場合の数-「並べ方」の基礎力を確認しよう|中学受験算数の基礎力を伸ばす#5
こんにちは。ドリさんです。
今回は「場合の数」の単元の「並べ方」の問題の基礎力についてお伝えいたします。
「並べ方」の問題とはカードのならべ方が何通りあるかなど、並べ方を数える問題をさします。
「場合の数」は中学受験算数の中で最も難しい単元の1つで、苦手と感じている受験生も多いです。苦手なお子様は、「場合の数」の中で最も基本的な「並べ方」の問題の基礎力から確認しましょう。
この記事では、「並べ方」の基礎力を以下の順に3つのポイントに分けてお伝えします。
- 小さい順に書き出す
- グループに分けて書き出そう
- 計算で解いてみよう
1. 小さい順に書き出す
場合の数では、” 順番に” 書き出すことが大事です。
順番に書き出すことで、「数え忘れる」と「重複して数える」を防げるからです。
まずは、小さい順に書き出すことができるか確認しましょう。
ウォーミングアップに問題を3問出します。
急がず正確に書き出すようにお子様にお声がけして、やってみてもらってください。
【問題】
(1) {[1],[2],[3]}の3枚のカードを並びかえて作ることのできる3桁の整数を小さい順に全て書き出しましょう。
(2) {[0],[1],[2]}の3枚のカードを並びかえて作ることのできる3桁の整数を小さい順に全て書き出しましょう。
(3) {[1],[1],[2]}の3枚のカードを並びかえて作ることのできる3桁の整数を小さい順に全て書き出しましょう。
※数字を縦に書き出す方が、書き出しやすいです。縦に数字を並べましょう。
解答です。順番に書き出せているか確認しましょう。
【解答】
(1) | (2) | (3)
123 | 102 | 112
132 | 120 | 121
213 | 201 | 211
231 | 210 |
312 |
321 |
(1)は、100台、200台、300台と順番に。
(2)は、100台、200台と順番に。
(3)は、2を、一の位、十の位、百の位と順に移動。
というふうに考えるとスムーズに書き出せます。
これを全て順番通り迷いなく書き出せたなら、素晴らしいです。
一方で、「全部書き出せたけど、順番を間違えました」はダメです。
迷いなく小さい順に書き出せるまで書き直しましょう。
さて、次の問題です。
偶数を作ることに注意して書き出しましょう。
【問題】
{[0],[1],[2],[3]}の4枚のカードから3枚選び、並びかえて作ることのできる3桁の偶数を小さい順に全て書き出しましょう。
解答です。全部で10通りの並べ方があります。
【解答】
102
120
130
132
210
230
302
310
312
320
どうでしょうか。
こちらは、一の位が0か2に限られるので、難しく感じたのではないでしょうか。
この問題については、次の「グループに分けて書き出そう」にて簡単な書き出し方を紹介します。
単純に小さい順に書き出すと難しい問題もある、ということが分かればOKです。
2. グループに分けて書き出そう
次に、グループに分けて書き出す方法をお伝えします。
グループに分けると複雑な問題でも書き出しやすくなります。また、場合の数を計算して求めるときに必要な考え方ですので、ぜひ練習しましょう。
まずは、先ほどと同じ問題を、グループに分けて書き出してみましょう。
自信のあるお子様には、グループの分け方も含めて考えてみてもらってください。
苦手なお子様は、ヒントを見て、書き出してみてください。
【問題】
{[0],[1],[2],[3]}の4枚のカードから3枚選び、並びかえて作ることのできる3桁の偶数を全て書き出しましょう。
ヒント: 一の位が0か2でグループを分け、グループ内では小さい順に書き出しましょう。
こちらが解答です。全部で10通りあります。
【解答】
グループ1・・・一の位が0
120
130
210
230
310
320
グループ2・・・一の位が2
102
132
302
312
いかがでしたでしょうか。
一の位を気にせずに書き出せるので、全てを小さい順に書き出すよりも楽になりますね。
では、もう1つ問題です。
自信のあるお子様には、グループの分け方も含めて考えてもらってください。
苦手なお子様は、ヒントを見て、書き出してみてください。
【問題】
{[1],[1],[1],[2],[3]}の5枚のカードから3枚選び、並びかえて作ることのできる3桁の整数を全て書き出しましょう。
ヒント: [1]を何枚使うかでグループ分けをします。
では、解答です。全部で13通りあります。
【解答】
グループ1・・・[1]を1枚使う
123
132
213
231
312
321
グループ2・・・[1]を2枚使う
112
113
121
131
211
311
グループ3・・・[1]を3枚使う
111
いかがでしたでしょうか。 グループに分けると、複雑な条件でも数え上げやすくなりました。
以上、小さい順に書き出すことと、グループ分けを完璧にできれば、カード並べ方のほとんどの問題が解けるようになります。
カード並べの問題は、「ドリる算数」の「ならべ方(応用)」練習できます。
最初は、時間を気にせずに、書き出してやってみましょう。
3. 計算で解いてみよう
最後に、計算で解く方法をお伝えします。 計算で解くことができれば、中学受験の入試に必要なスピードで問題を解くことができます。
ここに問題を5問用意しました。
【問題】
(1) {[1],[2],[3]}の3枚のカードから3枚選び、並びかえてできる3桁の整数は何通りですか。
(2) {[0],[1],[2]}の3枚のカードから3枚選び、並びかえてできる3桁の整数は何通りですか。
(3) {[1],[1],[2],[2]}の4枚のカードから3枚選び、並びかえてできる3桁の整数は何通りですか。
