
スランプ!? 秋になって成績が低迷している子にどう接する?│ 中学受験塾のトリセツ#22
秋というのは、中学受験生にとって、スランプが起きやすい季節です。
夏は夏休みと夏期講習でたくさん勉強をし、冬には入試や新学年への進級が控えています。
その間である秋は、気持ちに波が起こり成績が低迷してしまうこともめずらしくありません。
成績が下がって、親子ともにイライラし、また成績が下がる……という負の連鎖に陥らないよう、気づいたらすぐ何とかしたいものですよね。
この記事では秋になって成績が低迷する原因と対処法についてお話しします。
Contents
秋にスランプが起こる理由
秋にスランプが起こる原因は、大きく2つに分けられます。
大変だった夏の反動がきているケースと、これからくる冬への不安に襲われているケースです。
夏の反動
「夏は受験の天王山」と言われることもあるほど、志望校合格を目指すのに夏は重要な時期です。
塾では夏期講習が組まれ、復習や宿題など家庭でも忙しく過ごします。
今年の夏は暑さも厳しかったため、講習中は通塾だけでも気力体力ともに消耗したことでしょう。
忙しい夏を終えたことで、燃え尽き症候群にも似た状態になってしまっても不思議ではありません。
その場合、「頑張れ!」という応援が逆効果になってしまうことも。
本人も「頑張りたいのに何となくやる気が出ない」と苦しんでいる可能性があります。
入試直前で失速するわけにはいきませんから、秋を早めの休息期間とし、徐々に元の軌道へと乗せてあげたいですね。
入試や新学年への不安
6年生の子どもの中には入試へのスケジュール感を把握せず、親や先生に言われるままテストを受けたり過去問を解き始めたりしている子もいます。
子どもにとって先の話はイメージしにくく、とりあえず言われたことをやっているうちに秋になってしまったケースです。
心構えがないまま入試直前期に放り出されたような感覚に陥り、手が動かなくなってしまうのも無理はありません。
周りの大人たちやクラスメイトが本格受験モードになっているのに、自分はその波に乗れていないと感じて心が落ち着かなくなってしまいます。
新学年を迎える不安も同じで、特に5年生は受験学年を迎えることに漠然とした不安を抱えてしまいがち。
とはいえこれらの不安感や緊張感はゼロにはできませんし、適度であればプラスにも働きます。
自分の状態を正しく理解し、「安心するためにしっかり勉強しよう」というちょうどいい熱量で取り組めるようになりたいものですね。
秋のスランプを脱するためのアドバイス
スランプは無理になくせるものでもないため、上手に耐えて乗り越えることが大切です。
スランプを抜けたとき、以前のように頑張れる状態にするには、スランプ中でもなるべく前向きでいられるようにしてあげたいですよね。
塾ではしっかり勉強できているという前提で、スランプを早く抜けるための方法をお話しします。
もし塾でも勉強ができているか怪しそうなら、まず塾の先生に相談してみてくださいね。
最低限のことだけ習慣化して続ける
スランプの理由が夏の反動にある子に効果的な方法です。
漢字や計算、塾の宿題など、これだけはやらなければならないという最低限のものだけこなし、それ以外は一旦置いておきます。
スランプ期は現状維持だけで精一杯。向上しようと思うと何もかも嫌になって、すべてを投げてしまいたくなるんですよね。
「これだけはやっておこう」という最低ラインを決め、そこまでできればとりあえずOKとしましょう。
余力のある日用に「これもできたらさらに良し」というラインもあるといいですね。
たとえば応用問題や苦手科目の復習がこれに当たります。
また、スランプ中は集中力も続きません。
子どもの性格にもよりますが、勉強のスケジュールは一気に長時間ではなく、朝・放課後・寝る前と分散させたほうが達成しやすいと思います。
寝る前は机に向かうのではなくテキストや単語帳を読むだけの時間にするのもアリですね。
受験への道のりを整理して話す
スランプの原因に入試や新学年への不安がある子に試したい方法です。
不安には単純な学力だけでなく、入試への道のりがイメージできないという理由もあるかと思います。
イメージのために改めて、志望校や入試日、受ける予定の模試は何回あるかなどを確認してあげてください。
あわせて「こういう風に考えているよ」「こういうこともできるよ」など、道に幅があることも伝えてあげると安心感が増します。
たとえば第一志望校について、「チャレンジ校であり合格できない可能性があることは親もわかっている」と伝えれば子どもの気持ちが少し楽になるかもしれません。
「滑り止めの学校を少し下げることもできる」「外部の模試を受けることもできる」などは、自分にもまだまだ選ぶ道があるという自由度が感じられるでしょう。
