1から1000までの和を考えよう! 等差数列の公式や応用問題の解き方を解説
算数の数列分野では、数の和を求める問題がよく出ます。中学受験生の多くは、等差数列の和の公式でパッと答えを求められるでしょう。一方、その公式が成り立つ理由をきちんと説明できない受験生もいるはずです。今回は、1から1000までの和を例として、公式の成り立ちとさまざまな問題の解き方を解説します。
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1から100までの和をガウスはどう考えた?
中学受験算数でおなじみの等差数列の和の公式は、18~19世紀に活躍した天才数学者ガウスが7歳のときに発見したと伝えられます。ガウス少年がどのように考えたのかを紹介します。
等差数列の和の公式を導いたガウス少年
当時7歳だったガウスは、算数の授業で教師から「1から100までの数字すべてを足しなさい」という問題を出され、わずか数秒で「5050」という正解を導きました。生徒たちが苦戦するだろうと予想していた教師は非常に驚いたそうです。
ガウスは、1と100、2と99、3と98、……という2数の和をそれぞれ考えて、101が50個できることに注目し、101×50=5050を計算したといわれます。
この計算方法は、S=1+2+3+…+100と、その逆順のS=100+99+98+…+1のそれぞれの数を足してS×2=101×100とし、2で割ってS=101×100÷2とするのと同じです。これは、1番目からN番目までの等差数列の和の公式として、次のように表されます。
1番目からN番目までの等差数列の和=(初めの数+終わりの数)×N÷2
1から1000までの和を規則性から求める
等差数列の和の公式を用いて、次の計算をしてみます。
- 1+2+3+…+10=(1+10)×10÷2=11×5=55
- 1+2+3+…+100=(1+100)×100÷2=101×50=5050
この2つの計算結果から、最後の数(10、100、…)と和に規則性があることがわかるでしょう。
和は、2つの5の後ろに(最後の数の0の個数-1)個の0が続きます。そのため、1から1000までの和ならば500500、1から10000までの和ならば50005000、…となります。公式を使って計算しても同じ結果になります。
1から1000までの和の応用問題をどう解く?
1から1000までの和の応用問題にチャレンジしましょう。
【問題】1から1000までの整数のうち、次のような数の和をそれぞれ求めなさい。
(1) 偶数
(2) 奇数
(3) 2または3の倍数
(4) 5の倍数ではない数
偶数の和
(1)について、1から1000までの整数のうち、偶数の和は2+4+6+…+1000です。初めの数が2、終わりの数が1000、1000÷2=500よりN=500なので、等差数列の公式に当てはめて、2+4+6+…+1000=(2+1000)×500÷2=250500が答えです。
ちなみに、初めの数が2、終わりの数が2×Nの偶数の和は、2+4+6+…+2×N=(2+2×N)×N÷2=(1+N)×2×N÷2=N×(N+1)が成り立ちます。
奇数の和
(2)について、1から1000までの整数のうち、奇数の和は1+3+5+…+999です。初めの数が1、終わりの数が999、1から1000までの整数から偶数を除いた個数が500個でN=500なので、等差数列の公式に当てはめて、1+3+5+…+999=(1+999)×500÷2=250000が答えです。
1から1000までの和500500から、偶数の和250500を引いても、500500-250500=250000と求められます。
ちなみに、初めの数が1、終わりの数が2×N-1(これがN番目の奇数)の奇数の和は、1+3+5+…+(2×N-1)={1+(2×N-1)}×N÷2=2×N×N÷2=N×Nが成り立ちます。
2または3の倍数の和
(3)について、2の倍数の和は偶数の和なので、(1)より250500です。
3の倍数の和は、初めの数が3、1000÷3=333より終わりの数が3×333=999、N=333なので、等差数列の公式に当てはめて、3+6+9+…+999=(3+999)×333÷2=166833です。
これらの和を足すと、2と3の公倍数、すなわち6の倍数の和を余計に1回足すことになります。したがって、「2または3の倍数の和=2の倍数の和+3の倍数の和-6の倍数の和」です。
6の倍数の和は、初めの数が6、1000÷6=166より終わりの数は6×166=996、N=166なので、等差数列の公式に当てはめて、6+12+18+…+996=(6+996)×166÷2=83166です。
したがって、2または3の倍数の和は250500+166833-83166=334167が答えです。
5の倍数ではない数の和
(4)について、5の倍数ではない数の和は、1から1000までの和から5の倍数の和を引けば求められます。
5の倍数の和は、初めの数が5、終わりの数が1000、1000÷5=200よりN=200なので、等差数列の公式に当てはめて、5+10+15+…+1000=(5+1000)×200÷2=100500です。
したがって、5の倍数ではない数の和500500-100500=400000が答えです。
1から1000までの和からさまざまなことを学ぶ
1から1000までの和を公式で求めて終わりにするのではなく、そこからさまざまなことを学ぶことで算数の実力が伸びます。天才数学者ガウスの子ども時代について知り、発想のヒントを得られれば、算数がさらに楽しくなるでしょう。
※記事の内容は執筆時点のものです
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