(4) {[0],[1],[2],[3]}の4枚のカードから3枚選び、並びかえてできる3桁の偶数は何通りですか。
(5) {[1],[1],[1],[2],[2],[2],[3]}の7枚のカードから3枚選び、並びかえてできる3桁の整数は何通りですか。
順に解説していきます。 1つずつ解説していきますので、お子様と一緒に順に考えてみましょう。
お子様には、式だけでなく説明できるかどうかも確認してください。
では、まず(1)の解説です。
【問題(1)】
{[1],[2],[3]}の3枚のカードから3枚選び、並びかえてできる3桁の整数は何通りですか
【解説】
百の位が1,2,3の3つのグループに分けることができます。 特別な条件はないので、どのグループも同じだけ3桁の整数を作れます。 また、百の位が1のグループは、123,132の2通り。 よって、2×3=6通り
いかがでしたでしょうか。計算しなくても十分解ける問題ですが、説明して計算で解けることが大事です。
次、(2)です。
【問題(2)】
{[0],[1],[2]}の3枚のカードから3枚選び、並びかえてできる3桁の整数は何通りですか。
【解説】
百の位が1,2の2つのグループに分けることができます。 特別な条件はないので、どちらのグループも同じだけ3桁の整数を作れます。 また、百の位が1のものは、120,102の2通り。 よって、2×2=4通り
(1)との違いは、百の位は1か2の2通りとなることでした。この違いを説明できれば良いですね。
次は(3)。枚数でグループに分けましょう。
【問題(3)】
{[1],[1],[2],[2]}の4枚のカードから3枚選び、並びかえてできる3桁の整数は何通りですか。
【解説】
「 1を2枚使うグループ」,「2を2枚使うグループ」の2グループに分けることができます。 特別な条件がないので、どちらのグループも同じだけ3桁の整数を作れます。 そして、1を2枚使うグループは、 112,121,211の3通りなので、 3×2=6通り
いかがでしょうか。各グループが同じ数だとわかってしまえば、1つ書き出せばあとは2倍すれば答えが出ます。
次は(4)です。偶数なので一の位に注目してグループ分けをしましょう。
【問題(4)】
{[0],[1],[2],[3]}の4枚のカードから3枚選び、並びかえてできる3桁の偶数は何通りですか。
【解答】
偶数なので、一の位が0と、一の位が2の2つのグループに分けて考えます。
一の位が0のグループと,一の位が2のグループは、百の位に使える数が変わるので、それぞれ計算します。
・一の位が0のグループ
百の位は1,2,3の3通り。
百の位が1のとき、120,130の2通り。
よって、2×3=6通り。
・一の位が2のグループ
百の位は1,3の2通り。
百の位が1のとき、102,132の2通り。
よって、2×2=4通り。
よって、
6 + 4 = 10通り
この問題の難しいところは、2つのグループで作ることができる3桁の偶数の数が違うことです。ここを見逃さずに計算できたでしょうか。
もし見逃して2倍してしまった人は、書き出しをもう一度やって理屈を理解しましょう。
地道な作業ですが、感覚を身につけるために大切な作業です。
さて、次は(5)。最後の問題です。
【問題(5)】
{[1],[1],[1],[2],[2],[2],[3]}の7枚のカードから3枚選び、並びかえてできる3桁の整数は何通りですか。
【解答】
以下の3つのグループに分けて考えます。
・グループ1・・・同じカードがないグループ
・グループ2・・・同じカードを2枚使うグループ
・グループ3・・・同じカードを3枚使うグループ
グループ1・・・同じカードがないグループ
{[1],[2],[3]}を並び替えてできる3桁の整数を考えます。
百の位3通りに対して、それぞれ2通りずつ3桁の整数ができるので、
2×3=6通り
グループ2・・・同じカードを2枚使うグループ
[1]を2枚使うか、[2]を2枚使うかの2つのグループに分けて考えることができます。
また、特別な条件がないので、どちらのグループも同じだけ3桁の整数を作れます。
[1]を2枚使うときに作れる数字は、
112,113,121,131,211,311の 6通り作れます。
よって、同じカードを2枚使うグループ全体で
6×2=12通り
グループ3・・・同じカードを3枚使うグループ
111か222の2通り
よって、6+12+2=20通り
いかがでしたでしょうか。一気に難しくなりましたね。 わからないお子様は、書き出して確認しましょう。
また、簡単な計算で解けるパターンの問題は、「ドリる算数」の「ならべ方(基礎)」で練習することができますので、ぜひご利用ください。
まとめ
「並べ方」の基礎力に関しては、次の3つのポイントを説明しました。
- 場合の数が苦手なお子様は、まず、小さい順に書き出すことから始めましょう。順番に書き出すことで、「数え忘れる」と「重複して数える」を防ぐことができます。
- 複雑な問題は、グループに分けて書き出しましょう。グループに分けると複雑な問題でも書き出しやすくなります。また、場合の数を計算で解くときにも必要です。
- 入試に必要なスピードで解けるように、計算で解きましょう。その際に、理屈も合わせて確認しましょう。もし、理屈がよくわからなくなったら、書き出して何通りあるか確かめましょう。そうすることで、理屈も自然と身につきます。
以上です。 場合の数の問題は、書き出しすることが軽視されがちですが、書き出すことで理解が深まります。
解き方がよくわからなくなったら、ぜひ、書き出しから確認してみてください。
※記事の内容は執筆時点のものです
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