繊細な子は「志望校に合格できなかったらどうしよう」と自分を追い詰めがち。親が視野を広げてあげたいですね。
また、この時期だからこそ勉強を軽んじる発言をする子もいます。
たとえば「公立でもいいから勉強しない」「自分はできる子だから勉強しなくても大丈夫」といった発言です。
突然の強気な発言におどろきますが、それがガス抜きになっていることもあります。
焦りや不安からの発言ならまともにっても追い詰めるだけなので、さらっと流すこともときには必要です。
最終的に受験することを決めているのであれば、叱って本人のやる気を挫くより、本人がとりあえずでもやる気になれる方向に話をもっていくよう心がけてみてくださいね。
新学年の楽しい話をする
新学年への不安がある5年生に試してほしい方法です。
秋以降は塾自体が6年生の受験関連で慌しくなり、面談を希望する親御さんや受験関連の掲示物を目にする機会が増えるなど、受験色が濃くなっていきます。
受験をしないのであれば徐々に居づらく感じてしまうかもしれませんね。
受験について意識しなかった子は、勉強を続けるためのモチベーションが保てなくなるのも自然なことです。
このあたりで一度、少なくとも「受験をしてみようかな」くらいの意識が子どもにあることを確認したいですね。
その上で、モチベーションを上げる話をしてみてください。
ホームページで学校情報を見てみると意外なところに食いつくこともあります。
過去には校章がかっこいいからという理由で受験を決めた子も。
その子にとっては偏差値の高い学校だったので親御さんもチャレンジ校のつもりでしたが、見事合格して進学しました。
ほかには文化祭や学校説明会といったイベントを利用するのもいいですね。
意外なことに、6年生の塾生活というのも子ども心をくすぐるようです。
「お弁当を持って終日授業」「過去問を解いて提出」というような話に食いつく子は多いのです。
どうやら受験生っぽさが新鮮で楽しく見えるらしいのですが、大人からすると少し意外ですよね。
さまざま試して子どものモチベーションが上がるスイッチを見つけてあげてくださいね。
親自身が気持ちを緩める
子どもが勉強してくれないと親はいらだつものですよね。
とりわけ6年生は、入試が迫り模試や過去問も立て込んできます。
やることは多いのに子どもはなかなか動かない。焦りを覚えるのはよくわかります。私もそうですから。
けれど、子どもがスランプのときは、「やればここまではできる」という期待と「こうすれば早い」という効率を親がまず諦めるのが大切です。
とても難しいのはわかっていますが、スランプ中は特に、そうしないと長引いてしまいます。
夏を頑張った小休止として、少し緩む時期があってもしょうがないものと割り切りましょう。
6年生だと、この期間に気持ちを潰さないことが一番重要です。
6年生は塾で嫌というほど受験ムードを味わっているので、家では受験受験ではなく淡々と変わらず進めていくのも一つの手ですね。
夏は変則スケジュールで、夏期講習の送迎や塾のプリント整理など親御さんも大変だったはず。
子どもだけでなく親も小休止と思って、リラックスやリフレッシュに時間を使ってみるのもいいと思います。
家で親子が顔をつき合わせるとどうしても勉強を考えてしまうため、我が家では勉強スケジュールをゼロにし親が終日外出、娘は家で好きなように一人の時間を過ごすという日を作ったことがあります。
好きな時間にカップ焼きそばを食べ、テレビを見ながらお絵描きや読書などのびのび過ごしたようで、すごく楽しかったと言っていました。
親も一人で買い物をしたりコーヒーを飲んだりとリフレッシュできたため、親子ともに翌日からは「昨日休んだ分、今日から頑張ろう」と新しい気持ちになれました。
小学生高学年という反抗期も絡む難しい年ごろだからこそ、家庭の様子によっては別々に過ごすというのもひとつのリフレッシュになると思います。
秋はいったん休憩するのにちょうどいい時期
「夏を超えてこれから入試」「もうすぐ新学年へ」という秋のスランプは、見ている親もつらいですよね。
本人がスランプに気づいていないこともあれば、気づいてもどうにもできないということもあります。
スランプの原因や解決法は子どもによって違いますが、共通するのはその段階でさらに負荷をかけると解決が遠のく可能性が高いということです。
スケジュールの減速や思い切ったリフレッシュは、忙しい冬の前である秋だからこそできるもの。
子どもの気持ちを軽くする方向に動き、冬にはまた走れるようになれるといいですね。
※記事の内容は執筆時点のものです
とじる
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