円周角の定理に関して中学受験で出題されたら? 内角と外角の関係や半径の性質を応用する
中学入試の算数では、中学数学で習う円周角の定理を使わないと解けない問題は出ないはずです。しかし、有名校では過去に、円周角の定理を使うと楽に解ける問題が出題されたことがあります。このことをふまえて、小学生でも理解できるように、円周角の定理についてやさしく解説します。
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円周角の定理とは何か?
下の図1のように、円周上に弧ABと点Cや点Dを取ったとき、角ACBや角ADBを弧ABに対する円周角といいます。一方、図2のように、弧ABの両端と円の中心Oを結んでできる角AOBは弧ABに対する中心角といいます。
円周角と中心角については次の2点が成り立ちます。これが円周角の定理です。
- 同じ弧に対する円周角の大きさは等しい。
- 同じ弧に対する円周角の大きさは中心角の大きさの\(\frac{1}{2}\)である。
円周角の定理から、図1では角ACB=角ADBとわかります。角ACBが40°ならば、角ADBも40°です。また、図2では角ACB=角ADB×\(\frac{1}{2}\)とわかります。角ACBが40°ならば、角AOBは80°です。
円周角の定理を証明する
円周角の定理が成り立つことを証明します。3パターンの証明が必要ですが、内角と外角の関係と半径の性質を知っている中学受験生ならば理解できるはずです。
円周角の中に中心角があるパターン
下の図3のように、円周角の中に中心角があるパターンを考えます。
Cと中心Oを通る補助線を引いて、その補助線と弧ABが交わる点をPとします。半径の長さが等しいことを利用すると、三角形ACOはAO=COの二等辺三角形で角CAO=角ACO=●です。また、三角形の内角と外角の関係から、角AOP=角CAO+角ACO=●+●=●×2です。
三角形BCOについても同じように考えて、角BOP=角CBO+角BCO=■×2とわかります。
したがって、角AOB=角AOP+角BOP=●×2+■×2=(●+■)×2=角ACB×2より角ACB=角AOB×\(\frac{1}{2}\)です。このことから、「同じ弧に対する円周角の大きさは中心角の大きさの\(\frac{1}{2}\)である。」を証明できました。
直径上に中心があるパターン
下の図4のように、直径BD上に中心Oがあるパターンを考えます。
補助線を引くまでもなく、三角形の内角と外角の関係から、角AOB=角DAO+角ADO=●×2=角ADB×2より角ADB=角AOB×\(\frac{1}{2}\)です。このことから、「同じ弧に対する円周角の大きさは中心角の大きさの\(\frac{1}{2}\)である。」を証明できました。
円周角の外に中心角があるパターン
下の図5のように、円周角の外に中心角があるパターンを考えます。
Eと中心Oを通る補助線を引いて、その直線と弧BEが交わる点をQとします。角AEB=●、角BEO=■とすると、三角形AEOはAO=EOの二等辺三角形で角EAO=角AEO=●+■です。また、角AOQ=角EAO+角AEO=(●+■)×2です。
三角形BEOについても同じように考えて、角BOQ=角EBO+角BEO=■×2とわかります。
したがって、角AOB=角AOQ-角BOQ=(●+■)×2-■×2=●×2=角AEB×2より角AEB=角AOB×\(\frac{1}{2}\)です。このことから、「同じ弧に対する円周角の大きさは中心角の大きさの\(\frac{1}{2}\)である。」を証明できました。
以上より、角ACB=角ADB=角AEB=角AOB×\(\frac{1}{2}\)なので、「同じ弧に対する円周角の大きさは等しい。」も証明できました。
円周角の定理を使わずに問題を解く
中学受験生でも基本的な知識から円周角の定理を証明できます。つまり、円周角の定理を使うと楽に解ける問題のほとんどが、円周角の定理を使わずに解けるということです。このような問題を実際に解いてみましょう。
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