中学受験ノウハウ 夏休み・夏期講習

通塾していない生徒が参加する価値はある? 学習塾の夏期講習の賢い利用法

2018年5月29日 鈴木恵美子

多くの学習塾では、夏期講習に普段通塾していない生徒も受け入れています。「うちの子はまだ塾に入れていないけど、夏期講習だけでも通わせてみようか」と考える親御さんも少なくないでしょう。普段は通塾せず、期間限定で講習を受けることで得られる成果はあるのでしょうか。キャリアアドバイザーとして多くの親子と面談を重ね、自身も娘と二人三脚で中学受験を乗り越えた花時弥生さんが、その体験をもとに本音でお答えします。

夏期講習だけを単独で受講するメリットは少ない?

中学受験を目指す子供にとって、長い夏休みは学力を伸ばす絶好のチャンスです。この期間を有効活用しようと学習塾の夏期講習に参加する子供は多く、夏休みになると生徒数がグンと増える塾も少なくありません。でも私個人としては、通塾せずに夏期講習だけを受けるのは、あまり効果がないと考えています。それは次のような理由があるからです。

夏期講習はあくまで塾のカリキュラムの一部

一口に中学受験塾と言っても、大手、中堅、個別塾とさまざまな規模がありますが、どこも一定期間で最大限の効果を上げるために、独自のカリキュラムを持っています。中学受験には4教科すべてが必要で、勉強する範囲も広いもの。それをこなすために、塾のカリキュラムはとても効率的につくられています。そしてほとんどの場合、夏期講習は塾のカリキュラムの一部として組み込まれたものです。

大手の学習塾になるほど、夏期講習の内容はそれまで学んだことのまとめだったり、それを土台とした先取り授業だったり、通常授業よりレベルを上げた腕試しだったりします。ですから、そこにだけ飛び入り参加してもついていくのは難しく、あまり効果は期待できません。そうするくらいなら、普段から通塾した方が効率的だと考えています。

レベルが高すぎて自信を失う恐れも

もうひとつ、夏期講習だけに通わせることで心配なのは、子供が自信をなくしてしまうことです。そもそも中学受験には、小学校で習う範囲を超えた内容が要求されます。通塾して日々対策してきた子供と、そうでない子供の間には歴然とレベルの差があるので、いきなりその中に入ることで気持ちが折れてしまうかもしれません。

また、大手塾の中には、夏期講習で成績順に子供を着席させるところもあります。そうなると、通塾していない子はいちばん後ろの席です。そんな環境で自信を保つのは、子供にとって難しいことだと思うのです。

すでに塾に通っているなら、他塾の夏期講習で刺激を受けることは◎

こうした理由で、まったく通塾せずに夏期講習だけに通うことは、個人的にはあまりおすすめできません。ただ、すでに中学受験を目指して塾に通っている子供が、夏休みを利用して他塾の講習を受けるのは「あり」だと思います。

大手塾の夏期講習を有効に使おう

夏休みに他塾へ行くのが有益だと思うのは、普段は中堅の塾や個別塾に通っている子供が、大手の学習塾の夏期講習を受講するケースです。大手は中学入試の傾向をしっかり分析していますし、過去のデータもたくさん持っています。そのノウハウを活かして、志望校別の夏期講習も開催しています。そうした場に参加して、同じレベルの中学を目指している他塾の子供と一緒に勉強するのは、今の自分の力を確認するうえでも有効だと思います。

特に小さな塾に通っていると、普段は「みんなで仲良く勉強しましょう」という環境で、成績順に席を並べられるような経験はまずしません。そんな子も、期間限定で競い合いの環境に身を置くことで、良い刺激をもらって夏休みの仕上げにする。それもひとつの考え方だと思います。

内容をよく吟味して通わせたい

今は、通塾している子供はよほどの理由がない限り、夏期講習を受けるのが当たり前になっています。その中に通塾していない子供を入れて成果を得るのは、少し難しいかもしれません。「この機会に塾に通わせたい」と考えている親御さんは、塾のカリキュラムをよく知ったうえで、継続して通うことも含めて検討するといいでしょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

本職はキャリアアドバイザー。大学主催の就職対策セミナーの特別講師として、大学生、大学院生を対象に講義を行う。仕事で多くの就職支援をする中で、大学生やその保護者との面談も多く、親子関係と教育についての考察を重ねていく。自身もひとりのママとして娘と中学受験を経験し、長女は名門中高一貫校へ入学。現在は志望大学の合格を目指して、再び長女と二人三脚で取り組む日々。現在は就職に関するアドバイザーのほかに、中学受験、大学受験についての相談に乗ることも多い。