他にも、こども家庭庁は「NPO等と連携したこどもの居場所づくりの支援モデル事業」を公募しています。すべての子どもに安全で安心して過ごせる多くの居場所を提供し、自己肯定感や自己有用感を高めて幸せな状態(Well-being)で成長できるように支援するのが目的です。
こども家庭庁の発足で変わること
日本では子どもの貧困や児童虐待、いじめ、ヤングケアラー(家事や家族の世話を日常的に行っている子ども)などの問題が日々ニュースとなっています。少子化も社会問題とされてきました。
こども家庭庁が子どもや若者の意見を積極的に取り入れることで、子どもをめぐる政策が本当の意味で『こどもがまんなか』になっていく可能性は高いでしょう。止まらない少子化を解決する糸口になることが期待されています。
※記事の内容は執筆時点のものです
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